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4年に一度のお楽しみ

2月29日は、うるう年にしかない日。つまり4年に一度のめずらしい日です。

そもそもうるう年って、何?

この質問にシンプルに答えられますか?

まあざっくり言えば、地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間が、365日よりもちょっとばかり長いってことが問題なわけで、この分を調整するうるう日が増やされるのがうるう年なわけです。

現在ほぼ世界中で採用されているグレゴリオ暦では、次の規則に従って400年間に、97回のうるう年を設けることになっています。

  1 西暦年が4で割り切れる年はうるう年

  2 ただし西暦年が100で割り切れる年は平年

  3 ただし西暦年が400で割り切れる年はうるう年

こんな条件があるの、知ってましたか? まあ知らなくてもいいんですよ、なにせ適用が100年に一度ですから。

ちなみに直近の西暦2000年は、「100で割り切れる」のでうるう年ではない……と思いきや、「400でも割り切れる」年だったので、うるう年でした。気がつかずに過ぎ去りましたが、「100で割り切れるのにうるう年だった年」つまり400年に一度のレアな年だったわけです。このケースの次回は、西暦2400年ですから、とうてい拝めそうもないですね。

で、このうるう年、4年ごとなので、十二支との組み合わせは完全に固定されてしまうわけです。

サル(申年)、ネズミ(子年)、タツ(辰年)は「必ず」うるう年になる……いやいや、上記の例外もあるので、直近では2100年のサル年はうるう年にならないはずです。気をつけてください(笑)

うるう年といえば、再三ここでも(私だけが)盛り上がっているオリンピックとアメリカ大統領選挙の年ですが、ここにも上記の例外が発生します。

近代オリンピックは、これまでたった1回だけ、うるう年でない平年に開催されました。第2回のパリ大会がそれで、開催年が西暦1900年だったために、「100で割り切れる年は平年」に引っかかったのです。西暦2000年開催のシドニー大会は、前記の理由で、残念ながら〔?〕うるう年の開催となってしまいました(冬季オリンピックは1924年の第1回シャモニー大会から夏季大会と同じ年に開催だったので、すべてうるう年開催でしたが、1994年のリレハンメル大会以降は夏季大会の中間年に開催されることになったので、すべて平年の開催になっています)

アメリカ大統領選挙も同じリクツで、1800年と1900年の選挙は平年開催でした(ついでに言えば、第1回の大統領選挙は1788年に行なわれたはずですが、実際には選挙が長引いて翌1789年の1月までかかったため、平年開催になってしまっています)

さて、日本ではうるう年の規定の法的根拠が、ちゃんとあります。

明治31年(1898年)5月11日の「閏年ニ関スル件」(明治31年5月11日勅令第90号)」が、それです。

なんと、大日本帝国憲法下で発された「勅令」がその根拠なんです。これ、現在も有効。

その条文はこうです。

神武天皇即位紀元年数ノ4ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス但シ紀元年数ヨリ660ヲ減シテ100ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ4ヲ以テ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス

まあ、けっきょくは西暦と同じことになるんですが、でもその大元になる基準が、西暦ではなく「皇紀」年号だというのは驚きですね。

俗に「皇紀」と呼ぶ「神武天皇即位紀元」は、「日本書紀」の記述をもとに、初代とされる神武天皇の即位年を元年とした紀年法。明治5年(1872年)のグレゴリオ暦導入と同時に定められたもので、もちろん日本独自の紀年法です。戦前、戦中には普通に使われていて、1940年(昭和15年)の皇紀2600年は国をあげての盛大なお祝いだったと、私の両親は証言します。なんか記念の歌もあったとか(うちの親はまだ歌えると思う)

今ではまったく使われていない過去の遺物である「皇紀」が、いまだに生きているとは、法律の世界ってのも面白いもんですねえ。

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