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『あなたは南北に続く通路の途中にいる。
足元にカギが落ちているのを見つけ
立ち止まったところだ。
あなたはカギを拾うか?
拾わずに北へ進んでもいいし、
南へ進んでもいい』

…いわゆる『ゲームブック』
呼ばれるものの記述です。
冒頭の文章は国産ゲームブックの
名作と名高い鈴木直人さんの
『ドルアーガ三部作』の1作目
『悪魔に魅せられし者』の一節から
引用しました↓

「ゲームブック」とは、
ふつうの小説のように
ずっと話が続いていくのではなく、
読者が主人公に成り代わって
選択肢を選んで「進めていく」もの。

どんな選択をしたかによって
話が変わっていきます。

1980年代、このゲームブックは
日本国内でとても流行りました。
まだ、家庭用ゲーム機も
発達しきれていない時代のこと。
本の中で「ゲーム」ができる!とあって
私は表紙がボロボロになるまで
読みふけったものです。

しかし。

1990年代に入ってくると
次第にその火は衰えていきます。
本屋に行っても、ゲームブックの新刊が
少なくなっていったのを、
私はとても寂しく思ったものです。

理由は、いろいろあるでしょう。
家庭用ゲーム機の発達。
質の良くないゲームブックの粗製乱造。
あまりビジョンがなかった。
飽きられた。などなど。

ゲームの世界では
「アドベンチャーゲーム」
「サウンドノベル」
などが生まれて、
『ゲームブック』は過去のこと、
と思われたりもしていきました。

ですが、火は絶えなかったのです。

電子書籍の隆盛は
ゲームブックにも新たな翼を
授けることになります。
そうですよね。
リンクを貼れば、次の文章に跳べる。
すなわち、本をペラペラめくる
あの手間も無くなりますし
紙幅を気にせずにたくさんの
分量を書くことだってできます。

最近では、この
電子書籍版のゲームブックも
たくさん出ています。
また、昔のゲームブックも、
『ドルアーガ三部作』を
初めとして、復刻版も出されています。
動画と組み合わせて、
視聴者の選択肢によって
ストーリーが変わる映画的なものさえ
作られているのです↓

古き良きスタイルにこだわりすぎず、
最新の技術を取り入れて、
ゲームブック的なコンテンツは
新たな翼で飛び立ちました。

「ゲームブック」という
単語に反応した中年世代以上の方
のみならず、

さまざまな世代の方に対して
自分で選択していくという
「ゲームブック」の楽しさを
紹介したい
、と思いまして、
この記事を書いてみた次第です。

◆画像は、表紙がボロボロの
『ドルアーガ三部作』です。
何十年も前のものです。
ひたすら読んだなあ…。

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