見出し画像

500円映画劇場「フラッシュフラッド」

2003年のアメリカ製TVムービー「フラッシュフラッド」です。ちなみに「フラッシュフラッド」というのは不意の出水を意味する土木建築用語だそうで、英語だと「Flush flood」 日本風に言えば「鉄砲水」みたいな感覚らしい。そうマトはずれな邦題でもないですが、映画の原題は「KILLER FLOOD:THE DAY THE DAM BROKE

ラットランド市を見下ろすランキン・ダムに危機が迫る。降雨と雪解け水のためにダムの貯水量を超えた水が流入しているのだ。このままではダムが崩壊し、市は大洪水に見舞われる。危機を察知した建築士のデイヴィッドは放水と避難を訴えるが、ダムの管理会社や市政の上層部は耳を貸さない。デイヴィッドはこのダムの設計を手掛けたが、大幅な予算超過で告発されていたのだ。必死に周囲を説得し、自らも危機回避のためにダムで緊急措置を行なおうとするが……

思わず熱心にあらすじを書いてしまいましたが、じつにフツーに展開するパニックものに過ぎないです。

危機を訴える主人公が誰にも信じてもらえないとか、彼自身の私生活(ここでは別居中の妻と息子との確執)を絡めるとか、悪徳資本家が邪魔をするとか、破局までのカウントダウンとか、ほぼというか完全にパターン通りで新味ナシ。

おかげで安心して見ていられます。それじゃダメでしょうが。

とにかく、ハラハラもドキドキもほとんどなく、あなたの予想通りに淡々と進むパニック映画なんか、わざわざ見たい?

まあそうケナしてばかりでは申しわけないので、いくつか頑張った点をあげてみよう。

主人公とその息子の父子のドラマは悪くないです

5年前に子供の自分と母親を捨てて家を出た父に対して恨みを持ちながらダムで働く息子と、それを負い目としつつもわが子の成長を受け止めようとする父。

ああ良い話だなと思ったのは、私が息子を持つ父親だからに過ぎないからでしょうが。いや、そんなに目新しい話でもないし。

洪水のCGはやはりショボいものがあります。前にも書いたことがありますが、水の動きを再現するCGは難しいのです。町の風景や逃げる人々と無造作に重ねられた感じのCG洪水は、ヤスモノ怪獣映画をほうふつとさせて落第点。

そのかわり、善戦するのはダム崩壊の特撮。どうやらこれ、CGではなくミニチュア撮影のようなのです。

CGでの水の再現の困難さを見て取った作戦だとしたら、大したもんです。日本特撮を数多く見てきた私たちの目にも、そう見劣りしない迫力に映るであろうダム崩壊シーンは、まあこの映画の見どころのひとつだってことにしときましょう。ほかに大した見どころもないし。

それでも、安心して見られたので、ヤスモノ映画としてはまあまあ及第点ということでいいかな。

ここで問題にしたいのは、このジャケットイラスト。まあ毎度のことですが。

田舎の町が舞台なので、自由の女神も摩天楼も出てこないですからね。

いつも日本の業者のこの手の手法を糾弾していますが、今回はこれが日本サイドの責任である、その証拠をお見せしときましょう(笑) オリジナルのジャケットデザインがこちら。

当然ながら、こちらが正確です。でもこのジャケットだったら、私も買わなかっただろうな(笑)

500円映画劇場 目次

映画つれづれ 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?