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4月23日~30日の詩(Nos. 12~23)

作品No. 12(4月23日)

君がくれた優しさ

…じゃなくて、甘やかし

やらなくていいよ
できなくていいよ

可哀想
心配
情緒不安定
社会不適合
そんなんでやっていけるの?

僕の力を削いで
安心した?

僕が駄目なら
君も駄目なままで許されるから

それを優しさと言わないで
僕のためと言わないで
僕は無力でいたくない


作品No. 13(4月23日)

大切にしたい人からは
自ら望んで距離を取った

貴重な時間を
僕なんかに使ってほしくなくて
僕の痛みを
うつしたくなくて

僕に視界を汚されず
幸せでいてほしくて

僕がいちばん愛したのは
いちばん遠くにいたあなた


作品No. 14(4月24日)

無理は良くない
わかってる

でも無理ってのは
どこからのこと?

誰かが辛くて大変で
だったら僕がやらなくちゃ
この手も足も目も口も
どうにか動かせるんだから

そのうち体が蒸気みたいに
もわもわふわふわ遠くなり
そうして初めて気付くんだ

とっくに限界越えてたんだって


作品No. 15(4月25日)

ありのままでいい
心を包む優しい言葉
思考を溶かす甘い言葉

でもちょっと待ってよ
今の私でいいわけない
妬んで落ち込んで傷付いて傷付けて
そんな私でいいわけない

脱ぎ捨てろよ その鎧
化粧を落とし 皮まで剥いで
正真正銘ありのまま

汚い? 醜い? それでいい
本当の気持ち 見せつけてやれ


作品No. 16(4月25日)

結局どんな人だって
みんなみんな自分が大事

誰かを叩いて正義を装い
良い人ぶって「あなたのために」
悪の烙印逃れるためなら
嘘に誤魔化し責任転嫁
何でもやるのが人の常

薄っぺらい保身してんなよ
本気で自分が大事なら
今から善人になりやがれ
あんたを脅かしてるのは
あんた自身の罪の影さ


作品No. 17(4月26日)

あくせく予定を詰め込んで
休み時間はネット漁り
ニュースにエンタメ バカスカ喰って
充実した気で即寝落ち

脳に情報 注いで流して
目を逸らしたいのは
その
    虚

怖い冷たい寂しい空虚
けれど全てが生まれる空虚
空虚だけが真実だ

懐かしき虚に還っていけよ
溶けて
つながり
愛を知れ


作品No. 18(4月27日)

君の目に映る景色をおしえて

どんな色彩が
光が
君の胸に何を灯したの?

君自身の手で捕まえて
細い細いチューブから
涙に溶かして流し込んでよ

チューブの先からぽたぽた零れる
君の言葉を待ってるからさ

怖がらないで
目を開いて
君の景色を受け止めて


作品No. 19(4月27日)

今は何もできなくても
いつか苦しみを越えたその時
誰かを照らす光になれる

何も成し遂げられなくても
あなたが幸せを感じれば
一人分だけ世界に幸せが増える

馬鹿にされても
ちっぽけでも
今を生きるあなたは尊い


作品No. 20(4月28日)

君は僕の首に抱きつく
その温もりに僕は浮かれて
そっと君を抱きしめ返す

ぬるま湯の時が過ぎて
そろそろ歩き始めようとした僕の
首から君は離れない

いつしか辺りは泥の海
「一緒にここで沈んでよ」
囁く君の瞳に燃える憎悪

君は信じないだろう
ここは小さな水溜まり
自分の足で出て行けるって


作品No. 21(4月29日)

「男なんてそんなもん」
だったら一生男になんて
関わり合いになりたくない

でも「そんな」じゃないあの人を知っている
知っているから
顔を上げて生きていける

ありがとう
優しいひと
人を人と思えるひと
あなたは私を知らなくても
私の道を照らしている


作品No. 22(4月29日)

女は花
美しければ褒められ囃され
醜ければ謗られ笑われ
萎れてしまえば見向きもされない

花は生殖器
愛でて視姦し
ヤれればラッキー
好きに弄って手折って散らす
それが花の利用価値

この乳を削ぎ
子宮を抉り
膣を塞いでしまえたならば
人だと認めてくれますか


作品No. 23(4月30日)

君の心にはいつもヴェール
内側に招いてもらえるように
幾通となく手紙を送った

ようやく垣間見たそこは空っぽ
君の心は地下室の
壁に塗り込められていた

壁の黒猫が呻き
君は保身にのたうち回る

僕の心からの言葉さえ
君を陥れる断罪と響き
君は恨みの眼差しで僕を貫こうとしているだろう

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