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eill 『SPOTLIGHT』

最近のアーティストのトレンドはネオソウル。R &Bの時代から進化を遂げながらも時代的には逆戻り。なんとも不思議な現象に聞こえますが日本には古くから温故知新と言う素晴らしい言葉があります。70年台のソウルがあり、それをベースとしたネオソウルが台頭した2000年台後半。D’angeloやEryka Badu。それから20年の時が経ち近年世界的にネオソウル第二世代の流行。この流れが確実に日本にも入ってきてます。そんな中、かなり上手にネオソウルとJ-POPを混ぜてるアーティストです。

音だけで浮かぶ映像

eill 『SPOTLIGHT』
作詞: eill
作曲: eill・Ryo "Lefty" Miyata
リリース: 2019.11.06

この曲は全体を通して最先端のサウンド(この場合はEDMなどに使われるデジタル系のサウンドをさします)を使いながら、生の楽器はがっつり70年台のソウル・ファンクのようなフレーズを弾いていて絶妙なバランスを保ち続けます。
イントロのピアノと口笛から始まる本作品。季節を聞かなくても恐らく冬、そして時間帯は夜ということが映像でわかるかのようなサウンドメイキングは圧巻です。イントロの口笛と歌の音域に合わせて少し高めのボイシングでアレンジされているピアノに注目です。ストリングス などメロディーのある別の楽器を入れずピアノ、口笛、ボーカルだけで勝負してシンセパッドだけ少し入れることでメロディーが際立ちます。

最新のサウンド(音色)+ソウルファンク

Aメロはeillのハスキーな声がドラムの四つ打ちの上を軽快に踊ります。ハモリを乱発するのではなく抑えるべきところでオクターブで重ねることで切なさを強調しています。
Bメロでもそのまま行くのかと思いきや、ギター(ジャズマスター系)のオクターブカッティングが響くなく後ろでシンセサイザーが派手にリズムとコードを刻みます。一方歌は細かいメロディーを16分で刻み続けます。この伴奏と歌のバランスが素晴らしいです。それでいてサビ前に全部の楽器がちゃんと出会う構成になってます。
サビに行くとダンスサウンドに合わせながらコード感全開の伴奏が始まります。鋭い方はこのコード進行に気付くかと思いますが、この曲ほぼずっとJust the two of us進行と言われる進行なんですよね。(椎名林檎の丸の内サディスティック、あいみょんの愛を伝えたいとか等)某番組の解説でもよく言われますがこのコード進行は進行自体にパワーがありすぎるのでうまく扱わないと耳に残るメロディーにならないんですよね。しかしこの曲はむしろコード進行を感じさせないくらいポップに出来てて素敵です。

伴奏と編曲がすごい

この曲の共同作曲者のRyo "Lefty" Miyataはキーボード兼プロデューサー。ボカロイドPを元々していて最近だとあいみょんやsumikaやOfficial髭男dismへの楽曲提供やキーボードを担当してます。伝統と革新を持つ彼のアレンジスタイルは僕はすごく大好きです。
またギターを担当しているサトウカツヒロさんはBREIMENというバンドでメインで活動しながら、Nulbarichに参加しています。彼のギターは弾かない美学、ボーカルを歌わせるフレーズなど、ものすごくソウル愛が溢れててまた大好きです。ちなみにeillのライブで彼の演奏を見て次の日ジャズマスターを買いました。

もちろん歌素晴らしい

eillの声はハスキーでありながら、低音〜高音にかけての伸びが良く、低音でもこもらないのが特徴です。低音だけ聞くと宇多田ヒカルにも聞こえるような声でありながら、高音にになると急に抜けた声になりライブなどのステージで非常に映えます。自分の美味しい音域をきっちり理解してて、そこに1番盛り上がる場所を持ってくるように曲を書いてます。
彼女もまた、さまざまな音楽を多分聞いてきていると思います。自分に合うもの、格好良いものを積極的に取り入れ、自分の中できっちり消化してます。

まとめ: 聞くべきポイント

とにかく今っぽい、心地の良いサウンドが聞けます。まとめますと

・情景が浮かぶサウンドメイキング
・温故知新を感じれるアレンジ
・全音域を網羅するeillの歌と声

最近リリースされたm-floのlovesシリーズ復活作、tell me tell meに参加していたりと業界内での評価も高く今年注目のアーティストです!


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