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自粛期間中に100人以上で宅録でアルバムを作るって企画に参加したけど、その時感じたものや、考えを書き留めておく

国から緊急事態宣言が発令されて我々の生活はガラっと変わってしまいました。僕自身その時は絶望感や悲壮感に一瞬かられてましたが、職業柄、また過去に住んでいた経験から世界中の情報が入ってきました。

日本より一速くStay Homeに振り切ったニューヨークでは知り合いのミュージシャン達がいち早くオンラインセッションなどをはじめていました。この頃日本ではまだ、オンラインセッションなどの流れはなく(4月頭)これやりたいなと思って参加させて頂いたWe are the World@homeや、自分が主催したSeasons of Love at homeがあります。このまま縮こまっててもいけない。今自分ができることを最大限にやろう。その思い一つでした。

この2つの企画を軸に、色々と宅録での納品のお願いや、遠隔でのディレクション、楽曲提供のご依頼を頂きまして4月はとんでもなく忙しい毎日を送ってました。
そしてある日、We are the worldの主催であった、大場俊さんがオンラインでの打ち上げでとんでもないことを言い出しました。

『せっかくの出会いなのでこのままにしたくない
皆さんの曲をアレンジして何かしらの形にしたい』
※注 正確には覚えてないけどたしかそんな感じ

主催の大場さんとはこの時点では面識はありませんが、We are the worldのギターのミックスのお手伝いをしてたり、共通の知人が居たりとコミュニケーションはとっていた中で、アレンジャーとして参加させて頂きました。

この記事はそのHomesという企画に参加させて頂いて、ちょっと不思議で楽しい数か月の僕の体験談です(精神論というよりは、事実を綴ろうと思います)

一週間で編曲からデモ作りまで行う

後にアレンジャーズと呼ばれる編曲者のライングループに入り、曲のリストを見て驚愕とします。40曲以上ある…そして曲調も多種多様。歌のみのデモもあれば、もうリリースされているクオリティのモノも。

どうやって各編曲家が曲を選んだのかというのが気になる所かと思いますが、クラウド上にリストを配置して全員でせーのでとりあえずやりたい曲に印をつけるところから始まりました。やりたい曲が被ったら話し合いで決める。つまり、全曲全アレンジャーがやりたいとコミットしてる曲を手がけているのが今回のポイントだったと思います。

そこから毎日毎晩作業の日々です。提供者とのすり合わせ、原曲の聞き込み、リソース音源探し、コードの変更。これに加えて僕自身バンドアレンジが元々多いので普段からデモを作る時は全楽器弾きます。打ち込みオンリーでもいいのですが、温度を伝えるにはこの方法が一番伝わりやすいと思ってます。(この期間で鍵盤とベースうまくなったなあ…)そして譜面つくりも。

アレンジの手法などに関してはまた別途記事にしますが簡単に今回僕が大切にしたこと:

・宣材音源レベルの楽曲がある曲はとことん違う雰囲気に持っていく
⇒コード含めて曲調もとことんいじって、その楽曲を知っている人が聴いても『これもいいね!』ってモノを目指す
・そうでない場合は、その方が宣材音源として売り込みできるような楽曲を
⇒曲調などは原曲のまま。コードもよりメロディーが引き立つレベルでしか変更を行わない。

1週間で6~7曲編曲して、しかもデモまで作る仕事だと絶対に断る内容です笑 僕自身この期間の最後に譜面を作っている時、泣きそうになりながら採譜してました笑
けどやはり全メンバー責任感の塊というか、誰一人遅れることなく40曲強のアレンジは納品されました。

またこのデモ制作期間のアレンジャーのライングループが温かくて。デモが出来上がった段階でこのライングループに各々投下していくのですが、僕自身全曲聴いたし、他のみなさんも聴いてくれました。そしてみんなちゃんとコメントするんですよ。大体すげーーーとか、これは僕にはできないとか。全員No butではなくてYes andの精神で、素晴らしい人たちだなと思いました。またトラブルや編曲に行き詰った等の相談が来たらその場で全員で解決。まだ会ったこともないのに、素晴らしいチームワークでした。そして承認されたデモを持って、レコーディングへとすすみます。

レコーディングに際してのマネジメントの難しさ

楽曲ごとにライングループが作られ、コミュニケーションをとりながら順番にレコーディングを進めます。そう、編曲者はディレクションも行うのです。もちろん遠隔で。
このコミュニケーションのとり方が僕自身凄く難しくて。みなさんの背景や環境もわからないまま、どこまで指示すれば良いのか。もちろんみなさんの個性も尊重したい。なので僕が考えたのは、

『演奏はみんなを信じて自由にやってもらう。それを受け取ったときに僕のほうでより良くできるように録り方の指示だけめちゃくちゃ細かく行う』

というものです。ずっと、最終的には絶対に格好良くするんで僕を信じて!と連呼してました笑

ギターやベースのLINE音源の提出はもちろん、楽器別のマイキング方法、歌録りのDAW上での設定など正直めちゃくちゃ口うるさかったと思います。でもこれが個人的には正解で、おかげでミックスやエディットの段階で皆さんの個性を殺すことなく、良い作品へと昇華させることができました。
正直、原曲が良くて録り音が良ければどんなアレンジしても成り立つので、曲の持つ力とプレイヤーのみなさんの力を痛感しました。

反省点としては自分自身11曲ほどプレイヤーとして参加していて、それが完全に後手に回ってしまったこと。特に自分が担当した楽曲。もっとパラに効率よくやる方法があったなーと猛省しております。

完パケ!でも終わりじゃないよ!

全曲の素材がそろった段階でプレイヤーの皆様は終了なのですが、我々にはミックスという業務が待ってます。これが辛そうに見えて物凄く楽しんですよ。普段予算の関係で生ドラムすら受け取れない中、弦楽器、管楽器、パーカッション等。普段受け取ったことのないパラデータが手元にあるのです。もう感無量でしたね。そして受け取ったことがないので処理の仕方も一からだったの非常に勉強になりました。
普段ミックスしてても、干渉しない部分が干渉したり、各楽器の配置を考えたり、色々と大変の部分もありましたが、本当にこれは良い経験でした。編曲者得な瞬間でした。

そして発売へ

色々なことがあったこの数か月間。この作品、Homesがようやく手元に届きます。
つらつらと書きましたが、あくまでもこれは僕の体験と思いであり、それが参加者の数だけ存在します。配信も8月中旬から始まるし、なかなかCDを聴く機会がない時代ですが、是非盤を一つの作品として手に取って欲しいです。みんなの思いがあふれ出てます。

Homesを聴いてみてください!

各種サブスクサービスで配信が開始してます。

Disc1
https://linkco.re/qe8bq9mG

Disc2
https://linkco.re/2f7u9hV0

Disc3
https://linkco.re/VVbSPAA5

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