熱い犬

アメリカの食事というと、だいたいにおいて「まずい」「大味」「量ばかり多い」といった感想が出るようです。まあ、当たらずといえども遠からずではありますが、前にも書いたように、料理なんてものはどこの国でも、美味いところでは美味く、不味いところでは不味いもの。国単位、町単位でくくっても、あんまり意味はないですよね。

というアメリカの食い物のなかで、私がけっこう好きなのがホットドッグであります。

説明の必要もないでしょうが、細長いコッペパンにあったかいソーセージをはさんだもの。

パンやソーセージの種類に細かいルールはありません。コールスローや炒めたキャベツをいっしょにはさむものも、わりとポピュラーかな。

定番的に使うのが、ケチャップとマスタード。それにピクルスを刻んだレリッシュというやつをぶっかけて、赤・黄・緑の信号機カラーにするのが、私の好みです。

アメリカでは、ホットドッグというのは、そう高級な食事ではないようで(私見です)、たとえば、一方の雄であるハンバーガーは、けっこう高級めなレストランでもちゃんとメニューにあったりするんです。ちゃんと皿にのって、ナイフとフォークがついてくるディナーメニュー(でもケチャップやマスタードは瓶のまま運ばれてきたりするけど) 

でも、ホットドッグのほうはカウンター式のダイナーか、道端の屋台で売ってるのがせいぜい。

そういうところで買ったのを手掴み丸齧りするのが、また美味いんですけどね。

というホットドッグが印象的な映画といえば、これはもう「ダーティハリー」につきますね。

映画の冒頭、食事中に銀行強盗に遭遇する凄腕のハミ出し刑事ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)が、まさにその時に食していたのがホットドッグ。ひと口頬張ったのをモグモグやりながら、すらっとマグナムを引き抜いて駆けつけると、たちまちにして強盗犯を制圧。「まだ弾丸が残ってるかどうか、考えてるのか?」というアレです。豪快かつ痛快なシーンでしたね。

さて、あのあとハリー刑事は残りのホットドッグを喰いに戻ったのか、気になるところであります。

このように、刑事や警官が登場する映画やドラマで、ホットドッグはよく登場します。アメリカのポリスさんたちは、忙しくてゆっくり飯を食うヒマもないのかな。そういう時に、究極のファストフードとして、ホットドッグは人気があるんでしょう。

「ハード・ウェイ」という1991年の映画にも、印象的なホットドッグが登場します。軟派な人気俳優(マイケル・J・フォックス)が、映画の役作りのためにホンモノの鬼刑事(ジェームズ・ウッズ)につきまとうという、ハリウッドでは定番の「相棒もの」 鬱陶しくてたまらないというウッズ刑事の表情が非常に面白かったです。

パトロール中に昼飯でもということになった二人が立ち寄るのは、もちろん街角のホットドッグ屋台。顔なじみのウッズ刑事は「いつものやつ」とばかりに激辛っぽいチリドッグを注文。もちろん「じゃあ同じのを」と続くマイケルくん。するとウッズ刑事は、出来上がったドッグの上に、付け合せのフレンチフライまでテンコ盛りにして、その上からチリソースをぶっかけるや、豪快にかぶりつくのです。それを真似したマイケルくんは、悶絶

この喰い方、ハードボイルドっぽく、けっこうカッコよく映るので、一度真似したいと思うのですが、消化器にも血圧にもよくなさそうですな。

ことほどさように、ホットドッグのほかにも、アメリカ映画に出てくる警官たちの食い物といえば、ドーナツ、ピザ、箱入りの中華料理ってところがほとんど。「刑事コロンボ」のコロンボ警部が好物のチリビーンズもお馴染みかな。どう見ても、脂肪と香辛料、摂り過ぎだろうなぁ。

なるほど、あれくらいのカロリーを摂らないと、警察の激務はこなしきれないんだろうなと納得する一方で、アメリカの警察関係者にデブが多いのも、なんとなくうなずけますね。高血圧とか心臓疾患とか、だいじょうぶなんですかねえ(たぶん大丈夫じゃない)

ま、ここで一言、「デブで悪いかっ!

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