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外出自粛映画野郎「レッド・オクトーバーを追え!」

先日、潜水艦ものの最新作ハンターキラー 潜航せよ」を観たので、今度はこのジャンルの最高傑作のひとつを観てみることにしました。

1990年製作で、同年に日本でも公開の「レッド・オクトーバーを追え!」 潜水艦ものとしては、たぶん史上最大のヒット作ですね。

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ご存じのように、ソ連海軍(!)の最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーの亡命をめぐる米ソの熾烈な駆け引きを描いたサスペンス。

名作としての評価は定着している感じですが、すでに30年前の作品だけに、当時は最新だったテクノロジーも、いまや古臭い感じが否めません。艦を操作するコンピューター画面もすべてブラウン管みたいだし、GPSシステムもないのかも。インターネットを使った通信システムもなしらしい。

このへん、2019年時点での最新テクノロジーを導入していた「ハンターキラー」を観た直後だけに、やはり目につきますね。これがもっと古い潜水艦だったら、そんな欠点は気にならないんでしょうからね。

ただ、そんな欠点は些細なこと

先の読めない展開、ショーン・コネリー(この映画観たときは「老けたなぁ」と思った)やアレック・ボールドウィン(「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」で観たばかりだけに「若くて痩せてるなぁ」と思った)を中心とした頭脳戦は見応えじゅうぶん。

まぁちょっとハショリ過ぎな気はしましたが。

という感想は、じつは初めてこの映画を観た1990年当時にも抱いたのと同じもの。

巨匠トム・クランシーのデビュー作でもある原作『レッド・オクトーバーを追え!』は1984年の作品で、その翌年には邦訳出版されていましたからね。

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とっくに原作は読み終わっていましたので、あそこがない、あれが省略されている、なんてのがけっこう気になったものです。商売柄(当時)映画を観ている最中には自分の脳内でハショられた部分が補完されていくのですが、無意識のうちにそんなことしながら観ていたってことは、さすがにハショッた部分が多かったってことでしょうね。

ただ、原作を読んでいない人が、いまこの映画を観てどんな感想を抱くかと心配したのですが、今回いっしょに観ていた息子はとくに気にせず観ていたようなので、まぁいいのかな

さて、この映画の本来の主役は、潜水艦長役のショーン・コネリーではなく、CIAの分析官ジャック・ライアンを演じたアレック・ボールドウィンのほう。そう、ライアンが主人公なんですよ。

原作はシリーズ化されていて、後年は合衆国大統領にまで出世するライアンくんですが、小説では20作ほどの作品に登場しています(日本と戦争したりもするんです) スパイ・サスペンス小説の世界では大物の一人なんです。

シリーズの映像化は映画5本とテレビシリーズがありますが、ボールドウィンがライアンを演じたのはこの作品でだけ。ちなみに2代目以降は順に、ハリソン・フォード(2作)、ベン・アフレッククリス・パイン。テレビ版ではジョン・クラシンスキー

で、なんで初代のボールドウィンくんが1作かぎりになったのか。そんなに悪い出来ではなかったと思いますが……やはりショーン・コネリーという大看板がいなくなった2作目(「パトリオット・ゲーム」1992年)の主役は、当時の彼には重かったってことですかねぇ。

そうそう、この映画の重大な欠点として、セリフの言語のことには触れなければなりませんね。これは初公開当時にも思ったことですが。

ソ連側の人間も平気で英語でしゃべるのは、やっぱり変でしょう。

とくにこの映画では、ラスト近くでやっと米ソの登場人物が直接からむときの会話があるのですからね。途中で中途半端にロシア語を喋ったりするので、余計にそう思います。コネリー御大が嫌がったのか、いやいや製作側の問題でしょうね、やはり。アメリカ娯楽映画ではよくあることですが……

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「レッド・オクトーバーを追え!」The Hunt for Red October/監督ジョン・マクティアナン/脚本ラリー・ファーガスン、ドナルド・スチュワート/原作トム・クランシー/出演ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン、サム・ニール、ジェームズ・アール・ジョーンズほか/135分

いま調べていてわかったんですが、原作(文春文庫)って現在品切れなんですね。これほどの名作でも……といささかガックリ。

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