光は頭方より

最近、高校生になった息子が、背が伸びたせいか、人の頭を上から見下ろしてシミジミとすることが多くなりました。

思えば、私の母方の祖父は、頭部に毛が少なかった。いや、ほとんど無かった。私自身はもちろん、私の母親すらも、毛のある祖父を覚えていないくらいで、若いころから俗にいう「ハゲ」でした。

それゆえ、覚悟はしていますが、一方で私の父親は、80代後半に突入した今も、白髪で、だいぶん分量は減ったとはいえ、いまだ「ハゲ」ではないので、望みは捨てていません。もっとも、父方の祖父は早くに亡くなったため、老境に入ってからどうなったかは、それこそ「カミのみぞ知る」

そんな私は、一時期、けっこう本気でスキンヘッドにすることを考えたことがあります。大学生だった頃ですね。

それは、二人の俳優をカッコイイと感じたからです。

一人は、ユル・ブリンナー

スキンヘッド俳優の元祖、本家のようなブリンナーですが、けっこう頭髪がある写真などもあるので、天然自然の「ハゲ」ではないようです。俳優となり、映画デビューしたころはちゃんと毛があったそうですが、彼がスターダムにのしあがった大ヒット作「王様と私」(1956年)でシャムの王を演じた際にスキンヘッドにしたとか(ちなみに彼は舞台でもシャム王を演じています)

以後、これが彼のトレードマークとなったわけですね。

クールで常に冷静な役柄が多かったブリンナーは、文句なしにカッコよかったので、私のヒイキ俳優の一人です。

ただし、私がいちばん好きなブリンナーの主演作「荒野の七人」(1960年)およびそのスタイルを完全にコピーした黒ずくめのロボットガンマンを演じた「ウエストワールド」(1973年)では、常に黒のテンガロンハットをかぶっていて、スキンヘッドは見せていません(正確には「荒野の七人」でワンカットだけスキンヘッドを見せていますが)

エド・マクベインの警察小説『警官(サツ)』を映画化した「複数犯罪」(1972年)では。大犯罪者「デフ・マン」を演じたブリンナーですが、原作では「金髪の大男で補聴器をつけている」のが特徴だったのが、映画では「ハゲで補聴器をつけてる」になっていたのは、なかなかケッサクでした。

もう一人のお気に入りスキンヘッド俳優は、テリー・サヴァラス

悪役や脇役で強烈な個性を発揮していたサヴァラスも、私が知る限りではいつもスキンヘッド。

かなり早くからこのスタイルだったようで、デビュー後すぐにアカデミー助演男優賞候補になった「終身犯」(1961年)でも、すでにスキンヘッド。「女王陛下の007」や「特攻大作戦」をはじめとする「3大大作戦」でも、スキンヘッド。世界中で人気を得たテレビ「刑事コジャック」でももちろんスキンヘッドでした。独特の凄みは、あのヘアスタイル(っていうんだろうか)によるところも大きかったでしょう。

余談ですが、私のもう一人のごひいきスキンヘッド俳優に、香港のカール・マッカがいるのですが、彼のウルトラヒット作「悪漢探偵」シリーズでの警部役では、もちろんスキンヘッド。そのため仇名が「ボールディ(ハゲ)」とそのものずばりなのですが、その本名が「コージャック」 香港でも「刑事コジャック」がポピュラーだった事の証明ですね。

顔には迫力や渋さのほとんどない私としては、サヴァラスのようなスキンヘッドにでもすれば、少しは男らしい凄みが出るのではないかと思っていたのであります。浅はかな(笑)

さて、いまでもスキンヘッドへの気持ちが少しは残っている私ですが、結局今まで、実際にスキンヘッドにしたことはありません。

ひとつは、数年前から弟が先を越してスキンヘッドにしてしまったので、いまさら真似するのもなぁ、ということ。

そして、現在も、そして若いころもスキンヘッドを断念したのは、じつは私の頭は、ユル・ブリンナーやテリー・サヴァラスのようにカッコよくなく、後頭部が真っ平な、ぞくにいう「ゼッペキ」だからなのです。うーん、これではスキンヘッドは似合わないよなぁ。

まあ、そんなわけで、いまのところスキンヘッドにする予定はないのですが、もうちょっと毛が減ったら、否応なしにスキンヘッドになる可能性もあるわけですね(笑)

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