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3度目の「完結」

話題のアレをようやく見ました。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版 𝄇」ですね。製作の遅れやコロナ禍での再三の上映延期で、もう見られないんじゃないかとまで思いかけてましたが、ようやく見られたわけで、まぁよかった。

さっそく感想など書こうかと思ったけど、どっからどう書いてもネタバレになりそうで、なんとも書きにくいですね。

そうこうしているうちに、あちこちでいろんな感想が出てきて、もはや出遅れ。

そこで、そのかわりといっては何ですが、ごく私的な「エヴァ史」でも書き留めておこうと思った次第です。

じつをいうと、最初のテレビシリーズ(1995年10月4日~1996年3月27日・全26話)は、初放送時には見ていません。当時は、たまたまそんなにアニメに関心はなかったからですね。

放送がひととおり終わったころでしたか、知り合いのライター兼出版企画者のOさんから、「エヴァ」に関する本を出すので手伝ってほしいという話があって、13話くらいまでのビデオをもらって、それで初めて見たんですね。

それまでは「エヴァ」なんてまったく知らなかったのに、いきなりハマりましたね。もらったぶんを一気見して、いそいでその後のエピソードをと思ったら、ソフト化はまだ途中までだったのかな。とにかく続きを早く見たくてしょうがなかったですね。

ざっくりした言い方をすれば、TVシリーズの「エヴァ」は、暗→明→暗→暗澹と切り替わっていきます。具体的にいえば第壱話の「使徒、襲来」から第伍話「レイ、心のむこうに」までのシンジがぐずぐずしている部分が「暗」、第六話「決戦、第3新東京市」から第拾参話「使徒、侵入」までが雰囲気もカラーもやたらに明るくて「明」、総集編じみた第拾四話「ゼーレ、魂の座」をはさんで、第拾伍話「嘘と沈黙」から第弐拾参話「涙」まではシンジの内面にふたたび踏み込んで「暗」に戻り、渚カヲルが現われる第弐拾四話「最後のシ者」から最終話までが破滅へと向かう「暗澹」(あくまで私見ですよ)

私が気に入ったのは、なんといっても「明」の部分。まぁここがいちばん普通っぽいですからね。基本的に私は根の暗い話は好きじゃないから。

ただ、じゃあ他の部分は好きじゃないかというと、そんなことはなくて、けっきょく全話をしっかり見たわけです。それくらい、このシリーズにはパワーがあったということ。根の暗い話嫌いの私をつなぎとめるだけの魅力がね。

なので、第拾四話以降ものめり込んで見てました。いったい、この不可思議な物語はどこへ向けて収束してゆくんだろう?

で、期待しまくってみた最終回「世界の中心でアイを叫んだけもの」

呆気にとられましたよ、もちろん。頭に浮かんだのは、ナンジャコリャというフレーズだけ。みんなそうだったでしょう?

まあここで割り引かなくちゃいけないのは、前述したように私は全26話を1カ月足らずで一気に見たって点ですね。だからあの最終回を迎えるまでの「溜め」がなかったんですよ。

毎週毎週テレビの前に座り続けて半年間見てきた人とは、この最終回の受け止め方が多少違ったかもしれません。

とはいえ、やはりガッカリ感と「?」が私以外の人々でも大勢を占めていたんでしょうね。私がテレビシリーズを見終わったころには、すでに「劇場版」の情報が出ていました。

おお、庵野さんもあの結末には納得していなくて、どうやら劇場用映画として作り直すらしいぞ。

こう思った時点で、敵の術中にハマっていたってことですかね。

1997年3月15日、その劇場版が公開されました。「新世紀エヴァンゲリオン劇場版/シト新生」 テレビシリーズ終了から約一年後の公開でした。

私的には、ここでやっと先行していた皆さんに追いついたってことですね。公開されてわりとすぐに劇場に駆けつけましたっけ。

でも、ご存知のように、これは決して期待したようなものではなかったのです。

新たな、そして決定的な「エヴァの完結」かと思いきや、前半の「DEATH」はテレビシリーズの第弐拾四話までの再構成、いってみれば総集編。なんだよ!

それでも後半の「REBIRTH」が第弐拾伍話の作り直しリメイクだというのでちょっとは期待していたんですが、それも途中まで。おいおい。

けっきょく、完結編はさらに待たされて、1997年7月19日、ようやく「新世紀エヴァンゲリオン劇場版/Air/まごころを、君に」が公開されたわけです。

前半部の「Air」は要するに、途中までで終わっていた「REBIRTH」の完成版(いちおう)で、後半部が新・最終話「まごころを、君に」

見た人によって感想は違うと思いますが、私の感想は「なんだテレビ版とたいして違わないじゃないか

もちろん、作劇や作画は多少違いました。実写が挟まれたりするのはちょっとばかり驚きましたが、あらかたの筋は同じでしたからね。同じものをまたまた、おまけに今度は有料で見るはめになったわけですよ。

とはいえ、これでエヴァとは決着がついたなとは思いました。なんとなく完結したっぽい雰囲気にはなっていたから。

ということでケリをつけたので、まさかその後ふたたび新しい「エヴァ」に出会うとは思わなかったです。期待もしてなかった。

ということで、世紀も改まったころに、庵野総監督が「エヴァ」を作り直すときいても、あんまり関心なかったんですが……

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」との出会いとか、そのへんは前に書いた「外出自粛映画野郎」をご参照ください。→【こちら参照】

そういえばここでも、世間のエヴァファンからは出遅れてたんだっけ。

ということで、私は今回もまた見始めてから、わずかに1年ほどで完結編にたどり着いたわけです。ラッキーだったのかな。みなさんは何年待ちましたか?

こうして、およそ四半世紀にわたってつきあってきた「エヴァンゲリオン」の3度目の完結を見届けたわけです。ええと、またしても(以下略)

ちょっとだけ内容に触れれば、今回のこれは意外に私は気に入りました。やはり、これまでの映画版では削ぎ落とされていた「明」の部分が入っていたからでしょうね。

ちなみに、庵野総監督は「エヴァはこれでおしまい」みたいなことをあちこちでコメントしているようですが、どうですかねぇ。これは私見ですが、いずれまたリメイクに踏み切るんではないでしょうか。何年後になるか知りませんが。

あるいは将来、ぜんぜん違う作り手による、まったくべつの「エヴァンゲリオン」が誕生するのではないかな。これほどの魅力をもった(もっと言えば儲かる)コンテンツをいつまでも放っておくほど、日本のクリエイターたちは甘くないですよ。たぶん。

庵野総監督とは違う誰かのイマジネーションによる「新エヴァンゲリオン」

それもまた見てみたい気が大いにしますね。それまで私が生きていればの話ですが(笑)

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