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桃太郎の伝説

なんかテレビCMで、桃太郎、金太郎、浦島太郎の「三太郎」のやつが評判良いですね。私は「三太郎」といえばサトウサンペイの「フジ三太郎」を思い出すクチですが。古いか。

しかし、すでに著作権の消滅したキャラクターを使うとは、考えたものです。著作権料タダだし、原作者からのクレームもなしだし(笑)

そこで、かどうか知りませんが、この「三太郎」で映画を、みたいな話もあるとかないとか。そりゃ無理筋だろうと思ったあなた、じつは前例があるんですよ、知ってましたか?

そう、今を去ること30年ほど前、「桃太郎」の劇場映画がちゃんとあったんです。あ、「ドラえもん」じゃないです。しかも洋画です。

ああ、あれねと思い出した人は、同志です。そういわれても嬉しくないかも知れませんが。

1987年に製作され、日本でも翌年に公開された台湾映画、その名もずばり「新・桃太郎」です。特撮とアクションを駆使した、非常に面白いファンタジームービーであります。いやどのへんが「新」なのかはともかく。

台湾映画でってちょっと奇異な感じもしますが、日本統治時代に日本のむかし話である「桃太郎」が台湾の人々の間に定着したそうで、そのへんからこの映画が誕生したようです。なので、あらすじは、ほぼむかし話の「桃太郎」そのまま。桃から生まれた元気な男の子が、悪い鬼を退治しに行く話です。いやもちろん、それだけでは長編にならないので、いろいろ付け加えられていますが。

付け加えられたものの代表格が、今でも好事家の間では語り草になっている、クライマックスに登場するあまりにあまりな「桃ロボ」だったりしますが、まあそのへんは流しておきましょう。

ちゃんと、犬・サル・キジのトリオも登場します。もちろん人間の俳優が演じてますが。

ちなみに「」の「ツノがあって虎の皮のフンドシ」というスタイルは、方角の「鬼門」からきているといいます。その方角を干支でいうと「丑寅(うしとら)」の方角にあたるからで、牛のツノと虎の皮ってわけですね。

で、そのちょうど反対の「裏鬼門」にあたるのが「申酉戌」つまり「さる・とり・いぬ」これが、桃太郎の子分が犬・サル・キジであることの由来だという説があります。

桃太郎のお話しっていうのは、中国からの輸入とかではないらしく、日本固有の伝説だそうなのですが、その由来はけっこう謎なんですね。大和朝廷による吉備国(今の岡山付近)の征伐が原型になっているとか言いますが、さだかではありません。なかなか奥の深いむかし話なんですよ。

映画に戻れば、なんといっても最大の見どころは、主役の桃太郎を演じるリン・シャオロウ(林小樓)ですね。台湾の若い女優さん(当時)です。

元気な男の子の象徴のような桃太郎を、アイドルばりのかわいい女の子に演じさせるという、このアイデア一発で、「新桃太郎」という映画が成立したと言っても過言ではないでしょう。そのかわいい女の子が、ワイヤーワークも駆使した過激なアクションを展開するのだから、これは見ていて燃えますね。今でも動画サイトでその片鱗を見ることもできますが、そうとう過激なアクションを披露しています。人気が出たのも道理です。

そんなこんなで「新桃太郎」は台湾で大ヒットとなり、すぐに続編「新桃太郎2」(1988年)が製作され、これもヒット(日本では「新桃太郎」とほぼ同時で1988年に公開) 日本では大ヒットとはいきませんでしたが、その後のテレビ放送などで、けっこう好きな人もいるらしい。同志よ(笑)

桃太郎の凛々しさを見よ

さらに追いかけるように翌年には「新桃太郎3/聖魔大戦」(1988年)も劇場公開されましたが、これは桃太郎とは無関係な映画に強引に邦題を付したもの。まあ、それくらい(一部にではあったが)このシリーズが人気を得たということでしょう。

残念ながら、「新桃太郎」シリーズはここまでで打ち止め。まあストーリー作るのは限界だったでしょうね。主演のリン・シャオロウは、以来あまり日本では見かけなくなり、「新桃太郎」シリーズもDVD化はされていません。リリース熱烈希望!

ですが、リン・シャオロウはその後も台湾で活躍をつづけ、根強い人気を持つ現役の女優さんでもあります。

もう何を言いたいかおわかりですね。

CM版の桃太郎を映画化するんなら、ぜひともリン・シャオロウを出演させてください。オールドファン感涙の名場面になること請け合いですからね。まあごく一部でしょうけど。

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