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カンブリア宮殿から:株式会社ダイユー

私が欠かさず見ているテレビ番組の一つにテレビ東京の「カンブリア宮殿」があります。番組を見るのと合わせて、マーケティングの分析を簡単に行っています。
最近の放送で取り上げられた「株式会社ダイユー」について、書いていこうと思います。

株式会社ダイユーについて

株式会社ダイユー(以下ダイユー)は、ベーカリー(パン屋さん)の開業から派遣、店舗設計までトータルでサポートする会社です。1972年に創業し、売上は約8億で社員数は9人という事でした。これまでに1200店以上のベーカリーを手掛けているそうです。
現在の会長が、生家の内装業を継ぎ、店舗の売り場設計をする中で、パンに特化。現在は娘さんが社長として、手腕をふるっているそうです。

ダイユーが成功した理由

①ベーカリー分野への特化

ダイユーがサポートの対象としているベーカリーは、規模の大小はありますが、いわゆる町のパン屋さんです。スーパーに入っているベーカリーなどは対象のようです。
このベーカリーですが、改めて特徴を書き出してみると、下記のようなものが挙げられると思います。
・大手の販売店がほとんどいない
喫茶店であれば、個人の喫茶店に対して、スターバックスやドトールといった大手が競合として存在しています。個人店の多いラーメン店でも、日高屋など大手がやはり競合として挙げられます。
一方で、ベーカリーになると、大手のパンメーカー(例えば山崎、パスコなど)はありますが、大手の販売店はあまり思いつきません。
参入がしやすく、大手がいないので、限られた資源でも戦える市場だと言えます。
・テイクアウトが中心である
次に、ベーカリーは、店頭に並んだパンを自分で取り、会計、持ち帰るというテイクアウトが中心です。ラーメンにしても、レストランにしても、他の飲食店は基本的に店内で食べるスタイルになっています。食事という価値では競合しますが、シーンによって使い分けはされるので、共存は可能でしょう。
また、テイクアウトが中心であれば、スタッフも少なくてよいので、やはり参入がしやすいのだと思います。

なお、ベーカリーと似ている業態でいうと、ケーキ屋さんがありますが、必須ではありませんが、有名なパティシエの下での修行経験といった権威付けが差別化要素になるので、参入のハードルは少し高くなるでしょう。

まとめると、参入がしやすく、規模の大きくない既存店との勝負に集中できるのがベーカリー業界といえます。そのため、独立開業の際にベーカリーを検討する人は多いのだろうと想像されます。そのベーカリー業界に絞って、事業を展開することが、成功につながったのだと思います。

②他にないトータルサポート

ベーカリーの開業をサポートする会社が他にあるのか調べてみました。するとおかやま工房という会社が展開する「リエゾンプロジェクト」や「リライブフードアカデミー」といった開業の専門学校が出てきました。
ただ、基本は開業までの支援といった形で、ダイユーのように、店舗の設計や、目玉となるメニュー開発、開業後の人材派遣といったトータルのサービスを提供している競合はなそうです。
元々、内装業からスタートしたことが店舗設計にも活きていると思いますし、自社でメニューの開発・提供まで行うという、人員が必要なサービスは、他社がやらない・できないことになるので、強力な差別化ポイントになっているのだと思います。


番組中、パン食は広がっているので、ベーカリーは今後も増えると予想しているとのことだったので、今の事業の展開でも伸びていくかとは思います。
もし、その先をやるなら、を考えたときに、私なりのアイデアとしては、ケーキ屋のプロデュースが可能かなと感じました。事業の形、素材がパンと近いですし、ケーキをパン屋の一角で扱うこともできると思います。パティシエの権威付けについては、誰か提携をしてもらい、レシピを提供してもらえれば、実現可能だと思います。

事業を成功させる上では、有利な市場で始めることが非常に大切です。追い風に乗っていれば、多少のことがあっても進んでいきますが、向かい風の中では常に力を入れていないと進まず、努力が必要です。
有利な市場で独自性を築く良い例が、今回のダイユーだと感じました。


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