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221010 北海道一周旅行記⑧(稚内→網走)

 さて、前回の記事は増毛駅と三毛別ヒグマ事件跡地の話をしたところで終わっていたはずです。増毛駅、何回見ても面白いですね。やっぱり今度の旅行で半家駅に行ってくることにします。高知と言えば後免駅もありますから、話題には事欠かないですね。ちなみにJR北海道には幸福駅というのもありました。だいぶ前に廃止になった駅ですが、名前の演技の良さから観光客が来るようになって観光地化された駅です。
 幸福と言えば、ついこの間(と言っても夏休みの前)に🗼♨の後輩と小杉で会った後になぜか白金台の住宅街を散歩してきたのですが、あのあたりは別の「幸福」の建物がやたらと目立ちました。実名を書くと怒られそうですが、なんというか幸福を科学するような名前の新興宗教が幼稚園だのアパートだのを大量に建設しているのです。大きい総本部のような建物の写真を撮っていたら教団関係者に声をかけられたので「え、ちょっと観光に」という適当極まりないというか意味不明な答えをしておきました。建物に貼ってあったポスターに映った某政党党首の某女性のポーズがどこからどう見ても「売れない塾講師」のそれであったことが記憶に残っています。ちなみに、この教団は英語で「HAPPY SCIENCE」と言うようです。「Science of Happiness」とかじゃないのかと思っていたら、海外に進出していくときになじみやすいような名前にしたということらしいですね。どうでもいいのですが。

ノシャップ岬から利尻富士を望む

旅人の下限について

 さて、ノシャップ岬に2分ほど滞在した後は今日の宿に向かいます。この日泊まるのはゲストハウスです。ホテルを予約するのがもう2日早ければ、5600円でサフィールホテル稚内という稚内で最も格が高いと思われるホテルに泊まることができたのですが出遅れたので仕方なくこちらです。しかも、ゲストハウスのくせにサフィールホテルより高いという素敵仕様でした。まあ、これはぼくが個室を予約しているからなのですが、ぼくの中で譲れない一線として「寝るところが必ず個室であること」というのがあります。別にゲストハウスでもいいのですが、見知らぬ誰かと寝床を共有したくないのです。いびきをかく人がいると最悪なので、相部屋には絶対に泊まりません。しかし、ベッドしかない部屋が一泊7000円というのはさすがに法外というか、価格設定が間違っているというか、ぼったくりというか、控えめに言っても「ふざけんじゃねー」って感じですね。
 旅行オタクにもいろいろあって、使える設備の下限というのは結構人によって違う気がします。泊まるところで言うと「ビジネスホテルじゃないと嫌だ」「ゲストハウスでも個室ならいい」「相部屋でもいい」「ネットカフェでもいい」「野宿でもいい」、交通手段で言うと「ANA/JALしか使わない」「エアドゥ・スターフライヤー・スカイマークまではいい」「LCCでもいい」といったような感じでしょうか。ぼくは「ゲストハウスでも個室ならいい」「ANA/JALしか使わない」です。LCCに乗るくらいなら旅行なんかしないほうがいいと思っています。ひどいのになると「友人の家に泊まる」とかいうのもいたりします。うーん、泊まりに来られた方もたまったもんじゃないですねえ。
 晩ごはんはもちろんセイコーマート。北海道に来たら晩ごはんはこれで十分なのです。昨日と一昨日の夕飯も、何なら昼ご飯だってセイコーマートで済ませています。デザートまで買っても500円。最強ですね。
 稚内の駅舎の中にもセイコーマートはありますが、ここのセイコーマートはHOT CHEFがありません。HOT CHEFがないセイコーマートというのはただのコンビニなので、店員にHOT CHEFがあるセイコーマートの場所を聞いてみることにしました。すると驚きの返事が返ってきたので会話をそのまま下に書いてみます。

ぼく「HOT CHEFがあるセイコーマートあります?」
 店員A「(指さしながら)あっちの方よ」
 店員B「あらぁ、それじゃわからないわよねえ。そっち行ってあっちよ」
 ぼく「店を出て左に行って、角を左に曲がればいいんですか?」
 店員A「ほら、ちゃんと通じてるじゃない」


 おお、こんなに指示語だけで話してくる大人というのは本当に存在するんですね。それを理解できるぼくもなかなかのものだと思いますが、道を聞いてきた客に「あっちの方」という案内をするのはなかなかのものではありませんか。近所のオバチャンがパートしているだけなので、そんなものかなと思って「そっち行ってあっち」にある店に向かい、無事に夕飯をゲットしました。

