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「縁」という字は、ふち、とも読みます。

漢字の語源を見ますと、糸へんに
「つるべ糸の滑車から水があふれる」
という意味の「つくり」から来ていますから、

糸から水があふれだすさま。

つまり、糸でできた服から
糸が「あふれ出ている」もの。
すなわち「服の『ふち』にめぐらされた
様々な装飾」
のことを指したそうです。

そこから「ふち」という意味が出てきた。

読み方はたくさんあって、
音読みは「エン」、訓読みは「ふち」です。

他にも、
えにし、へり、ゆかり、よすが、よ(る)。
また名前にも使われまして
まさ、むね、やす、ゆか、よし、より、
などとも読むようです。

本記事ではこの「縁」という漢字を
糸口にしまして、
『えん』の意味をさぐっていきます。

ビジネスや就職・転職活動などでは
この言葉、けっこう使われますよね。

◆「素敵なご縁をいただきました」
◆「ご縁がありましたら、また」
◆「ご縁がありませんでした」(お祈り通知)

縁が有れば、つながる。
縁が無ければ、つながらない。

「えん」は、そもそもは仏教由来の言葉。
中国由来の「漢字」に
あてはめて使っているところがあります。

仏教では「因縁」とか「縁起」とか
そういう言葉をよく使いますよね。
原因があれば、結果がある。
「因果応報」などという言葉も、ある。

ただ、ここで面白いのは、
縁という漢字の成り立ちから考えた時、
あくまで「糸のはしっこ」という字だ、
というところです。

はみ出ているところ、なんです。

よくよく考えますと、
糸の端っこでないと「結べない」ですよね。
縁を、結べない。

すでに服の生地で使われている糸は、
縦糸と横糸で織られている。
結ぼうにも、結べないのです。

(余談ですが「経営」という言葉にも
いとへんがありますよね。
経は、ぴんと張った糸。
営は、軍隊の泊まる陣屋、住居。
すなわち経営とは、家を建てる時に
「縄張り」をして土台を作ることの意味で、
そこから「物事の土台を決めて事業を行う」
という意味に変わったそうです)

ぴんと張ったり
縦横で織られたりしている
「隙の無い」「遊びの無い」糸ではなく、

はみ出たりあふれ出たりしている
糸から「こそ」、縁が生まれる。


なかなかに奥深い、と思いませんか?

さて、LinkedInという名前にちなんで、
「link」(リンク)という英語とも
対比させてみましょうか。

linkの語源の言葉は、
「輪」をあらわすhlankizという
言葉だと言われています。
これはゲルマン語由来。
曲がりやすい、細い、という意味。

英語で言う「flange」フランジ
同じような語源を持っています。
フランジとは「突縁」すなわち
丸い輪のような部品から
はみ出した部分
のことを指します。

…なんと、縁と同じじゃないですか!
どちらも、はみ出ている部分。

東洋でも西洋でも、
「縁」でも「link」でも、
はみ出ている部分、端っこから
「つながり」が生まれる
ことには
変わりがないのです。

英語つながりでいけば、
international「国際的な」という
形容詞にも似ています。
インターナショナル。

interは「間」で
nationは「国」(alは形容詞の語尾)。

国と国との「間」を「結ぶ」から、
国際的になる
んです。
国の中心にいては、
「インター」なナショナルでは、ない。
国と国との「間」がしっかりと見える
国の「縁(へり)」だから国際的になる。
そもそも漢字でも、国の「際(きわ)」

少々こじつけもあり、恐縮でしたが、

「端っこ」から「縁」が生まれ、
飛び出ているところから「link」が生まれ、
つながりがつき、国際的にもなる…。


本記事では、それが言いたかったのです。

最後にまとめます。

読者の皆様は、どんな「縁」を
結んでいこうと考えていますか?
どんな「link」を結びますか?

ここまで語源などを探って思ったことは、

◆はみ出ないと、縁やlinkは結びにくい
◆凸凹が無いと、つながれない
◆端っこやへりから、つながりが生まれる

ということです。

本拠地に立てこもっているだけでは、
なかなか外の世界が見えませんよね。
社外に出る営業担当者と社内事務の人が
よく対立しているように。

2023年の大河ドラマ『どうする家康』でも、
今川義元亡き後の新当主、
今川氏真は、西の守りと攻めを
松平元康(徳川家康)に丸投げし、
本拠地から積極的に出ていこう、
助けにいこう、とはしませんでした。
(できなかった、という見方もありますが)

その結果、領地の端っこの元康(家康)は
織田信長と同盟を結んでしまい、
今川家から離反してしまう…。

そう、つながりは端っこから
生まれていく
、のです。

あまりに守りに入り、
閉じこもっていては、新たな縁はできない。
むしろ、積極的に外側、端っこにいる
者たちが「離反」していきます。

「経営」もそうですよね。

あまりに固陋に、がっちりと
組み過ぎてしまい、
「社内ルール」という糸だけで
社員たちをがんじがらめにしてしまうと、

端っこができない。遊びが無い。
すなわち、結べない。
つながりが生まれにくい。

縁やlinkを、どうつなげていくか?

そのためには、
あえて端っこに行ってみたり、
余分な糸や突縁を作ってみたり、
凸凹や服のふち飾りを見せたり、
相手のそういうものを探ってみたり、


そんなことが大事だ、と思いました。

オープンな『縁側』でこそ、
客人を迎え入れられるのです。
つながりが、つけやすい。
手を伸ばして、はみ出させるからこそ、
握手もできるというもの。

読者の皆様の「端っこ」、
「縁を結ぶ糸」は、どんなものでしょうか?
良縁は、結べていますか?
…遊びの糸は、あふれ出ていますか?

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