見出し画像

500円映画劇場「女子高生ロボット戦争」

天才で優等生でオタクでリッチなブリトニーと、スポーツ万能でアメフト部のランニングバックで喧嘩無敵で熱血なアニーは親友同士。ところが二人が通う田舎のハイスクールに、LAからイケメン野郎が転校してきたことから、恋のさや当てが大勃発。二人の大喧嘩は学校中を揺るがす大騒動に!

と、どこにでも転がってそうな学園コメディ「女子高生ロボット戦争」(2001年) もちろん例によっての誇大広告商品であります。このタイトルを見て「女子高生がロボットと戦争する」「女子高生型ロボットが戦争する」「女子高生がロボット戦争に参戦する」などイロイロ期待した人は、この業界ではまだシロウトですね(笑)

ちなみに原題は「XTRACURRICULAR」 これを「課外授業」とか「特別カリキュラム」とか「放課後指導」とか日本語に訳すと、それなりに甘酸っぱくかつエロ風味の学園ロマンスものを連想しますが、そんなものはシビアな500円映画業界では通用しないからね!

ということで(かどうか知らんが)、かたや天才少女はナノマシンから自作の巨大ロボまでを動員。一方の熱血少女はカンフーファイト全開。どうだ、500円映画ファン(そんなもんいるかい!)も、これならオッケイだろう?

ダマされた? いやもうそんな手は喰わないよね。

いやいや、ナノマシンも巨大ロボもショボいCGだとかは、べつにいいんだよ。それでこそ500円映画だし。熱血カンフーがブツ切りカメラワークとアニメっぽいエフェクトで誤魔化しばかりなのも同様。

根本的にこの映画がダメなのは、こうした「味つけ」が、意外なくらい薄味なこと。なにしろ巨大ロボくんなんて、ジャケットイラストでは主役のブリトニーちゃんよりでかいのに、登場時間1分未満。熱血少女のバットスイング一発で轟沈と、ギャグにすらなってない。

そ、この映画、じつはごくフツーの学園コメディなだけなんですよ、基本的に。

まあストレートに学園コメディ作っても、誰も買ってくれないだろうから、そこにちょっとSFXを足してみたらイケるんじゃね? と間違った判断を、作り手の誰かがしちまったんだろうね。

と思って調べてみたら、この映画を製作したショーン・C・カニンガムってやつ(マニアなあなたの頭に浮かんだショーン・カニンガムとは別人だよ)はハリウッドでもCG特撮で仕事をしていたオタク野郎で、監督・脚本をやったティム・T・カニンガム(兄弟かなんかだろうな)も同じく。どうやらハリウッドではそこそこの映画に就いていたらしく(「アルマゲドン」とかに参加してる)その成果を手に、故郷テキサスに凱旋して撮ったのが、この「女子高生ロボット戦争」ということらしい。

そうするとなにかい、こいつらほんとはCGヤマモリのロボットアクション撮りたかったのに、それじゃカネが集まらんので、わかりやすい学園モノに宗旨替えしたってこと?

まあ、どっちでもいいや、けっきょくのところどっちにしたって、ぜんぜん成功してないんだから。

特撮系の出来は前述したとおりだが、じゃあ学園コメディとしてはどうかというと、これまたほとんど笑えない。恋愛もののドキドキ感も、ワクワクのエロチック展開もまったくない。明朗快活、いたって健全かつ健康的な、超ステレオタイプの学園モノに終始しているんだもの。

まあ学園モノのジャンルを偏愛するとか、とにかく若い女子高生が見られればそれでヨシという皆さんはともかく、ふつうの500円映画マニア(いやそれふつうじゃない気がするが)には、まるで見る価値のない映画でありました。

アメリカではいちおう劇場公開向きに作られたようですが、映画祭で上映しただけでDVDスルー発売。日本ではこの通り、500円ワゴン行きとなりました。まあこの出来栄えじゃねえ。

いちおう紹介しとくと、オタク少女を演じたのはミシェル・フェアバンクス、熱血少女がマリア・ジョーンズ。ともにほかの出演作もほとんどないし、華もない、平凡な女の子。たぶんこの映画をロケしたテキサス州フラッガービルとかいうイナカ町の地元少女なんじゃないか。いやそこまでいっちゃ可哀そうか(笑)

500円映画劇場 目次

映画つれづれ 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?