雑な道案内にシカもあきれています

夕飯を食べながら談笑する

 この時期になると(9月上旬)稚内というのはだいぶ涼しくなっています。道東に比べたらまだ暖かいですが、それでも半袖半ズボンで過ごすには少し寒いような気候です。したがって寄り道することもなく宿に戻り、一階のフリースペースで夕飯を食べることにしました。だいたいこの手の宿でご飯を食べるときというのはフリースペースで食べていた方が何かといいことが起こるものです。
 この時はご飯を食べながらnoteを執筆していましたが、隣の机が何やら盛り上がっていたのでそちらに合流することにしました。北海道を鉄道で旅している大学生二人組と、近くの工事現場で働いているオジサン三人組と、北海道を車で一周している一人というメンバーが集まって、これで話が盛り上がらないわけがありません。「小さいシカを見つけたから角をつかんでみたら予想外に力が強くて殺されるかと思った」とか「夜道を走ってたらコウモリが車のグリルにぶっ刺さった」とか「『次の仕事は東京だよ』と言われたので楽しみにしていたら実は八丈島だった」とか「利尻島でネットがつながるのは俺たちが工事したからだ」とか、面白い話が次から次へと飛び出してきます。そのうちキッチンでホタテを焼き始めた人がいて、ごちそうしてくれました。おいしかったですねえ。一枚200円で買えたそうです。そこから宗谷地方の東側の漁師がいかに金持ちかという話が始まって、あーだこーだと話しているうちに時間が12時近くなっていたのでそこでお開きになりました。こういうのがあるのは田舎のゲストハウスの魅力ではありますよね。黒島で深夜1時まで盛り上がったのを思い出しました。沖縄ではこういうのを「ゆんたく」と言いますが、北海道ではなんて言うのでしょうか。
 黒島では気のすむまでしゃべっていましたが、今回は翌日もまた400㎞ドライブが待っているのでそういうわけにもいきません。解散した後は速攻でシャワーを浴び、ベッドにもぐりこみました。普段のぼくからは想像もつかない俊敏さでしたが、やはり睡眠欲に勝るものはありません。

●内駅

おはようございます

 さて、前日(というか当日)寝るのが遅かったぼくは、翌日しっかり寝坊しました。寝坊しても誰にも文句を言われないのは一人旅の素晴らしいところですが、早く朝食を食べに行かないと前日に買った食券(900円)が無駄になってしまうので例のフリースペースに向かいます。見事なくらい誰もいませんでしたが、優雅に朝食を味わってきました。なお、この日の朝食はエゾシカの肉を使ったカレーです。なんでも頭を一発で撃ち抜いているからシカが即死しており、おいしいらしいですね。苦しませずに殺した方がおいしいのは動物も魚も同じのようです。昔、釣ってきたカサゴを締めようと思ったらたぐいまれなる生命力を見せつけられたことがありましたが、あの時のカサゴは本当にしぶとかったのを思い出します。脳天を突いても、氷水につけても、血を抜いても動き続けていました。ま、おいしかったですけどね。
 今日は宗谷地方の東側を南下し、斜里まで向かいます。知床の付け根のあたりですね。この辺は特に何があるというわけでもない(北海道はたいていの場所がそうですが)ので、宗谷岬を出たらひたすら走り続けるだけになりそうです。というわけで、まずは宗谷岬に向かいます。

