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史上最強の都道府県

大相撲9月場所は、大穴いやちがった大関・豪栄道の全勝優勝で幕を閉じました。おめでとう、豪栄道。来場所は「綱取り」ですね。頑張ってください。

さて、豪栄道の優勝に際してさかんに言われたのが「大阪府出身の力士の優勝は86年ぶり」とかいうこと。

大阪では毎年3月場所が開催されているだけに、ええっそんな馬鹿な、などと思いましたが、さんざん報道されたように、前回の大阪出身力士優勝は1930年(昭和5年)の夏場所に平幕全勝優勝を飾った山錦。ちなみにこれは学生相撲出身力士の優勝第1号でもありました(第2号は42年後の輪島)

山錦の師匠にあたる、同じく大阪出身の大錦が5回優勝しているので、大阪出身力士の優勝は今回の豪栄道を合わせて合計7回になりました。

うーん、これだけでは多いのか少ないのか、ハッキリしないですねえ。

ちなみに私の地元・神奈川県出身の優勝力士は、1931年(昭和6年)夏場所の武蔵山と、1959年(昭和34年)11月場所の若羽黒の計2回。これは少ないんでしょうね。

そこで例によって、都道府県別の優勝回数を調査いたしました。明治42年(1909年)夏場所に優勝制度が施行されて以降、477回の場所が対象になります。

はい、結果は、この通り。

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調べるまでもなく、トップは北海道

そりゃそうです、個人の優勝回数第2位の大鵬(32回)、第3位の千代の富士(31回)、第5位の北の湖(24回)を擁しているばかりでなく、吉葉山、北の富士、北勝海、大乃国らの横綱を輩出しているのですから。

しかも、北海道力士の初優勝は意外と新しくて、1949年(昭和24年)秋場所の千代ノ山。なので、その後の優勝占拠率はたいへん高いですね。現在では十両・旭大星しか関取がいないのが不思議なくらい、北海道は相撲大国だったのです。

次いでモンゴル国のウランバートル市(モンゴルに都道府県があるかどうか知りませんが) 優勝回数1位の白鵬(37回)と第4位の朝青龍(25回)がいるんだから、これも当然でしょうね(他は旭天鵬と照ノ富士が1回ずつ)

個人優勝回数20回以上の大横綱は、上記の面々のほかは平成の大横綱・貴ノ花だけ。優勝22回のその貴ノ花を擁する東京都が都道府県別で第3位。他に江戸っ子横綱・東富士、栃若時代の雄・栃錦、貴ノ花の実兄・若ノ花(3代目)らがおります。

それに続くのが青森県(37回)、アメリカのハワイ州(27回)

以上が都道府県別の優勝回数ベスト5です。都道府県じゃない所もありますが。それにしても、あんまり意外性のない結果ですねえ。そして海外の地方が2カ所ランクインしているのが、意外なような、そうでもないような。

あとは表をご覧いただくとして、さてそうした個人の優勝回数の多寡が色濃く反映された数字だけだとやや不公平感がありませんか?

そこで、今度は優勝力士数で数えてみました。

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おお、こうすると北海道に次ぐ2位には青森県が浮上します。個人の優勝回数では初代・若乃花の10回が最高ですが、清水川、鏡里、栃ノ海、初代・貴ノ花、2代目・若乃花、隆の里、旭富士ら、錚々たるメンバーが揃っているのです。北海道と並ぶ相撲王国のイメージのある青森県ですが、こちらも現在は少々さびしい状態ですかね(関取数3人)

ほかに順位を上げたのは、秋田県、茨城県、鹿児島県あたり。

逆に石川県は、優勝回数では第7位(計15回)ですが、そのうち14回が輪島1人のものなので、優勝力士数では大きく後退(もう一人は出島) まあこれから遠藤と輝が優勝を重ねてランクアップしてくれるんでしょう。

岡山県も同じで、優勝回数10回が、すべて常の花一人の優勝なので、ご覧のとおりです。

さてこうして見ると、はいお気づきのとおり、優勝力士を出している都道府県は33しかありません。

ということは47都道府県のなかに、いまだかつて優勝力士を輩出していない府県が、まだあるってことですよね。

ではその「優勝なし府県」をご紹介しましょう。

宮城、群馬、埼玉、長野、岐阜、福井、静岡、和歌山、滋賀、京都、島根、徳島、熊本、沖縄の1府13県。

けっこうたくさんあるんですね。

面白いのは、各地方で一県ずつ未優勝県があったりすることで、たとえば東北では宮城県だけが優勝なし。同じように、北関東の群馬県、首都圏の埼玉県、北陸の福井県、中国の島根県、四国の徳島県あたりが、その地方唯一の未優勝県で、隣県に対して顔向けできないですねえ(笑)

まあ明治42年の優勝制度制定以前に強豪力士、大横綱を出している所もあるので異議もあろうことかと思いますが、とにかくこの1府13県出身の力士諸君は、大相撲史に名を刻むチャンスがあるってことであります。

優勝すれば県民栄誉賞くらいはもらえると思うので、ご当地出身の力士諸君は大いに頑張ってくださいね。

  大相撲/丸いジャングル 目次

【2021/1/25】 この記事を書いてから5年ほどが過ぎ、ずいぶんと情勢が変わりました。横綱陣は白鵬と鶴竜は健在ですが日馬富士は去り、稀勢の里が横綱に昇進して引退し、大関陣は総入れ替え。いまや土俵は戦国時代の様相です。

その間26場所、都道府県の優勝回数もかなり変化しました。

26場所のうち、ウランバートルが9回(白鵬7回、玉鷲と照ノ富士が1回)の上積みをしましたが、ほかにスフバートル(鶴竜)が4回、茨城(稀勢の里)、兵庫(貴景勝)、長野(御嶽海)がそれぞれ2回ずつ、ゴビアルタイ(日馬富士)、ジョージア(栃ノ心)、富山(朝乃山)、奈良(徳勝龍)、熊本(正代)、そしてこの初場所の埼玉(大栄翔)が1回ずつです。

この結果、優勝なしだった14の府県のうち埼玉、長野、熊本が抜けて、残りはこの1府10県となりました。

宮城、群馬、岐阜、福井、静岡、和歌山、滋賀、京都、島根、徳島、沖縄

優勝制度制定以来初の優勝を地元にもたらした大栄翔、御嶽海、正代は歴史に名を刻んだことになりますね。

とりあえず初場所の番付で幕内に在位している、静岡県出身の翠富士と島根県出身の隠岐の海の両雄は、地元に史上初の優勝をもたらすべく頑張ってください。いまの戦国状態なら、きっとできる!

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