世にも奇怪なお話

私が子供のころに愛読した世界の怪奇現象本のなかには、40年以上の時間を経てもしっかり記憶に残っているエピソードがいくつもあります。

ただ、前に書いた「フラットウッズ・モンスター」や「超能力=木環連鎖」などは比較的きちんと覚えているものですが、「謎の心霊写真」のように細部や肝心の部分を忘れてしまっているものも数多くあります。

今回お話しするのはそうしたものの一つで、強く私の印象に残りながら、細部は忘れてしまっているものです。題して「テレビの怪」

ご存知かと思いますが、テレビの電波(VHF)というのは真直ぐに進むものです。電波そのものは出力が強ければかなり遠くまで届きますが、なにせ地球は丸いですから、地球そのものが影になり、実際にはそんなに遠くへは届きません。テレビ局の視聴可能範囲はせいぜい100キロ程度ですかね。

この事件が起きたのは、たしかアメリカの東海岸にあるテレビ局のチャンネルでのこと。1960年代のことだろうと思います。

その日の、いつものようにそのチャンネルでは異常なく放送が行なわれていました。ところが、通常の番組が進行中に、突然その現象が起きたのです。

突然、放送が中断し、画面に遠くテキサスのテレビ局のコールサインが映し出されたのです

テレビ局のコールサインは、毎日の放送開始と終了時に流されるものですが、番組中に突然流れることはあり得ません。放送事故です。画像ははっきりしたもので、写真に撮ることもできたといいます。

画像は数分間にわたって流れ、始まった時と同じように、突然終了しました。そのあとは何事もなかったように、通常の放送が流れました。

この現象が起きたのは数万所帯におよびました。テレビ局はただちに原因究明にかかり、局の全機能をチェックしましたが、原因はわかりません。そもそも、数千キロも離れたテキサスのテレビ電波が偶然にまぎれこむわけがありません。

そこで、画面に映ったコールサインを使っているテキサスのテレビ局へ問い合わせをしました。

そこで、さらなる驚きが待っています。

テキサスのそのテレビ局は、すでに数年前に局名を変更し、問題のコールサインを使用するのをとっくにやめていたのです

では、なぜこんなことが起きたのか?

誰かが、数年前からテキサスのテレビ局のコールサインを保存していて、それをいたずらで流した? しかしこの事件が起きたのは、まだ家庭用どころか放送用のビデオすらも普及する前のことです。しかも、テレビ放送用の電波の出力は強力なので、そう簡単に割り込めるものではないはずです。くだんの映像が流れたのは広範囲にわたっており、いたずらでできるレベルのものではありません。

どこまでも直進する電波が、遠く離れた場所で何かに反射し、地球に戻ってきた? いや、数年間もかかって往復するほど遠くまでは、電波は届かないはずですよね。

さて、だとするとこの消滅したテレビ局のコールサインは、どこから飛んできて、多くのテレビ受像機に映ったのでしょうか?

考えるだに不思議な話で、私はいたくこのお話が気に入っているんですが、残念ながら細部を忘れてしまいました。いずれ「フラットウッズ・モンスター」や「木環連鎖」のように調べてみようかと思ってるんですが、はたして解明できますかねえ?

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