#4. 皮肉の達人
英語圏として数えられる国の中でも、とりわけイギリスはどこか日本と通ずるものが多いように感じる。
相手に敬意を払う表現(いわゆる敬語)にこだわりが強いところや、(それと関連して)相手に対して直接的な物言いを避けるようなところだ。
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しかし、ともに婉曲的な表現を好むとは言っても、日本人が「発言の攻撃力を抑えるためにやわらかい言い方をする」のとは違い、イギリス人はむしろ「攻撃力を高めるためにあえて回りくどい言い方をする」ようなところもある。
例なら枚挙に暇がないが、今日それがよくわかるこんなツイートを見かけた:
ホテルにあった注意書きが「非常に英国的」ということだが、一体どんなことが書いてあったのか。以下全文を引用する:
Dogs are welcome in this hotel. We never had a dog that smoked in bed and set fire to the blankets. We never had a dog that stole our towels and played TV too loud, or had a noisy fight with his traveling companion. We never had a dog that got drunk and broke up the furniture. . . . . So if your dog can vouch for you, you're very welcome too.
当ホテルは犬を歓迎いたします。わたくしどもは、ベッドで喫煙し毛布に火をつけた犬を、これまでお迎えしたことがありません。ホテルのタオルを盗んだり、テレビを大音量で観たり、同行者とやかましい喧嘩をした犬をお迎えしたこともありません。また、泥酔して家具を損壊したような犬も過去におりませんでした。ですから、もしもあなたの飼っておられる犬があなたを保証できるということであれば、あなた様も大いに歓迎いたします。
言うまでもないが、もちろんこれは遠回しに「マナーの悪い(人間の)宿泊客」を非難しているのである。
それを伝えるためだけに、あえて犬を持ち出して称え、「犬でさえこんななことはしないのだから、この手の行為に及ぶ人間は犬以下である」とほのめかすあたり、やはりイギリス人は皮肉の達人。
さぞ、心の綺麗な人たちばかりなのだろう。
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※さらなる皮肉の例はこちら(「皮肉の正しい使い方」)を参照。
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