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ダブリンぶらり(3) 遺跡めぐりツアー

前にも書いたことがあるけど、私は古墳が好きです。関西で育ったころに奈良や大阪の古墳を多く見て、さらには住んでいた西宮の近所にもたくさんあったからですかね。そのせいか、大学では史学科に通いましたし。

今回のダブリン旅行で、郊外の遺跡を見に行くツアーにという話になった時、さほど乗り気ではなかったんですが、それが「古墳」だと聞いてがぜん興味が湧きました。

そんなわけで、同行日本人軍団が十数人結集して、日本語ガイド付きツアーに出発です。

ダブリン市街から小型バスで小一時間。最初に訪れたのが、ブルー・ナ・ボーニャ遺跡群の中でもっとも有名な遺跡、ニューグレンジ(Newgrange)です。牧草地が広がる丘の向こうにこんなもん見えたら、もうテンション上がっちゃいます。

ボイン河流域のこの一帯には、ニューグレンジのほかにも同様の墳丘が点在していて、全部合わせてブルー・ナ・ボーニャと呼んでいます。百舌鳥・古市古墳群みたいなもんでしょうか。現地にあった日本語の案内パンフレットにも「古墳」と書いてありました。

百舌鳥・古市古墳群は、先ごろ世界遺産になりましたが、こちらも世界遺産に指定されています

近寄って見ると、たしかに、日本の古墳によく似ています。円墳ですね。表面が石で覆われているのも、巨大な石材で組み上げた横穴式石室を持つあたりもソックリなのは不思議ですね。文化交流があったわけでもないのに。

中央に見えるのが横穴式石室への羨道の入り口です。

こんな渦巻模様、そういえば日本の古墳にもありますね。

大きさは、日本の巨大古墳のほうがはるかに大きいです。ところが、ニューグレンジをはじめとする遺跡群は、もっとずっと古いのです。日本の古墳は1500年ほど前のものですが、この遺跡群は5000年以上前のもの。エジプトのピラミッドや、イギリスのストーンヘンジよりも古い時代のものなんですね。すごいや。

石室の中も見学しましたが、ちょっと閉所恐怖症の人には向かないですね。年に一度だけ、冬至の日に日光が差し込む作りになっているそうで(インディ・ジョーンズにそんなのがありましたね)石室見学の最後に人工灯で再現してくれます。実際の冬至には、抽選で選ばれた10組20名だけが見学できるそうですが、世界中から三万人以上の応募があるんだとか。当たらんな、そりゃあ(当選して勇んで出かけても、当日の天気が悪ければアウトだし)

ま、これがほんとに古墳、つまり墳墓なのかは、諸説あるようですが

次に向かったのは、ここ。

モナスターボイス(Monasterboice)です。初期キリスト教の修道院の遺跡で、地元の村名にもなっているとか。

5世紀に出来たんだそうで、こっちが日本の古墳と同時期ですね。11世紀ごろに廃止され、その後は小規模な教会として、現在は墓地として使われています。

見どころは、中央に立つ石造りの塔(ラウンドタワー) バイキングが侵攻してきたころに、避難所として作ったものだそうで、アイルランド各地に残っているものの一つだとか。保存状況はたいへん良好です(頂上部が壊れているのは落雷によるものだとか) 高さはおよそ28メートルで、見上げると、これまた圧倒されます。

他にも、美しく、保存状態の良いケルト十字架などもあって興味深いのですが、ふと気づくとそこここに墓石が。

そう、ここは現役の墓地。ほんの数年前に作られた新しい墓などもあって、その墓地をわれわれはドカドカ歩き回っていたんですから、なんか申しわけない感じですね。墓地に対する感覚の違いがあるんでしょうかね、けっこう地元の人のらしき踏み跡も多かったです。

昼食は、廃止された鉄道駅を流用したステーションハウス・ホテルでいただきました。駅舎を利用したホテル本体のみならず、さまざまな鉄道施設の跡をも利用していて、廃線鉄道に興味がある向きにはたまらんホテルです。

プラットホームの跡も活かされてます。転車台は結婚式場にと転身。

ね、たまらんでしょ(笑) あ、もちろん料理もたいへん美味でした(この件はまた後ほど)

さて食事後は、本日のメインであるタラの丘(Hill of Tara)へ。この時点ですでに心身とも満腹状態でしたが……

ここはすべてのアイルランド人の心のふるさとだそうです。

ケルト人たちがアイルランドにやってくるよりも以前に存在したといわれる伝説の神族と、その上王(ハイキング)たちの居住地とされる場所ですが、考古学調査の結果では5000年以上前の新石器時代からのものだとか。

広大な丘陵地に、不思議な窪地が築かれ、マウント(墳丘)、石碑など、いくつかの遺構が点在しています。

全体像が見えにくいので、後日おとずれた博物館にあったジオラマをご覧ください。

丘の中央に屹立するこの石は、上王の即位に使う石で、ここに耳をつけて叫び声が聞こえたら、上王の資格ありってことだそうです(やってみたけど聞こえませんでした。アイム・ノット・キングですね)

知らなかったけど、アイルランドの歴史の深さに触れた気がして、すっかり満足しましたね。

今回のツアーで最大の驚きは、お天気。

写真を見ていただければわかるように、各遺跡を訪れている間、雨は降っていなかったのですが、バスに乗車中やホテルでの昼食中には、ざんざん降ってたんです。どうやらツアー参加メンバーに強力な晴れ男か晴れ女がいたらしいです。後日わが家だけでダブリン市内をうろついているときにはけっこう降られたんで、わが家がそうではなかったようです。

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