500円映画劇場「ターミネーター・ウォー」

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パクリ気分全開の邦題「ターミネーター・ウォー」ですが、もうツッコむ気にもなれませんね。もっとも、もともとの原題も「Android Insurrection(アンドロイドの反乱)」とまあ、こっちも大したタイトルじゃないですが。2012年の作品で、いちおう劇場用に作られた映画らしいです。

西暦2532年、高度に発達した人工知能が、自らアンドロイドを開発製造し人類に反旗を翻す。そこで困った人類は、ごく小規模な特殊部隊を敵の工場に送り込む。迎撃してくるアンドロイド群を倒して、敵の新型アンドロイドを奪取できるか?

反乱を起こす人工知能。いうまでもなく、あの「ターミネーター」の基本設定からのパクリですね。ひねりもなく、そのまんまパクッてます。なので、邦題は、さほど嘘でもないわけですね。だからといって、別に罪は軽くなりませんんが。

もちろん、この映画の問題は、そんなところにあるのではありません。

映画そのものの出来が悪い。この映画の問題点はそこに尽きます。娯楽映画をけなすのはあまり好きではない私でも、これはさすがにカンベンできませんでした。

いままで数々のヤスモノ映画を見てきましたが、映画の途中で寝てしまうことはあんまりありません。特に近年は心身に耐性ができたせいか、けっこう強烈なダメ映画攻撃にも耐えられます。

ところがこの「ターミネーター・ウォー」では、見事に寝落ちしました。それも映画の最中に何度も。仕方なく再度見直しても、やはり沈没。体調が悪かったせいでも、深夜だったせいでもありません。

映画があまりにも単調だからです。シナリオはヒネリなく、ただ単にイベントを並べただけ。演出にも何の工夫も意欲も感じられず、盛り上がりも、スリルも、サプライズも、何もなし。ただただダラダラとお話しが続くだけ。

そのうえ、予算がなかったのか、やる気がなかったのか知りませんが、撮影用のセットが組めなかったらしく、どこぞの倉庫を借りて、そのままそこで全編を撮影したとしか思えません。なんで26世紀のアンドロイド製造工場に、20世紀型の(それもボロい)フォークリフトがゴロゴロあるんですか。少しは片づけてから撮影しろよな。おまけに、地下はるか深く(地下80階とか言ってなかったっけ)にあるはずの工場なのに、出入りは一瞬でできるし、なぜか窓があって外光が入っていたりします。いいかげんなんですよ、万事

まあそれらを全部呑み込んだうえで映画全体の印象をまとめれば、まるで、ひと昔以上前の安物のアクションゲームを見ている感じ。それも、自分でプレーしているんではなく、他人がプレーしているのを、そのプレイヤーの後ろからぼおっと見ているところといえば、かなり映画の印象に近いですね。ね、退屈でしょ。

これでゲームの出来が良ければそれなりに楽しめるんでしょうが、あいにく「ターミネーター・ウォー」はそれほど上等なゲームでもありません。面白くなる要素は皆無でしたね。

じつはこの作品、今年の6月に国内発売されたばかりだとか。いくらなんでも、それでもう500円ワゴン行きは気の毒だろうと思いましたが、作品を見たあとは、深くうなずくしかなかったです。まったく。

あまりクソミソに言ってばかりでは健康に悪いので、最後にちょっとだけ誉めるところを探しました。

新型アンドロイドを演じたサラ・ドゥ・オズボーン(Sarah-Doe Osborne)だけは、ちょっと可愛かったです。日本アニメの影響か、真っ赤な髪の毛をはじめとする、お手軽かつ安っぽいコスプレを強制されつつ、設定もよくわからないアンドロイドを演じるという、じつに難儀な目に遭いながらも、必死にロボットっぽいカクカクな動きを続ける彼女は、同情心を持ってみれば、なかなか健気に見えました。彼女は彼女なりにこの環境のなかで頑張ってたんだよ、たぶん。ヤスモノ映画に咲いた一輪の花といったら、誉め過ぎですかね

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