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4月17日~22日の詩(Nos. 1~11)

作品No. 1(4月17日)

君の中にある
胃の腑を焼く酸のような苦しみを
受け止めて 吸い取って
君を救い出したくて
僕は火傷を負ってしまった

酸を出す腫瘍を取り去ってほしいと
僕は望んだけれど
君が愛していたのは
醜くて美しい
その腫瘍

僕は腫瘍を育てる栄養

君は僕を見てなんかいなかった
最初から
いつだって


作品No. 2(4月18日)

知っていく
知ることで苦しみに名前が付いていく
名前の付いた苦しみはもう自分一人のものではない

みんなの知恵
みんなの力

知っていく
知っていく
強くなる

煙のような苦しみは
固めて払い落とせばいい


作品No. 3(4月18日)

鍵を掛けて封じた紅い小箱
胸の真ん中に居座り
肺が半分に潰されて
息が吸えない

ふと空が
薄蒼い空が
綿を薄く敷き詰めたような雲が
目から体中に反射して

小箱の紅を褪せさせ
隅に追い遣り

息が少し深く吸えた

誰も中身を知らない小箱
いつか開いたその時は
涙の色で溶かせるだろう


作品No. 4(4月18日)

愛してるからわかってほしい
愛してるから甘えたい
愛してるから独占したい
愛してるから征服したい
愛してるから愛してほしい

それは愛じゃない

それは欲

あなたはあなたしか見ていない
私は道具
あなたを満たすためだけの

本当に愛しているのなら
手を離して
私の幸せを
遠くで願って


作品No. 5(4月18日)

一発くらい殴られていれば
君を変えられたかも

僕を傷付けたことを知り
今のままではいけないと
動き出してくれたかも

空想
妄想
叶わない願い

君の分厚い正当化の鎧は
罪を重ねるほどに硬さを増す

僕には癒やせない
逃げるしかできない
臆病者の鎧


作品No. 6(4月20日)

血塗れの床
散らばる腕
割れたガラスの中から
可愛いあの子のホルマリン漬け

ずっとこんなところにいたの
嗚呼、嬉しい

抱きしめると崩れる
構わない
産み直してあげる
さあ、僕のナカに

腕を拾い上げて
手の平に口付けを
あなたの子だよ
触ってみてよ
中で動いているでしょう?


作品No. 7(4月21日)

想いを紡ぐということの
十字架で穴を掘るもどかしさ

地面に刺さった鉄の棒
虚しく土を掻き回し
底はちっとも見えやしない

それでも誰か どうか見つけて
深く埋まった僕の罪
その贖罪の美しさを


作品No. 8(4月21日)

愛していると思っていた
愛されていると思っていた
けれどもう わからないよ

以前の君ならかけてくれたはずの
ほんの些細な優しい言葉
期待した僕は傲慢なのかな

やり直すための僕の提案
君にとっては裏切りで
君を傷付けた僕は大罪人

僕が僕を守ることも
君は許してくれないのかな


作品No. 9(4月22日)

どうか君に
新しい恋が
見つかりますように

君を受け入れ
支えられる人が
現れますように

ごめんね僕には
もう無理みたいだ

君の希望に
応えられない僕を
許さなくていい

どうか恨みに溺れないで
前を向いてお別れしよう

さようなら
大切だった人


作品No. 10(4月22日)

君の子ならば産んでもいいと
思ったこともあったけど

描く未来は
灰色に侵食されて
だから僕は
二人だけの平穏を願ったのに

君が子供を欲しがったのは何故?

「君が大変だろうから
実家に帰っててもいいよ
子が育つまで 何年か」

育てる気もない
愛もない
君が欲しがったのは何?


作品No. 11(4月22日)

いずれ滅びるものと知れば
何だって愛しく思えるものさ

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