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日常から湧き出るアイデア

社会人2年目の終わりともなると少しずつだが、自分が会社においてどんなことを求められているか、期待しているかという役割が少しずつ見えてくる。

期待が見えるとそれに応えるべく、アウトプットするためのインプットというものが自然と増える。営業と採用担当をしているので、買う本も交渉術、質問の引き出し方、採用ノウハウといった実用的な本が多いのだ。まだまだ新米営業、新米採用担当なので、それらの本からもたくさん学びがあるのだが、なんだかイマイチ広がりがないというか、面白みがないというか。そんなことを思うようになった。

そんな時に手にとったのが「半径50メートルのセカイ」
買ったきっかけは代官山で昼から飲んで酔っ払った帰り道、ふらっと寄った蔦屋書店に置いてあったのがきっかけだった。1700円と決して安い価格ではないし、今の仕事には一見全然役に立ちそうにない本なので、普段だったらパラパラめくって棚に戻していた。でも本能がこういう本を求めていたのか、気づいたら紙袋に入った本があった。

さて、この本は著者であるnendo(超有名なデザイン会社)の代表、佐藤オオキさんの日常、半径1メートルから半径5メートル、半径50メートルといったすぐそばで起こっている出来事(仕事や私生活)から得た気づきや学びをエッセイ風にまとめ上げた本だ。250ページほどのとっても読みやすく面白い本に仕上がっている。

エピソードも、「オリンピックの聖火台制作PJ」といった国の威信をかけた壮大なプロジェクトから、「家のゴキブリの話」といった些細なものまで、振れ幅が大きい。

その中でも特に印象に残っているエピソードが2つ。
1つは「名もなき趣味」について。
本の中では仕事で疲れ果てた著者がたどり着いた「コロコロ」という趣味について紹介。よくある髪の毛やほこりを取るアレのことだ。部屋の中でホコリがたまりりやすい場所をいつ掃除するか、シールをはがす時に毛やゴミを落とさないテクニックなどを考えながら掃除をするのが楽しいのだとか。

そしてこの名もなき趣味のいいところがいわゆる一般的な「趣味」と違ってマウントの取り合いがないことのだとか。テニスであれば経験年数とかキャンプであれば機材のこだわりとか、そういった比較がないから純粋に面白い。

この「名もなき趣味」という発想、めちゃくちゃいい。自分には名もなき趣味はなかったが。。笑 強いていうなら「冷蔵庫の残り物の中でおいしいものを作り冷蔵庫をきれいにする」ことくらいだろうか。

でもこういうネタって本来日常にいくらでも転がっていると思うし、自分が趣味って「旅行とか、キャンプとか、映画鑑賞とかそういうもの」と枠を決めつけてしまうから見つからないんだろうなと感じた。そういう枠を取っ払っていくと日常の中にもたくさん面白さって潜んでいるはずで。そういうものを日常から見つけ出せる大人になりたいと思う。

もう1つが「貧困地域で使えるサッカーボール」について。

この方が担当したプロジェクトで、貧困地域でも使えるサッカーボールをデザインするという案件。貧困地域ではゴムの破損があったときにそのメンテナンスができず、すぐに使い捨てになってしまうという課題があったそう。
その解決策として挙げられたのが空気を使わないボールの開発。しかしそれだけだと、輸送時にボールがコンパクトにならず輸送コストが高くなる。そこで考えたのが、立体パズルのように組み立てられるサッカーボール。これであれば輸送コストを抑えて出荷ができる。ここまででも十分すごいが、面白いのはここから。

まず、このボールの懸念点だと考えられていたのが、組み立ての手間。パズルのピースは50個以上にもおよび、これを組み立てるにはかなり大変です。しかし、プロジェクト先の社長が考えたのはまったく逆の発想。「子供たちはこの組み立てる手間を面白がるから、ワクワクする組み立てマニュアルを作ってほしい!とのこと。

著者も書いていたが、その手があったか!と読んでいるだけでワクワクした。著者の佐藤さんはこのエピソードからの学びとして、「アイデアが出た時、そのアイデアは氷山の一角である」のだとか。

たしかに、何かアイデアが出た時、1つ目のアイデアで満足してしまうけど、だいたいそのアイデアって大したことはない。そこから派生して、こんなこともできないか、あんなこともできないかと考えていくと全然別のアイデアが思いつくことだってある。この発想力で社会や自分の生活をちょっとだけでも豊かにできたら、それってとても素晴らしいことだと思う。

そしてこの本を読んで思ったのは、こういったアイデアを組みあわせていくことでそれを個人の仕事にできることもあるのでは?ということ。もっというと自分の人生のネタをコンテンツにしていくことで生きていけるのではないかなと思ったり。

この本を酔っぱらった勢いで買ってほんとによかった。たまには自分の関心領域から離れた本を読んでみるのも学びになりますな。この本が半年後1年後の自分に大きな影響を与えていく予感がしてます。

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