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外出自粛映画野郎「インフェルノ」

ダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』が2003年に発表され(邦訳は2004年発売)ベストセラーになったときには、すでに映画化は決まっていましたよね。近年の映画界では、売れそうな本の映画化権は発売前から押さえるのが普通ですから(映画は2006年に公開)

そんな原作をいち早く読んでいた私ですが、映画にはなんとなく乗り遅れて、観たのはだいぶん後でした。ゼロ年代の私は、子どもが小さかったこともあって、あんまり映画を観ていなかったせいもありますが、原作小説があまりによかったので、映画を観るのを逆にためらったからです。ついつい原作とくらべてしまい、つまんない映画と感じるのを恐れたんですね(この危惧が当たっていたかは、まぁ……)

で、そんなせいもあって、その後に映画化された「天使と悪魔」はパスしてました。

それがモノの弾みで、シリーズ第3作のこの「インフェルノ」を観てしまったんです。いや深い意図はなかったんですがね。基本的には各話独立した物語ですし。

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いや、いま観てよかったですよ、ほんとに。

ご存知のように、この作品のキモは「人類を滅ぼしかねないウィルスがばらまかれるのを阻止する話」ですからね。バイオテロもの。

そりゃあ、いま観たら響きますよ。

この映画が公開された2016年には、世界的に蔓延する疫病なんて設定には、たぶんリアリティを感じなかったでしょうからね、いまほどは。

しかもそれに対するのは(もちろん主人公のラングトン教授もですが)いまや話題のWHO(世界保健機構)ですからね。ほら、最近トランプ大統領閣下と揉めてるアレですよ。

映画のなかでは、デルタフォースやシールズも真っ青の実行部隊を擁しているWHOですが、ここ数カ月の様子を見ていると、リアルではあんなパワーは持っていなかったことがバレてしまいました(笑) この点はいま観ると損した感じですかね。

でも、ラングトン教授を演じるトム・ハンクスが、実際に新型コロナに感染していたと報道されましたし(どうやら無事に回復したらしい)やっぱり妙なリアル感がありましたね。

つくづく、映画って観るタイミングによって大きく印象が変わるものです。

そういえば、今回のコロナ禍の初期に「細菌兵器だ」「ウィルス研究所から流出した」「ナニモノかの陰謀」といった無責任な噂や、それに乗っかっただけの報道がありましたが、あんがいこの映画の影響だったりするかもしれません。なにしろ、原作は世界的ベストセラー、映画もヒットしたんですからね。

もっとも、そんな形でリアルさを感じたところで、べつに映画が面白くなるわけではないですが。

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主人公のロバート・ラングトン教授は、小説では『天使と悪魔』(2000年)、『ダ・ヴィンチ・コード』(2003年)、『ロスト・シンボル』(2009年)、『インフェルノ』(2013年)、『オリジン』(2018年)の5作品に登場しているシリーズ・キャラクター。私の感想では「知のジェイムズ・ボンド」といったイメージですが、もちろん映画でのほうが、より活動的な気がします。そうじゃないと映画にならないもんねえ。でも、大学の先生ってあんなに走れるもんかいな(笑)

映画化では上記したように「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)、「天使と悪魔」(2009年)、「インフェルノ」(2016年)と順番が少々かわっていますが、まあ大した影響はないですね。

原作にはたしか「ハリソン・フォードに似ている」と書いてあった気がしますが、これは原作者がインディ・ジョーンズに影響されていた証拠なんじゃないかな。まぁキャラ的には共通する部分もあるし(考えてみたらインディも大学教授だよな)

もちろん映画化にあたっては年齢的なことからも、またインディ氏とのイメージ混同を避けるためもあって、トム・ハンクス起用となったんでしょう。推測だけど。

で、次の映画化は予定があるんでしたっけ

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「インフェルノ」Inferno/2016年/監督ロン・ハワード/脚本デヴィッド・コープ/原作ダン・ブラウン/出演トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ、オマール・シー、ベン・フォスター、イルファーン・カーンほか/121分

原作『インフェルノ』ダン・ブラウン/ 越前敏弥訳/角川文庫(リンク先は電子書籍版)

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そういえば、同じ「インフェルノ」というタイトル(原題も同じ)の映画が1980年にあったことをご存知でしたか? どぎついホラー映画ですが(なにしろダリオ・アルジェント監督だ)私はこっちのほうが印象強いなぁ。

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