カエル映画
NHKの朝の天気予報で「お出かけ天気カエル天気」というのを毎朝やっている。
読んで字の通り、出勤時と帰宅時のお天気を予報してくれるもので、まあ便利(当たりさえすれば) 私は傘を持って出るかの判断をほとんどこれに委ねるので、毎朝ちゃんと見ている。べつに気象予報士のおねえさんが可愛いからとかだけではない。
で、その「カエル天気」のキャラクターが、ヒネリもなんもなく緑色のカエルのイラストなんである。カエルって、絵にするとけっこう愛嬌あって可愛いもんね。
私はネクタイを集めるのが、まあ趣味みたいなもんだが、なかでお気に入りの1本に、カエルのカーミットがプリントされたものがある。ごぞんじ「セサミストリート」のキャラから「マペットショー」で世界的なスターへとのしあがった、あのカエルくん。
黒地にコイツの黄緑色の顔がたくさんプリントとされている絵柄なので目立ちが良く、締めているとたいがい話題にされるんだが、最近の若い人には「なんですか、これ?」と怪訝な顔をされることが多くなった。カーミットも、もう懐かしのキャラなのかね。
そんな具合に、カエルのキャラクターってのは、けっこうたくさんいる。昔むかしのケロヨンから、「ど根性ガエル」のピョン吉、近年では愛媛FCの「非公式マスコット」の一平くんまで、好感度ある奴からない奴まで、イロイロ。
というわりには、カエルを主役にした映画って、あんまり思いつかない。
たとえば、巨大勢力のクモやサメ、ピラニア、ワニ、毒蛇や大蛇、さまざまな昆虫類、ミミズやナメクジ、タコやイカ、ネズミ、クマや犬猫の類まで、動物パニックや巨大化怪獣ものは無数にあるのに、なぜかカエルものって思い出せない。
その唯一の例外が、原題をそのものズバリ「Frogs」という「吸血の群れ」(1972年)だ。
本国でのポスターのメインが、人の手首をくわえたカエルなので印象が強烈なんだが、じつはこれ誇大広告。
映画に登場するのはカエルも含めたあらゆる爬虫類や両生類なので、カエルはそのほんの一部に過ぎない。おまけに映画そのものも、何を狙ってそうなったのかわからないようなピントのずれたパニックホラーなので、カエル映画の嚆矢ってほどではなかったりする。
ついでにいえば、この人食いカエルの絵は明らかに縮尺がヘンで、やけにデカいカエルか小さい人間ということになるが、まぁそのへんはいいでしょう。
ただコイツ、映画の最後の最後に一気に場をさらうのだ。もしも見る機会があったら、ホントに最後の最後まで見ないと、損するぞ(笑)
国内ではながらくVHS発売のみのレアものだったが、今度めでたくBlu-rayとDVDが発売されるので、興味がある人は……おススメはしないよ。私は買うけどさ。
まあたしかに原爆実験とか原発事故で巨大化したカエルが迫ってきても、ビジュアル的にはなんか愛嬌のほうが勝って、あんまり怖くないのは事実だろう。それに、一部を除いてカエルには強烈な毒も少ないし、サメの牙やクマの怪力みたいな武器もないからなぁ、小動物パニックにも向かないのか。
じつは私には、カエルがトラウマに近い強烈な印象をのこしている映画が1本だけある。
それは1986年の香港製ホラー映画「死霊の受胎」だ。
映画のメインはいかにも香港テイストの「呪い」をあつかったスプラッター風味のホラーに過ぎないのだが、その中にこんなシーンがあったのだ。
それは、悪霊に憑りつかれた人にお祓いをするシーン。よく覚えてないんだが、なんか針を刺したりする強力な儀式を執りおこなうと、呪いがある実体を伴って、体内から出てくるのである。
それがカエル。
苦しむ人の口から生きたカエルが、のそのそビチャリと這いだしてくるのだ。
これは「画」として強烈だった。
もちろん、CGでも特撮でもなんでもない。見るからに本物の生きたカエル(小さいけど)が、人間の口から出てくる。
ということは、撮影時、監督の「ヨーイ、ハイッ」でカチンコが鳴るまでの間、その役者は口の中に生きたカエルを含んでいたことになる。
なんという戦慄。
私なら、どんなギャラをもらっても、絶対にやらないね(笑)
この「死霊の受胎」も、いまはVHSが出たっきりのレアものになっている。
やっぱり「カエル映画」はダメなのかな。
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