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『カレーの街』と言われて、思い浮かぶ街は?

とあるアンケートでは、
以下のような街がランクインしました。

◆1位「横須賀(神奈川県)」30.8%
◆2位「札幌(北海道)」  18.8%
◆3位「神保町(東京都)」 15.4%
◆4位「金沢(石川県)」   7.7%
◆5位「門司港(福岡県)」 5.6%

横須賀カレー、こりゃ有名です。
札幌と言えば、スープカレーだ。
金沢なら「ゴーゴー」なカレー、
門司港と言えば「焼きカレー」が美味!

これらの街に負けずとも劣らないのが
「神田の神保町」なのです。堂々の三位!

…確かに神保町にはカレー屋さんが多い。
カレーを扱うカフェもたくさんある。
一説によると、神田・神保町あたりには
400店を超えるカレー屋さんがあるとか…。
(秋葉原のあたりも含めて、だと思いますが)

「港町」なら、わかります。

そもそもカレーは異国の料理。
インド発祥、イギリスでも発展、
本格的な「インドカリー」や
「欧風カレー」が港町で流行ったのは
容易に想像がつく。

…しかし、なぜに、神保町?
本記事では、その理由を探っていきます。

とりあえず「神保町 カレー なぜ」と検索。
色々な説が出てきました。よく出てくるのが
『本を片手にさっと食べられるから』
という理由。うん、もっともらしい。
本を買ったら、カレーを食べながら読む…?

ですが、よくよく考えると、
ちょっと無理がある気も、する。

なぜなら私だったら
カレーとともに本を読もうとは思わないから。
匂いがつくじゃないですか。
万一、紙の本にカレーをこぼしたりしたら
「スパイシーブック」になる…。

違う理由も考えていきましょう。

カレーと言えば、大衆的ですよね。
お手軽に食べられる料理。
『学生が多いので、安くて美味しい
カレーのお店が増えた』説。

うん、これもよく出てくる。

確かに、そういう一面はあるとは思う。
神田・神保町には大学などが多く、
学生の街でもありますから。

…ですが、これにも疑問符がつく。
「安い」お店ばかりではないから。
高くて美味しいカレー屋さんもある。

『下町だから間口の狭い店が多かった。
カウンターで食べるお店には
カレーが適していたから』


こんな説も出てきました。
ですが、東京には
間口の狭いお店がたくさんある街は、
他にもあります
よね…。
なぜ神保町、という理由には、苦しい。

なぜなんでしょうか?
読者の皆様は、どう考えますか?

…では、ここで少し視点を変えて、
「いつ頃からカレーの街として
知られるようになったか」
から考えます。

1924年(大正13年)に『共栄堂』という
老舗中の老舗のカレー店ができました。
しかしまだその頃には『カレーの街』という
イメージはなかった。

きっかけの一つとなったのは、
『ボンディ』というお店が開店したことです。
1973年。昭和48年。このお店が大ヒット!
確かに「行列のできるカレー店」ができれば、
「カレーと言えば神保町!」という
イメージはつきやすくなります。

そしてひとたびイメージがつけば、
「ここでカレー店を開こう!」という
新進気鋭の店長さんも増えるものです。
相乗効果を狙う。切磋琢磨!

◆まんてん(1981年)
◆ガヴィアル(1982年)
◆ペルソナ(1983年)
◆マンダラ(1985年)
◆エチオピア(1988年)
◆トプカ(1994年)
◆カーマ(1995年) …

このように、専門店が増えていきます。
80年代~90年代ということもポイントです。
漫画『美味しんぼ』などのグルメブーム!
エスニックブームも、拍車をかけていく。

しかも、神保町は言わずとしれた
「本」の街でもありますよね。
ネットやSNSがまだ発達していない時代は、
「書籍」「雑誌」の特集が、情報の発信源!

『カレーなら神田・神保町へ!』
『神田・神保町のカレー 名店10選』

などの特集が組まれていきます。
特集を組むには、取材をする必要がある。
たくさんのお店が特に集まっている街なら、
すぐに取材しやすい、特集しやすい。
東京だから、出版社も近い…。

そんなこんなで『カレーの街』ムードが
高まってきたところで、イメージを
決定づけたイベントが始まったそうなんです。

その名も『神田カレーグランプリ』

2011年(平成23年)に開始。
日本最大級のカレーの祭典!
「スタンプラリー」と
「グランプリ決定戦」の2部構成で、
決定戦には何と数万人が来場するそうです。

ここでグランプリを取れば、名誉…!
歴代のグランプリ受賞店は以下の通りです。

◆第1回(2011年)欧風カレー ボンディ
◆第2回(2012年)インドレストラン マンダラ
◆第3回(2013年)日乃屋カレー
◆第4・6回(2014.2016年)100時間カレー
◆第5回(2015年)上等カレー
◆第7回(2017年)お茶の水 大勝軒
◆第8回(2018年)MAJI CURRY(マジカレー)
◆第9回(2019年)秋葉原 カリガリ
(2020年・2021年は開催なし)
◆第10回(2022年)MAJI CURRY(マジカレー)

(ちなみに2019年には
「アパ社長カレー」が参戦して
三位を獲得しております)

主催は「神田カレー街活性化委員会」。
後援は「千代田区観光協会」。
特別協賛は「三井物産」。
協賛は「エスビー食品」「東京メトロ」
「キリンホールディングス」など…。

そう、これは地域、公官庁、商社、大企業、
一体となって開催する大イベント
なんです。
ビジネス的にも、すごく美味しい!
みんなで協力して、宣伝する。
グランプリを取ったカレー屋さんと
コラボでレトルトカレーも作っていく…。

このように、
『名店』『地域』『情報』『企業』という
スパイスや具材が集まり、
美味しくなるよう煮込まれていったことが、
神田・神保町を『カレーの街』へと
押し上げていったのではないでしょうか?

ましてや、「理系の秋葉原」と
「文系の神保町」は、どちらかと言えば
「マニアック」「偏愛者」が集う街ですよね。
となれば、一般受けをしない個性的な
尖ったカレーでも、温かく受け入れてくれる。
個性的な古書店が成り立つように…。

最後に、まとめます。

本記事では「なぜ神保町はカレーの街なのか」
という謎に迫ってみました。

カレーは、一晩寝かせたほうが
美味しくなる、と言います。
煮込めば煮込むほど美味しくなる…。
想いを煮込み、再び訪れた際には、
違う味わいを楽しんでみる…。

それもまた良い、のではないでしょうか?

神保町は、何度来ても、いつ来ても、
「刺激的で美味しい街」だと思うのです。

※神保町の名店カレー三店の記事も、ぜひ。

◆【神田神保町の古書店街の由来!】↓

◆【孤独のいなおグルメレポート(神保町)】↓

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