最北端の碑

二年ぶり二度目の宗谷岬

 さて、宗谷岬に向けて走り出します。もうここまで1000㎞以上走ってきているのでもうこの車はほとんど思い通りに運転することができるようになりました。e-Power特有のアクセルを離した時の回生ブレーキを効果的に利用して運転できると燃費も良くなるし楽しいですね。エンジンブレーキを使ってできるだけブレーキを踏まずに峠を攻めるのと似たような面白さがあります。稚内から車で30㎞くらいで宗谷岬に到着しました。ちなみにバスで行くこともできます。「天北宗谷岬線」というカッコいい名前の路線です。ちなみに天北線というのは南稚内からオホーツク海側を回って音威子府までつながる路線ですが、1989年に廃止されています。鉄道路線を廃止する代わりにバスの代行輸送を始めたというわけです。しかし、需要がないから廃止された路線をバスに転換しても儲かるわけもなく、稚内~宗谷岬を経由させることでどうにかお金を稼ごうとしているのがこの路線の実情なわけですが、何はともあれバスで行くこともできます。ちなみに稚内の観光センターみたいなところにレンタサイクルがあるので、それで行くこともできなくはありません。オススメはしませんが。
 宗谷岬には二年前の北海道一周の時にも立ち寄りましたが、とりあえずこのあたりは何も変わっていませんでした。間宮林蔵は風の強い岬の先端に立たされたままだし、岬の看板の海側に行って「こっちが本当の最北端」とか言っている理屈っぽい観光客もいるし、その辺をシカが歩き回っているところも二年前と全く同じ。ここまで変わらない観光地というのもなかなか珍しいような気がします。でも、空は今回が圧倒的に美しかったですね。抜けるような青、iPhoneで撮るとその美しさがより際立っていました。iPhoneは勝手に色を補正しているような気がして好きではありませんが、綺麗に見えるのは間違いないように思います。
 そのあとはオホーツク海側に行ってもいいのですが、今回は白の道なるところに行ってみることにしました。この道は別にどうという道ではなくて、道に白い貝殻が敷き詰められているというだけです。この白い道が海に向かって伸びているのはなかなか美しい眺めでした。なお、車で走るとリア部分が真っ白になるのでご注意ください。まあ、ここまで自家用車で行く人はそんなにいないでしょうから関係ないかもしれません。レンタカーならいくら汚れても自分で洗うわけではないですからね。
 ここでぼくは気づいていなかったのですが、🗼♨の先輩とすれ違っていたようです。FaceBookに「もしかして宗谷岬の白い貝殻の道にいなかった?」とメッセージが来て驚きました。まさかこんな最果ての地で芝の関係者と遭遇するなんて誰にも予測できませんね。なんでも、「高校の後輩に異様に似た人がいる」と友達同士で盛り上がっていたそうです。ぼくは「いいなあ、あの五人組は最新型のヴェゼルを借りてるのかあ」と思って眺めていたのですが、まさかの知り合いでした。「ヴェゼルいいですね~」って声をかけようかと思ってやめたのですが、思い切って声をかけておけば良かったですね。

このおじさんも北の果てに立たされてかわいそうである

網走刑務所に向かう(※網走監獄ではない)

 宗谷岬を堪能したら、まずは網走に向かって走り出します。この先は網走まで大きな都市はありませんから、とにかく走り続けるしかありません。ちなみにこのあたりはホタテの養殖で一発当てた漁師が多いので意外と高級車が走っているし、家も大きいのです。どうも田舎過ぎてお金を使うところが家と車しかないらしいのですが、いわれてみると北海道のほかの地域と比べて高級な車が多かったり、新しい車が多かったりしたような気がします。そういえば、ピカピカのマツダ・CX-30が走っていたのでよく見たらサイドミラーを閉じたまま運転していたという恐ろしい光景も目にしました。「私は後ろを見ません!」というこれ以上ないほどに清々しい宣言なわけですが、こういうのがいるから北海道の道は気が抜けないのです。
 途中の道の駅(道の駅雄武)に寄り道をしてソフトクリームを食べていたら、店員のオバチャンに「そのゴミ投げてあげるよ」と言われました。もちろんこの投げるとは北海道の方言で「捨てる」という意味です。こういう方言を使われると気分が盛り上がりますね。ちなみにぼくは伊勢あたりで聞ける「お持ち帰り」の「も」にアクセントが来る方言も結構好きなのですが、こういう方言が聞けるのも旅の楽しみの一つです。
 ゴミは投げてもらって、先を急ぎます。というのもこの雄武というのは宗谷岬と網走のちょうど中間地点のあたりなので、まだまだ先が長いのです。相変わらずとんでもない速度で走っているトラックに混ざって一路網走を目指します。網走は通過点ですが、とりあえず網走監獄には行ってみるかと思ってとりあえずの目的地は網走監獄にしました。これ以外に網走に何があるのか知りませんが、まあとりあえず行ってみるかというわけです。
 さて、着いてみると見事に最終入場時刻を過ぎています。まあ、過ぎていてもいなくても入館料が1500円もかかる時点でぼくが入館するわけはないのですが、何はともあれここを見学するということは色々な意味で断念することになりました。しかし何もせずに網走を後にするというのも何か癪なので網走刑務所を見に行ってみることにします。網走監獄は観光地ですが、こちらは現役の刑務所です。ちょうど職員が帰宅する時間だったようでゾロゾロと刑務官が出てきましたが、別に不審がられることもありませんでした。敷地内に刑務所で生産した製品を展示している建物があるのと、おそらく勘違いしてこちらに来る観光客が多いのが理由だと思います。写真を撮るなとも書いていなかったので、入り口の前まで行って写真を撮ってきました。

網走刑務所(こっちは現役の刑務所)


 さて、この後は知床の方に向かって進んでいき、今日の宿泊地であるキャンプ場に向かうのですが字数がとんでもないことになっているのでここで終わりにしておきます。このキャンプ場についてもいろいろ言いたいことがあるのでそれはまとめて次の記事に。

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