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外出自粛映画野郎「皆殺しのジャンゴ」

こんな時期には、スカッとするマカロニ・ウェスタンでしょ。

というわけでチョイスしたのが、どうしてこの「皆殺しのジャンゴ」なのでしょうか。

ま、いいじゃないですか。

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わけを白状すれば、主演がテレンス・ヒルだからです。

以前に書いたように、このニヒル(かつニヤけた)二枚目っぽいが性格軽そうな男は、私のヒイキ俳優のひとり。巨漢バッド・スペンサーとの風来坊コンビの主演する一連の映画は、お気に入りであります。

そのテレンス・ヒルが(たぶん)初めてマカロニ・ウェスタンで主演したのが、この「皆殺しのジャンゴ」なのです。

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後年のコメディ色はまったくなくて、ニヒルな感じを前面に押し出して演技しています。コメディ色を出すようになるのは、このあと1970年の「風来坊」あたりからですね。

で、私はそういうふうにこの映画を受け止めるんですが、世間的にはやはりあの「続・荒野の用心棒」の続編(ややこしいな)ということになるんでしょうか。

フランコ・ネロがニヒルな主人公、凄腕の流れ者・ジャンゴを演じて一世を風靡し、クリント・イーストウッドが去ったあとのトップの座を確立した名作。印象的な主題歌で連呼されるジャンゴ(Django)の名を不朽のものにしました。

ただこの「皆殺しのジャンゴ」がはたして「続・荒野の用心棒」の続編かといわれると、それはちょっとね。

たしかに、脚本に「続・荒野の用心棒」のフランコ・ロゼッティの名がありますし、主人公の名もはっきりと「ジャンゴ」だし、邦題にもジャンゴと入っているし(インチキ邦題ではないんです)……

ま、だいたい「続・荒野の用心棒」からして、イーストウッドの「荒野の用心棒」の続編ではないわけですし、そんなことはどうでもいいのか。

ちなみに、この映画以外にも「ジャンゴ」が登場するマカロニ・ウェスタンは山ほどありますし(ざっと調べてみたら20本以上ありました)、ジャンゴが出てこなくてもタイトルに勝手に「ジャンゴ」を冠した作品もたいへんに数多いので、ますますどうでもいいことのような気がしてきました。

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で、お笑いでないテレンス・ヒル主演のこの映画ですが、さすがにいま観ると時代を感じるというか、どっかで観たような気がする作品になっています。その後にこんな映画が大量に作られているせいですかね。

とはいえ、友人の裏切りで妻を殺され、死刑執行人となって秘かに生きながら、復讐のために仲間を集め、裏切りにあいつつも最後にドカン。あらすじだけでも、これぞマカロニ・ウェスタン!

ま、ポスターなど見ればすぐに察しがつくラストのビックリも、実際に映画で観ると「おおっ!」となりますからね、やはりよくできた映画です。

そんなわけで、よく考えると決して後味のいいストーリーではないくせに、けっこうスカッとしてしまうのこそ、マカロニ・ウェスタンなんですね。

ちなみに、こうなるとジャンゴが主人公の映画を調べたくなってきました。おなじみIMDBのキーワード検索で調べたんですが、どうももうひとつ信用しきれません。この「皆殺しのジャンゴ」が見当たらないんですから。ということで、ジャンゴ映画の全貌は不明のまま。ひとつここは、じっくり腰を据えて調べてみて、全部観ることに……ああ、悪いクセが(笑)

「皆殺しのジャンゴ」Preparati la bara!(英語題 Django, Prepare a Coffin 他にも別題あり)1968年/監督フェルディナンド・バルディ/脚本 フランコ・ロゼッティ&フェルディナンド・バルディ/テレンス・ヒル、ホルスト・フランクほか/88分

邦題には「皆殺しのジャンゴ/復讐の機関砲(ガトリングガン)」というネタバレ全開なサブタイトルのついたものもありますが、どうやらこれはVHSソフト化された際につけられたもののようです。

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