超能力を見せてくれ

超能力ってのは、どうもウサン臭い。そんなすごい能力がホントにあるんならば、ぜひ見せてもらいたいもんだが、どうもピシッと見せられることはないらしい。有史以来、予言者とか魔法使いとか超能力者はいろいろいたようだが、みんな結局のところ、インチキっぽいんだよな。

なんといっても怪しいのは、超能力が発揮された「結果」が、いつもじつにショボイことだ。

たとえば、一世を風靡した「スプーン曲げ」

スプーンとかフォークとかの小さな食器をひん曲げるだけ。そんなこと、ちょっと力があれば、あるいは適当な道具さえあれば、誰だって出来る。ということは、何らかのトリックで、そうした力とか道具を使ってないように見せさえすれば、超能力っぽく見えるってことだ。

「千里眼」? 「透視」?

遠くにあったり、厚い障壁の向こうにある字や絵を言い当てるだけ。それもたいがい安っぽいカードに書いてある意味のないものばかり。どれも、あらかじめ「正解」を知っていさえすれば、なんてことはないわけだ。それを知らなかったように見せるトリックなら、古来奇術師が山ほど考えついているんだし。

「念力」だってそうだ。

ううーーんと力んで、いや集中力を高めて念を放つと、置いてある物体の位置が、ちょっとだけずれたり、机から落っこちたりするだけ。物理的にモノを動かすだけなら、物理的なエネルギーさえ与えれば、誰だって出来る。それこそ、赤ん坊だってモノを動かすだけなら出来る。手を触れずにやるったって、そう見えてるだけだし、それだけなら充分トリックを使う余地がある。

何を言いたいかというと、こうしたものはみんな、べつに超能力なんかなくても、同じ「結果」を出せるってことだ。大事なのは、手を触れたかどうかとか、こっそり見るのが可能かとかいった「過程」ではなく、いちばん肝心な「結果」の部分。

超能力を使わない限り絶対にできない「結果」を見せてほしいのだ。そうすれば、信じてもいいよ。

たとえば、その「結果」としてぜひ見てみたいものに、「木環連鎖」という大技がある。その昔、(たしか)黒沼健の本で読んだことがあるんだが、ほんとかどうかは知らないよ。

これは、木材から削り出して作った木の環ふたつを、超能力で鎖のように連鎖させるというものだ。しかも片方はマツ、片方はラワンとかいったふうに、違った種類の木環を連鎖させたという。

これは凄い

どんな木工芸家でも大工の棟梁でも、こいつは不可能だろ。いや、物理的に、科学的に、常識的に、アリエナイ「結果」が見られるわけだ。

その本によると、昔アメリカでこれをやってのけた超能力者がいたという。もしもこれが本当なら、超能力の存在を信じることができる。連鎖した、その木環を一目見られれば、超能力の存在を信じるぞ。

その後いろいろ調べてみたが、その本以外で、これについて語ったものを見たことがないので、この話が真実なのかどうかはわからない。連鎖した木環の写真なりとあればいいのに。

まあ、これくらい「絶対にありえない結果」を見せてくれないと、「超能力はある」と確信できないと思うんですがね。

【追記】

と、ここまで書いたところで、問題の本が黒沼健の『地下王国物語』(新潮社・昭和41年)だったと判明した。さっそく古書で入手してみたら、この話が「神秘の二個の木環」としてちゃんと出ているではないか。そこにはわが記憶にあったよりもずっと具体的に、関係した人名なども記されていたので、今度もうちょっと調べてみようと思う。

つづきはこちら>「超能力追跡

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