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500円映画劇場「合衆国壊滅」

アメリカの太平洋沿岸で起きる大規模な地震災害を描く災害パニック映画「合衆国壊滅/M(マグニチュード)10.5」(原題「10.5」または「EARTHQUARK 10.5」) 2004年のTVムービー。もともとは前後編で165分あったものを短縮した122分版がDVD化されたもの。

地震映画といえば、なんといっても1970年代のパニック映画ブームの一翼を担った「大地震」(1974年)が思い浮かぶが、逆にいうとそれ以降に決定的な作品が出ていないってこと。もう45年も前の映画なのに。

というのも、今回のこれを見てもわかるが、地震って、あんがいと画になりにくいのだよ。

映画における地震の描写っていうと、カメラを揺らすことで「揺れ」を表現し、あとは周囲のいろいろなものが倒れ、建物が崩壊し、地割れが起き……ええと、以上です的なものがすべて。しかも地震そのものはそんなに長く揺れるわけではないので(映画的に引き延ばしても5分くらいが限度でしょう、じっさいの地震はそんなに長くは揺れないし)地震のシーンそのものはクライマックスになりにくい

そこでどうなるかというと、地震襲来までのサスペンスと、地震襲来後の極限状態でのサバイバル、見せ場はほぼこのふたつだけになってしまい、そうそうバリエーションをつけられるものではないのだ。

その点、この「合衆国壊滅」はけっこう上手い手を考え出した。

オープニングはシアトルを襲う大地震。そしてこの地震がきっかけとなって、太平洋岸の断層に沿って次々と連鎖的に巨大地震が起きる。この現象をいち早く見破った女性地震学者(キム・デラニー)を軸に、対策に当たる人々を描く集団ドラマに仕立ててある。

パニック映画の常道とはいえ、学者と政治家だけではなく、現場の医師や地震にまきこまれた父͡娘などのドラマを絡め、要領のよいグランドホテル形式になっている(ただし、短縮版だと若干彫りが浅いが)

もちろん、TVムービーゆえ予算等の制約も多かったのだろう。そのへんのしわ寄せは、災害そのものの描写を描くCGに滲みでてしまっている。最大の見せ場になるはずだった、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジが崩落するシーンなどは、まっこうCGで描いたために、やや残念な仕上がり。これを見せ場に据えたのは、ちょっと判断ミスではなかったか。

ちなみに、この緊急事態に対処する合衆国大統領を演じるのがボー・ブリッジスで、緊急事態庁長官がフレッド・ウォードという、いささかいかがわしい配役なのが、なんとも味わい深い(個人の感想ですよ、もちろん)

だがいちばん気に入らなかったのは、巨大地震阻止のために主人公たちが立案する作戦。ま、たぶんそうなるだろうなと薄々感じてはいたが、やっぱり、だったのである。

地下の断層の崩壊による地震発生を防ぐために、断層を溶かして固定するという、地震学的にどうなのという作戦だが、そのために仕込むのが、ああやっぱり核爆弾なんだね。

アメリカの娯楽映画でありがちなのがコレ。大怪獣が出ようが、宇宙人が襲来しようが、巨大隕石が落ちてこようが、時空の裂け目ができようが、「核爆弾ですべて解決」 安易だよなぁ(笑)

ま、それがアメリカ人一般の意識なんでしょう。核兵器廃絶が一向にならないのは、あんがいこうした国民の意識によるものなのかもね。

ところで、最近感じていることだが、この500円映画劇場をするうえで重要な供給源である、ホームセンターなどの安売りワゴンがめっきり減ってしまった。これは困ったな。

なので今回のもそうだが、TSUTAYAさんの中古販売で入手。3本900円でお買い得(笑) いやそんなことは全然かまわないのだが、困るのがレンタル屋さんでのレンタル落ち商品が納められているケース。

レジなどで取り出しやすいような特別仕様なんだよね。まあ使用目的からして仕方ないんだが、そうするとほかのソフトとの整合性が取れない(コレクターのくだらないこだわり) なのでこんなものを調達する羽目になる。

アマゾンさんで168円(笑) おかげで、このとおり、新品同様に変身。

困ったこだわりだよ、まったく(笑)

【画像のリンク先はamazon.co.jp】

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