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メンバーインタビュー:樋口泰子さん 成長とは、自分と向き合うこと 慌てないで

NPO法人ハイテンション
どんな曲にも即興で合わせた伴奏を演奏するのは、樋口泰子さん。帰宅後も毎日キーボードの練習を欠かさないという音楽好き。そんな樋口さんにハイテンションでの日常やサルサガムテープでの活動、日ごろ思っていることについて聞きました。

■そういう極端なところも個性 私なんだって思ってる

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―樋口さんは障害のことについても発信していきたいとのことでしたが、今思っていることを教えてください。

私は障害を持っているけど、日常のことが少しずつだけど脱皮できているような気がしてるんだよね。みんなよりちょっと遅いけど。いっぺんに覚えられないこともあるけど、気にしないようにして生きています。

電車に乗るのも遅かったりするけれど、徐々に覚えられることもある。そういう極端な性格も個性で、私なんだって思ってる。それをわかってくれる人もいれば、「なんでできない?」って言う人もいるし、うるさく言う人もいる。でも、そういう人のことを気にしなくていいというのも、思っています。


―職場でもつらい経験があったとのことでしたね。

元々、18歳のときに就職して、そこでいじめられたり、仕事がちゃんとできるか不安な日々がありました。罵声をあびることもあって、3年間仕事をする中で、体重が10キロ近く減ってしまいました。「なんで泣かされてばかりなんだろう」って心で叫んでいたの。そのときは、人に当たり散らすこともできなくて。それで、22歳の時にその会社は退職して、父の仕事を手伝うようになりました。

さらに4年ほど経ったころに、父が病気になって仕事を辞めたことで、私も家のことや父の病院の送迎などをして過ごすようになりました。親孝行をして支えなければいけないという気持ちと、仕事をしたいという思いの間で葛藤もあって、そうやっているうちに鬱になってしまったんです。


■サルサガムテープ活動本拠地 ハイテンションとの出合い 仲間との葛藤と支え

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そんな私に、あるときお友達が「こんなところがあるよ」と、ハイテンションのことを教えてくれました。私がピアノを弾くことが好きだと知っていて、勧めてくれたんです。音楽は小学校のころから好きだったから、演奏できる場所がほしいとずっと思っていたの。だから、インターネットで調べて、思い切って自分で電話をしました。それがきっかけで、ハイテンションで活動することになりました。


―実際にハイテンションで活動してみて、どうでしたか?

ハイテンションのみんなは個性が強いので、どうコミュニケーションをとったらいいかわからずに苛立つこともありました。メンバーの気持ちを思って、寂しくなったり、泣いた日も…。

入ったばかりの頃は、まだいろいろなことを自分の中で消化するのが難しかったんだよね。だから、自分の気持ちをどう変えていこうか悩んでいた。自分が変わることを思って、自分と向き合ってきました。

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そんなふうに私が悩んでいるとき、とも君が私のそばに来てくれたことがあった。「ちょっと楽しなよ、僕と一緒にいればいいよ」と言ってくれている気がした。とも君から優しさを感じたことで、すごく助けられた。言葉が通じなくても喋れなくても、心が通じるっていうことを信じて、心と心で対話すると、顔の表情でわかってくる。だから、仲間のみんなとゆっくりあせらずに接していこうって決めてきました。そんなふうに、みんなとは少しずつ仲良くなったんだ。一人ひとりのメンバーと徐々に距離を埋めて行きました。

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▲ともくんこと星野智博さんとの交流は樋口さんの支えのひとつ


■初めてのステージ サルサガムテープとしての活動

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▲MERRY SMILE SHIBUYA 2020 ステージに立つ樋口さん 左から2番目 

ーサルサガムテープとしての活動について、教えてください。

ハイテンションに来て2年が経った2020年1月25日、横浜県民みらいホールでのサルサガムテープワンマンライブで、はじめてステージに立つことが決まりました。ハイテンションに来るようになってから、私もライブに出たい、とずっと思っていたんだけれど、そんなふうにはなれないんじゃないかという不安もありました。バンドの仲間のキャリアを見ていると、ライバルというか。あせったり、悲しかったり複雑な気持ちになることもあったんです。

だから、かしわさん(※代表かしわ哲のコラムはこちらから「泰子さん、OK、OK!ライブに出て、頑張っていこう」って話があったとき、うれしさと、やっとステージに立てるという思いがありました。


ーステージに立ってみて、どうでしたか?

