500円映画劇場「キングスパイダーVSメカデストラクター」

ボクシング49戦無敗のフロイド・メイウェザーと、UFCチャンピオンのコナー・マクレガーの「世紀の対決」を見た直後、思いたって見てみたのが、なぜかこの「キングスパイダーVSメカデストラクター」(笑)

「世紀の対決」と同じくラスベガスが舞台の対決ものだったのですが、見なければよかった。せっかくの「世紀の対決」の余韻が帳消しになった。

いきなり「CREEPIES 2」というメインタイトルが出て、本作が続編だということを宣言してくれる。ま、そこまではよくあることなんでかまわないが、それといっしょに流れるのが、なんともチープな画像の数々。

そう、これは2003年にオリジナルビデオ作品として作られた「キングスパイダー」(CREEPIES)の続編。念入りに前作のネタバレまでかましたダイジェストが冒頭についているので、これを見たあとで前作を見る必要がまったくないことがよくわかる。それって営業上どうなんだ?

軍の生物兵器として開発された(またかよ)キングスパイダーが暴れた前作を引き継ぎ、舞台をラスベガスに移して(前作はロサンゼルスだった)、クモ軍団が逆襲してくる。軍の組織らしいのが、通常兵力だけでなく巨大ロボットみたいなの(これがタイトルにあるメカデストラクターらしい)でもって、街ごと叩き潰すという、乱暴きわまりないお話し

ストーリーもツッコミどころ満載だし、クモ群に対する軍の秘密組織の名称を「エリア51」という頭の悪そうなセンスといい、わざと演技できない連中を集めたかと思うような俳優陣のヨタ芝居といい、総合的にヤスモノ映画としても相当なダメっぷりなんだが、そんなものを問題にもさせないのが、映像そのもののダメダメぶり

大雑把に言えば、クモのシーンがCG、巨大ロボや超兵器などがミニチュア特撮、そして戦闘シーンはごくごくシンプルな合成映像。

という具合に特撮の種別が、一目でモロバレになる時点で、すでにダメダメ。

CGは平板感むきだし。まあひと昔以上前のテレビゲーム、スーパーファミコン程度の画像だと思ってもらえればよろしい。なので、クモの群れがワラワラと人々に襲いかかる戦慄シーンも、台無し。こんなCGで良しとする監督の感覚が疑われる。

ミニチュアも、一発でミニチュアとわかる出来栄え。たぶん30センチ以上はないであろうミニチュアなので、巨大ロボなのに巨大感ゼロ。オモチャ同士の組み打ちにしか見えない。破壊されるベガスの街がそこそこの出来栄えに見えるのも、メインのロボや兵器のミニチュア感が貢献しているのだろう。こんな特撮で良しとする監督の(以下略)

そしてそれらを実写撮影とミックスしたシーンがまた酷い。爆発シーンのたびに人や車が前景で吹っ飛ぶのだが、クルクルと必要以上にキリモミで飛ぶその飛びっぷりが、毎回ほぼ同じパターン。工夫が足りないぞ。こんな合成で(以下略)

さらに言うなら、巨大ロボや戦闘機の操縦席のシーンも酷い。どう見てもそのへんの机と椅子に座っているだけに見える。いくら周囲にゴタゴタと計器に見せようとしたガラクタを詰め込んで、背景に実写風景を合成しても、その効果はゼロ。こんな(以下略)

そもそも2005年の作品のわりに、画面サイズはワイドでなく、いってしまえばブラウン管サイズ。オリジナルビデオ作品だというのが言いわけにしか思えませんな。

じつはこのDVDは、500円コーナーでも売れ残ったらしく、さらに値崩れした100円ワゴンで遭遇した。ま、100円では仕方ないか。

いやいや正直言って、100円の価値もないと思ったぞ、まったく。ペットボトル飲料一本より役に立たないな。

ひさびさの大ハズレでした。

このどん底映画の監督(脚本も)をつとめるのがジェフ・リロイ。腕前的には、ヤスモノ映画大将軍のジム・ウィノースキーあたりが大巨匠とまでは言わないが、まだマシに見える。だが、一方でまったくの馬鹿者でもないようだ。

1999年の「Eyes of the Werewolf」(狼男ものかいな)でデビュー以来、IMDBによれば監督作品20本をはじめ、脚本、特撮効果、編集、出演にいたるまで、けっこう出没しているのだ(オリジナルビデオ作品がほとんどだけどね) 日本でも結構な数の国内版ソフトが出ているようだ。

そもそもこの「キングスパイダーVSメカデストラクター」が続編だってことは、正編の「キングスパイダー」がそこそこヒットした、すくなくとも儲かったってことだろう。こんな映画なのに。

これだけのお座敷がかかるってことは、よほど強力なコネがあるのか、素晴らしく要領がいいのか、自己資金が無尽蔵なのか、比類なき強運の持ち主なのか。なんにせよ、そこだけはうらやましいことだ(笑)

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