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ダブリンぶらり(5) ミュージアム連戦

ダブリンには国立のミュージアムがいくつかあります。地図を眺めていたら、そのうちの3つが近接した地区にあることに気づきました。

国立美術館(National Gallery of Ireland)、国立自然史博物館(National Gallery of Ireland)、国立考古学博物館(National Museum of Ireland - Archaeology)

これは便利、さっそく出かけようと思ったら、その日は日曜日。なんとこの国立ミュージアム群、いずれも日曜日の営業は午後から。そこで午前中からやっている、やはりこの界隈にある別のミュージアムからスタートすることにしました。

路面電車(ルアース)を使って、セントステファンズグリ―ンへ。途中でこんなものも見かけました。

まずはリトル・ミュージアム(The Little Museum of Dublin) ここは国立ではなく私設の博物館(したがって有料) ご覧のように、ごく普通の住宅みたいです。

2011年にできた博物館で、自ら名乗るとおりに小じんまりしていますが、その意義は広く深い。一般のダブリン市民から公募し寄贈された品々で、ダブリンの歴史を再現しようとしているのです。写真や古い新聞、映画や商品、さまざまなプロバガンダのポスター、いろいろな日常品などなど、展示品は多岐にわたっていて、眺めているだけでもけっこう楽しいものでした。

ちなみに、なかなかしゃべりの面白いガイド(英語ですが)の説明によると、この建物自体もアイルランド独立のためのエイプリル蜂起の際には戦場になったのだとか。

展示品で、私にウケたのが、ダブリン出身の文豪ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の初版本展示。いわずと知れた名作ですが、なにせ長い。集英社文庫から出ている邦訳版でも全4巻。当然ながら、全部を読みとおすのは至難のわざ。「きみたち読んだかい?」というガイド氏の問いかけにも、うなずく観光客はゼロ。そこでガイド氏ニヤリとして、「そこのケースに展示してある。ちゃんと最終ページが開いてあるから、そこ見て読んだことにするといいよ」

ということで、めでたく『ユリシーズ』を読み終えたので、次なるミュージアムへ向かいます。次のターゲットは、ほかよりもわずかに早く開館する勤勉な国立美術館。企画展以外は全部無料で見学できます。国立だからね。

ちょっと館内のレイアウトが難解で、迷子になりかけました。館内案内図のわかりやすいやつを置いてほしかったね。

最初に紛れ込んだのは、メインの展示ルーム。なかなか豪華。

ドラクロアとかフェルメールとか、けっこう有名画家の絵もありましたが、この展示室はほとんどが中世までの絵画で、キリスト教関係の宗教画が主。正直いって、あんまり面白くないんですよね。すいません、教養なくて。

現代美術の展示室もあるはずなのに、それがどこなのか、なかなかわかりません。しばらくウロウロしたあげく、ようやく発見しました。

はい、ピカソですね。私は、こういうほうが好みです。

館内のカフェテリアでそそくさと昼食をすませると、今度は自然史博物館へ向かいます。いや、すぐ隣りなんですがね。

ここは建物そのものも古いようです。入り口をくぐって、まず思ったのは「小さいな」 建物が非常にコンパクトなんです。ありていにいうと狭い。でもその館内は、ある意味、圧巻でした

狭い館内に所狭しと並べられたのは、おびただしい数の標本(というかほとんど剥製) 1階がアイルランドの生物など、2階が世界の動物といったぐあい。

とくに2階はさまざまな動物の剥製がズラリで、ああこれはたぶん大英帝国の貴族や冒険家たちが世界各地でハンティングに励んで集めたものなんだろうなと推察。

そんな中で、私がいちばん気に入ったのは、これでした。

アイルランドのナメクジ大行進(笑)

狭いとか古いとかいいましたが、ちゃんと改築計画はあるらしく、館内に完成予想図はありました。が、完成予定日時などは一切なし。実現の目途はたっていない模様ですね。

さて、いよいよラストは考古学博物館

じつはこの移動中、外を歩いているときに、雨に降られました。遺跡めぐりツアーとちょうど逆で、わが家が外を歩いていると降ってきて、すぐに止むパターン。そのへんのパブの軒先で雨宿りなどする始末。

おまけに、自然史博物館と考古学博物館は、背中合わせで隣接しているのに、ぐるっと街区を回りこまないと、たどりつけない仕組み。同じ国立博物館なんだから、連絡通路くらい作ればいいのに。

バイキングの遺物とか、遺跡めぐりツアーで見たような古墳の展示とか、泥炭に埋もれていたのを発見された古代人のミイラとか、なぜか古代エジプトの遺物のコレクションとか、けっこう見どころ満載であります。ツアーの時も感じましたが、アイルランドって、歴史が古いね。

しかし、正直いって、このころには足が棒になってへとへと。そう、ミュージアムってのは、基本歩いて館内を回るので、歩行距離が半端でないんですね。おかげで、じつはいちばん興味のあった考古学博物館を、もっともサラリと見る羽目に。もっとじっくり見たかったですねえ。

教訓:ミュージアム連戦は避けておいたほうが無難。

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