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アルプス一万尺

先日、NHKでやっていた「北アルプスドローン大縦走」という番組を見ていたら、「アルプス一万尺」の話が出てきました。この歌、知らない人はあんまりいないでしょうが、こんな歌詞。

アルプス一万尺
小槍の上で
アルペン踊りを
踊りましょ

この2節目にある「小槍(こやり)」って、考えてみたら何だかよくわかりませんよね。あなたは知ってましたか?

はい、番組で紹介されたように「小槍」っていうのは、北アルプス槍ヶ岳の頂上付近にある尖峰のひとつ。わからない人は調べてみてね。

これは知らなかったな。登山とか地理に趣味のある人はご存知だったんでしょうが、ずっと「コヤリノウーエデ」と歌っていたのに、その「小槍」が実在する山のことだったなんて。

で、そうなると今度は「アルペン踊り」ってのは、いったい何だろうかというのが気になってきました。ダンスの一種? なんであんな危なっかしい頂上で踊らなきゃならないんだ?

ま、それはほっといて、これを調べたときに、さらなる驚愕の事実を知りました。

「アルプス一万尺」って歌、歌詞が29番まであるって知ってましたか?

いや、いわれてみれば、2番の歌詞は知っていたんです。

昨日見た夢
でっかいちいさい夢だよ
蚤がリュックしょって
富士登山

どこで覚えたかわかりませんが、これはソラで歌えました。なんでだろう?

それはそうと、この歌詞、かなりアホらしいですよね。だいたい、アルプスと関係ないし。なんでこれが2番なんだろか?

で、3番以下も見てみましたが、けっこう内容にばらつきがあります。

ほとんどは登山の楽しみや喜びを歌っているのですが、中にはナンジャコリャ的なのも多いです。

中でも私にウケたのは9番から14番までの一連の歌詞。

蝶々でさえも
二匹でいるのに
なぜに僕だけ
一人りぽち

トントン拍子に
話が進み
キスする時に
目が覚めた

山のこだまは
帰ってくるけど
僕のラブレター
返ってこない

キャンプファイヤーで
センチになって
可愛いあのこの
夢を見る

お花畑で
昼寝をすれば
可愛いあのこの
夢を見る

夢で見るよじャ
ほれよが浅い
ほんとに好きなら
眠られぬ

ええと、要するにモテない男の愚痴です。見てて情けなくなります(笑)

まあこのくらいは許せるけど、さすがにあきれてオイオイなのは、終盤の26番と27番。

槍と穂高を
番兵に立てて
鹿島めがけて
キジを撃つ

槍の頭で
小キジを撃てば
高瀬と梓と
泣き別れ

バカバカしいですねぇ。好きだなぁ、こういうの。

で、この「アルプス一万尺」のこの歌詞ですが、作詞者不明なんですってね。だから著作権は消滅状態ですので、こうして安心して引用もできるわけです。

ご存知のように、この曲の元歌はアメリカの「ヤンキー・ドゥ―ドル」という歌です。もともとは独立戦争の際にイギリス兵がアメリカ兵をからかって作った歌だそうですが、なぜかアメリカ側が気に入ってしまって、アメリカ人によく歌われているそうです。

ちなみにこっちの歌詞も相当おバカです。調べてみたけど、まったく中身のないような歌なんですよ。

で、その「ヤンキー・ドゥ―ドル」ですが、私の大好きな映画「大脱走」の中で印象的に使われてます。

イギリス兵捕虜がほとんどの収容所で3人だけいるアメリカ兵が、7月4日の独立記念日を祝って密造酒をふるまうシーン。

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ヒルツ(スティーブ・マックィーン)の横笛、ヘンドレイ(ジェームズ・ガーナー)のドラム、そして旗持ちのゴフ(ジャド・テイラー)のトリオ。彼らが貧乏くさくも景気よく演奏していたのが、ほかならぬ「ヤンキー・ドードゥル」 もともとはアメリカ人をバカにした歌なのに、もはやアメリカの象徴みたいになっているのがおかしいね。

このシーン、映画中盤の重要な転換点で、むかしよく前後編に分けてテレビ放送される際には、前編のクライマックスに据えられていました。非常に印象的なシーンなので、私はセリフまでよく覚えてます。最後はビッグX(リチャード・アッテンボロー)の力強いセリフ「ハリーを開けろ。掘るんだ、二十四時間

このへんの詳しくは前に書いた「トムとディックとハリー」をご覧ください。

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問題はですね、この件を調べてから、「アルプス一万尺」のメロディが脳裏から離れず、ヘビロテ状態なことです(笑)

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