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ロング・ムービーの夜明け

ここ最近、映画館から足が遠のいていましたが、さすがにこれは見なければとオミコシを上げました。

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思い起こせば42年前、最初の「スター・ウォーズ」を見に映画館へ駆けつけたとき、私はまだ10代の大学生でした。大学の映画研究会も、その話題で持ち切り。テレビも雑誌も「スター・ウォーズ」一色。見る前に、もうストーリーもキャラクターも見せ場も全部わかってしまっていた、それくらいの社会現象になっていたんです。

ああ、そのころオレは、いまのうちの息子よりも若かったんだよな。

そして月日は流れ、ようやくそのすべてが完結したのです。まことに感慨深くなるのは、同年代の方ならお分かりいただける心理でしょう。

で、映画館で観ていたんですが……長いね、どうも

上映時間は142分。2時間22分ですか。そうバカ長いわけではないのにそう感じたのは、あまりにも多くの要素が詰め込まれているからかな。

そう思ったので、過去の「スター・ウォーズ」前作までの上映時間を調べてみました(それぞれにいろいろなヴァージョンがあるので、初公開時のオフィシャルな長さで)

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一目瞭然ですね。だんだん長くなってます。ま、あらためて確認するほどのことでもないですが。

それにしても、最初の「エピソード4」って、わずか2時間だったんですね。当時は超大作、もっと長かったような気がしてましたから。

ご存知のとおり、「スター・ウォーズ」は3作ずつのトリロジー×3部で成り立っていますが、最初のトリロジー(エピソード4~6)では121分から始まって最後は133分。ついで第2トリロジー(エピソード1~3)は133分でスタートして141分へ。最後のトリロジー(エピソード7~9)は反省したのか(?)136分と5分縮めてスタートしたものの、前作「最後のジェダイ」はシリーズ最長の152分、最後の今回は再び反省したものの142分でシリーズ第2位タイの長さとなっているわけです。

そういえば、以前に007シリーズの長さを調べたときも、1960年代の初期作品が100分ちょっとだったのが現在のところの最新作「スペクター」は148分とシリーズ史上最長だったことを発見しましたっけ。時代とともに映画は長くなってきているようです(4月公開予定の最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が心配になってきたぞ)

と、なんとなく感覚的に書いてしまったので、反省して昨年(2019年)のヒット作品の長さを見てみました(現時点での興行収入トップテン)

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意外に長くないですねえ。最長の「アベンジャーズ」はもともとそれぞれの作品が長いシリーズですが……どうやら長くない映画のほうがヒットする?

とはいえ、個々の事情を見ると長尺化の傾向はよりはっきりしてきます。

たとえば上位に3作品がランクインしているディズニー勢。

アラジン」は1992年のオリジナルのアニメ版は90分だったのが今回の実写版では128分、同じく「ライオン・キング」は87分が119分、「トイ・ストーリー」は1991年の第1作では81分だったのに、シリーズ第4作では100分へと長尺化しています。

日本のアニメ作品にしても。「名探偵コナン」シリーズ第1作の「時計じかけの摩天楼」(1997年)は95分だったのに109分、「ドラえもん」第1作「のび太の恐竜」(1980年)の94分から今回は111分と、いずれも長尺化の傾向にあるようです。

かつては映画の長さは、少しでも長くしたい製作側と少しでも短くしたい(劇場の回転率を上げたい)興行側とのせめぎ合いでした。でも、近年は劇場のシステムが変わったり、映画興行そのもののありようが変化したせいか、長めの映画が多くなる傾向にあるんでしょうね。

私には持論があります。

映画の長さは幅に制限される

かつて一般的なホームムービーで使われていた8ミリフィルム(フィルムの幅が8ミリ)は1巻がだいたい200秒、3分半弱でした。これを数巻つなげてご家庭で鑑賞するのです。そのころも(高かったけど)劇場用映画などのフィルム販売は行なわれていましたが、完全収録などは望むべくもない10分くらいのダイジェストばかり。8ミリフィルムにむいた長さはこれくらいだったということでしょう。

その上のサイズの16ミリは、テレビのフィルム作品に使われることが多かったようです。だからテレビドラマとかは、だいたい1時間弱。学校などの映画教室などで使う教育用映画やドキュメンタリーもこのくらいだったと記憶します。

一般的な劇場用映画は35ミリフィルム。上記から考えると、2時間弱が適当な長さだったのではないでしょうか。フツーの映画は90分から100分前後がほとんどでしたからね。私はいまでもこのくらいの長さの映画が好きです(個人の感想です)

そしてシネラマとかいった特別の超大作では70ミリフィルムが使われるので、映画の長さも3時間とかが許されるのです。長い映画には幅広のフィルムを使いましょう。そうでないと、間がもたないんですよ(極論です)

だから今の映画はちょっとばかり長過ぎるんじゃないかなぁ……

とまぁそういったことを漠然と考えていたのですが、いまやデジタル時代、そもそも映画もフィルムじゃなくなってますからねぇ(笑)

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