見出し画像

500円映画劇場「ピラナコンダ」

「ヤスモノ映画の帝王」ロジャー・コーマン製作総指揮、「ヤスモノ映画大将軍」ジム・ウィノースキー監督、で、タイトルが「ピラナコンダ」

もうどんな映画か、わかるよね(笑)

ハワイ奥地の密林(どこだよ?)で、ヤスモノのホラー映画をロケ中の撮影隊が、武装した誘拐団と謎の怪物に襲われるという、じつにわかりやすいプロット。

そして、惜しげもなくドサドサ投入される、謎の怪物ピラナコンダの雄姿。その正体は、突然変異で怪物化した「ピラニアとアナコンダのキメラ」 ええと、ピラニアもアナコンダもハワイにはいないはずだが。ま、いいか。

舞台がハワイなのは、たぶんウィノースキーがハワイに行きたかったからだな(あるいはほかの映画の撮影のついでか)

たしかに、犠牲者を丸呑みにするアナコンダでは、血が出ないじゃねーか、それじゃダメだろってのは、ロジャー・コーマン哲学だな。

「血が出ないとダメ」なのはコーマン映画の鉄則のひとつ。ちなみに「出てくる美女はビキニじゃないとダメ」も同じく鉄則のひとつだ。そこで「血を出すためなら、これだろ」とばかりにアナコンダにピラニアをプラス。おかげで水着姿の犠牲者たちは、必ず食いちぎられるわけだ。「わかったか、ウィノースキー君」「はい、ミスタ・コーマン」

ということで、人が喰われるたびに霧のように大げさに飛び散る、というか空中にいつまでも漂う不思議な血しぶきも、単にCGで赤色のマスクをかけただけに見えるのはともかくとして、コーマン映画の定番なのだ。

もちろん、ボスの指示以外には無頓着なので、まったくなんのタメもなく「ぬぼん」と登場するピラナコンダなど、相変わらずサスペンスもクソもない演出に終始。見るからに雑で安っぽいCGも健在。カンベンしてほしいが、もうここまでくれば、これも特色か。これぞ、ウィノースキー印

映画の売りたい要素はすべて盛りこむべし

例によってシナリオもテキトーだし。

たとえば、撮影隊を人質に映画会社から身代金を取ろうとする誘拐犯だが、人数もやたら多いし、超ハイテクっぽい最新式の武器を大量に持っているなど、けっこう資金豊富なようだ。ヤスモノ映画撮影隊を誘拐するだけなのに、なんでハンディミサイルや4輪バギーまで用意しているのか知らんが。そもそもヤスモノ映画撮影隊にどれくらいの身代金が払われるというのか。赤字必至だぞ、おまえら

なによりも「らしい」のは、肝心かなめのピラナコンダ君のあつかいが、ずいぶん雑なことだ。最初は黄色っぽい体色の大蛇が出てくるのだが、途中でなぜか緑色が混じるボディカラーに変身。あれ脱皮でもしたのかな、とか思わせておいて、なんの断わりもなく、とつぜん2匹いたことになるという方向転換ぶりこそウィノースキー映画の真骨頂。トートツなんだよ。

さらに、緑のほうのピラナコンダ君が倒された後も、なぜか黄色いほうのが時々緑色混じりに見えたりして、カラーリングも不安定。見るものになかなか焦点を絞らせないとは、さすがは大将軍。

しかも一見して雑なだけのその混乱ぶりが、じつは映画の最後に例によって「やらずもがなのオチ」をつけるための伏線だったとは、さすがの私も気づかなかったぜ。なかなかやるな、ヤスモノ映画大将軍。ほんとにそういう作戦だったのならば、だが(笑)

そんなこんなで、結局のところけっこう面白がらされた気もするし、なによりも500円とはいえ、こんな「ピラナコンダ」をわざわざ買ってしまったわけだから、やっぱり帝王・コーマンの術中にはまってしまっていたってことか。

そして、いずれ間違いなく製作される「ピラナコンダ2」も、買わされるんだろうな、たぶん。カンベンしてくれよ(笑)

2012年製作のテレビ用映画であります。

映画本体を上回る迫力

ちなみに私が購入した日本版DVDは、ジャケットデザインはそれなりに気合が入っているものの、ディスクそのもののデザインがパソコンのフリーソフトで作ったようなやる気ゼロのシロモノ。やっぱりそんな程度の映画なんだ。 

500円映画劇場 目次


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?