当日、ステージに上がる前は緊張しました。でも、それを隠してみんなの音に合わせて、自分がどれくらいできるかというのも度胸試し。そういうことに慣れていくことも挑戦だし、思い切り楽しんじゃおう!と思いました。

かしわさんが、「下を見るんじゃなく、とにかく前を見て叩くんだ」とアドバイスしてくれました。私は、ステージに立ってやるからにはしっかり愛情をこめて、「これがサルサのライブなんだ」っていうのを伝えていきたいという思いで舞台に上がりました。


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▲2020年1月25日開催 横浜県民みらいホールでのサルサガムテープワンマンライブ 右側手前、ピンクのワンピースで舞台に立つ樋口さん


幕が上がってステージが始まると、お客さんがいっぱい入っていて、一緒にリズムに乗ったり、手拍子をしたりしてくれているのがわかりました。私は、自分にも、お客さんにも、もっと盛り上がって行こう!という思いを表現したいのと、デビューしてこれからよろしく!と気持ちを乗せて演奏しました。自分でも思っていた以上にはっちゃけて、「これがステージなんだ」と感じました。

ステージは、父と母も見てくれていて、終わった後に「かわいかったよ」「これからも精進してね」と言ってくれました。


■これからも、私らしく  あきらめないで自分と向き合うこと

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ーこれからの活動について聞かせてください。

ここに来たときは、自分の鬱がどのくらい変わるかというのがひとつの挑戦でした。ハイテンションに行くことや、ちゃんと睡眠をとるのも訓練と思ってここまでやってきました。

今でも、嫌なことがあって、気持ちが荒れて眠れない日もある。曲を覚えようとがんばりすぎて、パンクしちゃうときもある。だけど、ときには体を休めて、カフェにいってちょっとおいしいお茶を飲んで気分転換をするようにしている。そういう時間って、大事だよね。

そして、それも生きてる証拠だと言い聞かせています。それは自分が成長する運命だなと思って、あきらめないで自分と向き合っていこうって決めているの。

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やっとステージに立てるようになって、これからどんどん音楽を仕事としてやっていこうと思っていた矢先にコロナになり、悔しいですが誰かが悪いわけじゃない。それでも、これからも音楽を続けていきたいです。

それから、ハイテンションのみんなとのこと。感情が揺れるところがある私だけれど、これから後輩が入ってきても、今の変わらない私で、その子のペースで自然体に話ができたらと思ってる。いつも変わらずみんなに接することができる自分でいられるようにやっていきたいです。 


―最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

誰が見ていなくても自分が努力していくこと。自分との勝負だって思ってる。そして、人生慌てないことが大事だなって思っていて、それを世の中の人たちにも伝えたいです。いろんなことがあるわけですけれども、これからも私らしくがんばっていきます。

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樋口泰子(ひぐちやすこ)

2018年よりサルサガムテープのメンバーになる。ライブではガムテープ太鼓を担当。
小さい頃からピアノに触れているうちに、音を探して自然に演奏するように。音楽はいつも耳でコピー。どんな曲にも即興でキーボード演奏を付け、日ごろのセッションを盛り上げてくれている。好きな曲は、鬼塚ちひろ/月光、杏里/オリビアを聞きながら、吉田拓郎/夏休み、などなど。懐メロが好き。

インタビュアー 雨野千晴


🎵サルサガムテープ DISC購入は
ハイテンションまでお問い合わせください

https://salsagumtape.tumblr.com/disc


🎵アルバム「ワンダフル世界」は
音楽配信サイトからご購入いただけます

https://music.dmkt-sp.jp/album/A2001700719

🎵やっちゃんへのメッセージはコメント欄の他、ハイテンション公式LINEからもお送りいただけます

https://lin.ee/vFVbcIg

🎵Eテレ 毎週火曜日 19:50〜19:55で、
サルサガムテープ新曲「アイタイ!」からつながる
#アイタイプロジェクト放送中(2021/4~2021/9)!

NHKの特設サイト『未来へ17action〜NHK・SDGsキャンペーン』内でも
アイタイプロジェクトの映像が視聴可能です


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