500円映画劇場「エイリアン・バトルロワイアル」

はい、今回は「エイリアン・バトルロワイアル」 500円映画業界でもっとも生息数が多いと思われる、エイリアン一族のうちの一匹ですね。

それにしても、デタラメな邦題の多いこの世界ではめずらしいくらい的確な邦題です「エイリアン・バトルロワイアル」とは。はい、間違いなくエイリアンは出てくるし、「自分以外は全部敵」的な混戦バトルもちゃんとあります。原題は「Alien Opponent」2010年の作品。

で、先に結論をいうと、これはなかなかの掘り出しモノでした。いや私の好きな方角を向いた映画だってだけですが。

なので、めずらしく、あらすじを詳しげにご紹介してみましょうか。

舞台はアメリカのド田舎。都会と違って撮影許可とかの面倒ごとがないので、ヤスモノ映画はだいたい田舎が舞台になりますね。

その田舎町にあるジャンクヤード(廃品集積場) オーナーのいかにもなバカ白人(金持ちで、しかもこの田舎町の市長らしい)の中年オヤジが、登場します。

このオヤジが、年の離れたけっこう美人のオネーチャン(でも頭は悪そう)を妻にしているのですが、おおかたの予想どおり、女房は幼なじみの青年(無駄にマッチョ)と浮気中。

で、それがばれてセクシー女房にオヤジの激怒が向けられるんですが、ここで女房のちょいとイカレたママ(オヤジにとっては同居中の義母)がいきなりオヤジをなぐり殺すという、まだまだありがちな展開。意外と悪知恵のはたらくママは、金持ち親父の遺産と保険金を手にしようと画策。

まさにそのドンピシャのタイミングで、このジャンクヤードに、まさにピンポイントで、大宇宙からエイリアンの宇宙船が不時着するという、信じられない確率の展開

こちらもけっこうマヌケなエイリアンくん(宇宙服装備なのか、ほとんど見た目はロボット) でも技術力はそうとうのものらしく、ジャンクヤードのガラクタで宇宙船の修理にかかります。だいじょうぶなのか、そんなので。

保険金で一攫千金のつもりが、オヤジの死体がある納屋にエイリアンが居座ってしまい、死体回収ができない欲深母娘は、さて困った。いやべつに死体なくても保険金は下りると思うんだが。

そこでいきなりローカルテレビ局にコマーシャルを掛け、エイリアン駆除と死体回収のため、高額の賞金を餌に助っ人大募集。このへんはけっこう笑える。賞金10万ドルだって。

で、賞金につられてウジャウジャ集まるのが、また頭の悪そうな男女の群れ。お決まりの帰還兵や殺し屋風情から、暴走族、ミリタリーマニア、単なるチンピラ、ストリッパー、女子学生、インチキ神父、コスプレ娼婦、なぜか空手スクールの子どもたちなど、まあサービス満点。

このにぎやかな連中と、居座り続けるエイリアンの防衛システムとの死闘が、盛大に始まるという仕掛け。

エイリアンの仕掛けはけっこう凝ってて、謎のナメクジ状生物の群れとか、天高く犠牲者を放り投げるトラップとか、瞬間氷殺システムとか、安っぽくはあっても工夫されています(ややほめ過ぎ)

もちろん定番の「ジョーズ」パロディや、ゾンビ登場のシーンもちゃんと押えてあります。

ということで、さすがはちゃんと劇場公開したらしい映画ですねえ(だからほめ過ぎだってば)

言ってしまえば、延々とエイリアンと人間、さらには人間同士の殺し合いが続くだけですが、殺しっぷり/殺されっぷりにそれなりの工夫が凝らしてあるので、そうそう見飽きません。いや500円映画としては、ですが。

相変わらずの雑なCGはありますが、あまり特撮にこだわらず、その分アラも目立たないし、血みどろシーンはなかなかの善戦。80年代のスプラッタ映画並みですが。

あ、誤解のないように。映画そのものは、そう上等な代物では、もちろんないです。

脚本はいいかげん。映画冒頭では主役になるんだなと思わせる帰還兵が、いきなり吹っ飛んでしまうとか、途中までけっこういい感じに登場するキャラもあっけなく死んでしまうし、意識してやってるのかもしれないが、どこにストーリーの中心をおきたかったのかが、さっぱりわからない。いったい誰が主役なんだ? 最後の最後にいちおうオチっぽいのがついてるのが、かえって全体の雑さを浮き彫りにしてる感じで苦笑を誘います。

私にとっては、映画に転向する前のプロレスラー時代から好きだったロディ・パイパー(「セイリブ」)がインチキ神父役で出演して健在ぶりを見せていたり、ストリッパーながら超強いおねーちゃんがけっこう露骨に「エイリアン」のシガニー・ウィーバーに似せていたりと、けっして褒められた映画じゃないわりに、ポイントを稼げる点はありました、ってこと。

だからみなさん、ご注意ください。決して一般向けの優れた映画じゃないですよ、決してね。

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