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手紙


手紙って良いな。
私も企画に参加できる手紙がないかなと
お手紙箱をガサゴソしてみた。

達筆の文字。
20年前奈良で1年間お世話になった洋菓子店の奥様清好さんからのお手紙が
思いのほかたくさん出て来た。

こらこら

季節のはがきのお返事に
旅行に行ったことやお店の愚痴。懐かしいお話しなどしたためてくれている。
子供が生まれた報告をしたのかお祝いの言葉もいただいていて最後に
「貴方は強い。何でもやり遂げる」
と結んでくれていた。

仕事を覚えられず檄を飛ばされる毎日。
仕事が終わった後
ケーキに文字を入れるのを先輩に習っていて
「タイムカード押してからにしいや」
と言われたこと。
皆で喋っていて私だけが注意され落ち込んでいたら「職人さん怒るわけにいかんからあんたに言わせてもろうた」と後で謝られたこと。
工房と店を行き来して細かいところに目を配り焼き菓子の包装を手伝いお客さんには温かい言葉をかけ嫌われ役を演じながらも店の中心にいた清好さんが大好きで
なぜか2人で電車に乗って吉野の桜を見に行ったこともあったなあ。
仕事みっちりの濃い1日を今でも思い出さない日はない。あの日々があったからこそどんなに仕事が詰まっていようとも頑張れる。

そしてちゃんと見て下さっていた。

「貴方は強い
 何でもやり遂げる。」

今になってその言葉の重みを有り難みを感じることができる。子育てに追われ埋もれていたお宝が偶然見つかったミラクルな夜だ。

これは娘から


奥様お元気かな

メールやメッセージやLINEが便利だとしても
手書きの心のこもった文字には到底敵わない。
20年の時空を一瞬で超えてしまった。まるであの日々が昨日のことのように思い出されてしまった。
あの時があるから今がある。
人生積み重ねだ。無駄なことは何もないね。



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