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キャリアを考える時、文系・理系の区分は厄介。

高校などの進学を考える際には、
「お前は国語が得意だから、文系!」
「数学ができないと理系は難しいぞ…」
「私立文系なら三教科で受験できるから」
などなど、いわゆる「文理選択」にて
「分離」していった経験はおありでしょうか?


いや、別にそのこと自体を否定する
つもりはありません。

高校での教育においては、
中学でいう五教科(国数理社英)すべてを
まんべんなく学習し、成果を上げる。
全教科、すべて百点。
これは理想なのかもしれませんが、
現実には「取捨選択」していく必要がある
生徒もいるわけでして…。

どうしても力がつきにくい教科、
やる気が出ない教科に力を注ぐより、
「私立文系狙いで三教科に絞る!」
など、取捨選択、苦手の断捨離を
していったほうが「望む進路」に
いきやすい、という側面もあるのです。
あくまで、入試突破という観点からすれば。

ただ、この文系・理系という区別が
幅を利かせすぎて
いささか厄介な面もある
のも、事実。
本記事では、そういうお話を書きます。

まず、そもそも論からいきましょう。
読者の皆様は、文系・理系と聞くと、
どんな「教科」を思い浮かべますか?

「うん、愚問ですね。
文系は、文章だから、国語と英語でしょ。
理系は、当然、理科と、数学。
社会科? まあ、文系寄りなのかな?
でも地理はデータ分析もあるから
ちょっと理系チックでは」

そんなイメージでしょうか?

では次の問いを。
読者の皆様は、文系・理系と聞いて、
どんな「仕事」を思い浮かべますか?

「仕事、…仕事ですか。
文系は『文』だから、ライターとか?
理系は、科学技術の研究者とか、
そういうものを、思い浮かべますね」

よくわかりました。では問いを重ねます。
「科学技術の研究者」には、
文系の要素はいらないのでしょうか?
「科学技術論を書くライター」は、
理系と言えないのですか?

「…揚げ足取りはやめてくださいよ。
そりゃあ、研究者は論文を書くことがあるから
文系の要素も必要でしょう。英語の論文とか!
科学技術を書くライターは、
理系の要素を踏まえて、文系の力で書く。
なにか、問題でも?」

ええ、このあたりに問題があります。

すなわち、学校教育の教科でいう
「文系・理系」の区分と、
キャリア、人生の生き様、歩む道、
特に仕事関連における
「文系・理系」の区分は、
必ずしも一致しない、ということです。

「はいはい、わかりましたよ(ため息)。
でも、それって、当たり前なのでは?
学校の教科や、大学のコース分けなどは
あくまで『便宜的に』分けているだけであり、
複雑怪奇な社会、人間の仕事としては、
そんなに単純に分けられないじゃないですか。
一致しないのは、むしろ当然」

…そういう反論もあるか、と思います。
ただ、私がお気付きになって頂きたいのは、

『なぜ、文系・理系という分け方があるのか?』
『どこの誰が、分けることで得をするのか?』

その根本的な思想について、なのです。

この問題、実はかなり根が深いものでして…。
論じていくと、とても3,000字には収まらない。
なので先に、参考文献を紹介します
(ちょっと逃げっぽくてすみません)。

そのものずばりのタイトル、隠岐さや香さんの
『文系と理系はなぜ分かれたのか』
という本です↓

つまり、この問題は、一冊の書籍になるほど
根深い、論じ甲斐のある本なんですね…。

この記事では、簡潔に書くに留めます。
なお以降の文章は、
この参考文献の記述そのものではなく、
私なりに解釈した
記述であることをお断りしておきます。

「文系、理系の区別は、近代以降の日本に
限って言えば、旧制高校の区分が影響している。
教える側の論理、学生管理的な意味合いも強い。
ただ、世界的に見ても、文系・理系的な区別が
ある国も多く、日本だけの特有な問題ではない。
ただこの『学校的な』文系・理系の区別を、
そのまま『仕事』にあてはめていくことの
弊害は、考えていくべき」


言葉を変えれば、
「あくまで、便宜的に文系理系を分けるけど、
それをそのまま、全部あてはめることなんざ
できるわけないじゃないか、人間だもの…!」
という感じですね。

それなのに、どうしても
「俺は文系人間だからね…」
「理系的な物の見方が好きだから、
曖昧な白黒つかないような問題はキライ!」
などと、社会に出てからも、文系理系の区別に
「こだわる」人が多い。かなり、多い。

そここそが、私には問題のように思えるのです。
ちょっと弊害にもなっている。
なぜなら、その文理区別意識が、
自分の可能性に、自分自身でフタをしている
ケースが多いから…。


あくまで便宜的な区別に、ただの言葉に、
振り回されてしまいがちなのです。

そろそろまとめていきます。

本記事では、文系・理系の区別について、
その分ける意味は何なのか、を
軽く問題提起してみました。
論文ではないので、問題提起に留めました。

かく言う私も何となくお察しかもしれませんが
どちらかというと「文系」です。
文章を書くのや、言葉にこだわるのが、好き。
そもそも、小説も書いていますし。

ただ「理系」要素が全くない、嫌い、
そういうわけでもないんです。

そう考えると、やはり「文系・理系」の
区別に引きずられるのは、自分のキャリアを
考える上でも、得策では、ない。

そこで私なりに、文系・理系に代わる言葉、
特に「仕事」を意識して、
言い換えを考えてみました(あくまで便宜的に)。

①文系→人間総合
②理系→技術専門


…いかがでしょう?

①「人間総合」は、この複雑怪奇な人間、社会、
それらを総合的に、様々な視点から考えていく。
②「技術専門」は、白黒はっきり、ルールに則り
専門的に、テクニック的に、突き詰めていく。
そういう「思考」「手法」を示しています。

その意味では、『弁護士』などの仕事は
①「人間総合」をフィールドにしつつも
②「技術専門」すなわち論理と法律の
専門性が問われるような仕事だと思いますし、

『医者』などの仕事は
②「技術専門」すなわち医療の
専門知識や技術を土台にしながらも、
①「人間総合」生きるとは、死ぬとは、という
なかなか答えの出ない難問を考え続ける。

『翻訳者』などの仕事は、
文系・理系の区別なら文系なんでしょうが、
②「技術専門」すなわち言語の
専門知識や技術を使う側面が強い。
ただし、言葉は文化の表現ですから、
①「人間総合」的な理解も必須。

そう考えていった時にですね、

①「人間総合」②「技術専門」このどちらも、
ありとあらゆる仕事に必要であり、
二者択一ではなく、無数無限の要素の
グラデーションであるように思われる
のです。

さて、今度はあなたの番(ターン)。

読者の皆様のお仕事は、どちら寄りですか?
読者の皆様自身は、どちらが好きですか?
それとも、両方まんべんなく好きですか?
…もし、ご自身で、「文系・理系」に
代わる言葉を考えるとしたら、
どんな言葉にすれば、しっくり来ますか?

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