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それは、安全か? (Is it safe?)

ちょっと歯茎が腫れたので、歯医者さんに行ってきました。

祖父は歯科医だったのですが、じいちゃんが患者にいい加減な治療でもしたタタリなのか(笑)、私は歯並びも悪く、昔から虫歯とはお友達。歯の半数以上はサイボーグ化しているし、歯周病にもなったし、親知らずも大暴れしてくれました(まだ一本残ってるし)……

で、歯科医院の椅子はすっかり座り慣れているんですが、そこに座るたびに、必ず頭をよぎる映画があります。

そう、「マラソンマン」(1976年)

ごくごく普通の青年(ダスティン・ホフマン)が陰謀に巻きこまれるサスペンスですが、この映画を見た人のほとんどが、あらすじや何かはすっかり忘れていたとしても、絶対に忘れないのが、拷問のシーン。

悪のボスに囚われた主人公が拷問されるんですが、このボスが歯科医なんですよ。

歯科医院ならどこにでもある例の椅子にしばりつけられ、口をこじ開けられて、歯にドリルが……

映画や小説でたくさんの拷問シーンを見てきましたが、この拷問ほど恐ろしいものは、例を見ません。なにしろその痛みが、ストレートに「わかる」からです。加えて、あのドリルの音! 映画史上最悪の拷問シーンといって間違いないでしょう。

その拷問で、悪のボスが問いかけつづける質問が

「それは、安全か? (Is it safe?)」

この問いだけが繰り返されます。陰謀とはまったく無関係の主人公は、なんだかさっぱりで、答えるに答えられず、拷問に屈することすらできずに苦しみ続ける羽目になります。

ボスを演じるのは英国の大物俳優サー・ローレンス・オリヴィエ。シェークスピア劇仕込みの迫力ある声で、何度も「それは、安全か? 」と迫られるわけです。ああ、怖い。

歯科医院で椅子に座るたびに、このシーンを思い出すんですが、幸いにも、ここまで酷い目にあったことはないですね(笑)

もうひとつ、歯科がらみで思い出すのが、リチャード・マシスンの小説『地球最後の男』(または『吸血鬼』または『アイ・アム・レジェンド』)。

三度にわたって映画化された人類絶滅テーマの名作ですが、そのなかに出てくるのが、地球にたった一人生き残った主人公が、懸命に歯を磨くシーン(映画にはなかったかな)

そりゃあ、この状況で虫歯になったら、最悪です。他の病気なら、自分で治すことも不可能ではないでしょうが、虫歯の治療だけは、自分ではまず不可能ですからね。

そう思った主人公は、食後には念入りに歯を磨き、デンタルフロスで丹念に口中を掃除します。

ううむ、地球でただ一人生き残るっていうのは、ある意味では究極のユートピアですが(何でも、やりたい放題)、このシーンを考えると、私にはサバイバル生活はムリですかね。

じつはもう一つ、歯に関する強烈な映画(と、その原作小説)を見たんですが、その映画の日本公開は年末くらいの予定なので、また別の機会に。これもまた、強烈すぎるシーンですよ(笑)

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