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PUFFY(パフィー)の『これが私の生きる道』。
二枚目のシングル、1996年にリリース。
『アジアの純真』に続いて、大ヒットした歌。

…中年世代の方は、この曲を聞けば、
当時の記憶が蘇るほどの名曲の一つでは。
ええ、私も、蘇ります。いろいろと。
1997年のセンバツの入場行進曲になったほど
世の中に広まった歌です。

でもこの曲、よくよく考えますと
『キャリア』について、どストレートに
表現しているんですよね。
タイトルからして「これが私の生きる道」。

キャリアの語源は、車道とか轍(わだち)とか、
要は「生きる道、生き様、過去~現在~未来」、
そんなニュアンスがあるのですが、
これが1996年の段階で、すでに歌になっている。

この曲の作詞作曲は、奥田民生さんです。

優れたミュージシャンたちは、
世の中の空気をとらえ、時代を先取りし、
それを世の中に出していきます。
だからこそ、流行する。皆が口ずさむ。
「歌は世につれ、世は歌につれ」と
言いますけれども、まさにそれ、なのです。

ただ、ここで一つ、トリビア的な知識を。

この「これが私の生きる道」というタイトル。
実は、ある歌のタイトルのパロディだ、
ということをご存知でしたか?

その元の歌とは、1962年発売、
植木等・ハナ肇とクレージーキャッツの
『これが男の生きる道』です。
歌詞を書いたのは、
東京都知事も後に務めた青島幸男さん。

植木等さんと言えば、
映画「サラリーマンどんと節
気楽な稼業と来たもんだ」でも有名。
「サラリー『マン』」とか
「気楽な稼業」とか、今では
ものすごい隔世の感がありますね…。
(今なら、「ビジネスパーソン哀歌
ストレスフルな稼業と来たもんだ」
のほうがしっくりきます)

タイトルの話に戻しますと、
1962年『これが男の生きる道』と、
1996年『これが私の生きる道』。
…うん、見事に、パロってます。

私は、この30年以上の時を経て蘇った、
というか奥田さんが蘇らせた歌に、
「キャリア観の変遷」を感じずには
いられないのです。

よく私は、30年ごとに時代を区切って、

①1961年~1990年
②1991年~2020年

この①②を対比させて説明することがあります。

①経済成長、人口増加、終身雇用、男尊女卑…
②経済停滞、人口減少、雇用流動、男女平等…
もちろん、明確に区切ることはできませんが、
だいたいの傾向は、こんな感じです。
1991年の「バブル崩壊」が、分水嶺。

ちなみに、『およげ!たいやきくん』が
大ヒットになったのは、1975年です。
鉄板の上で焼かれて逃げ出すたいやきくんが
満員電車に揺られて通勤するサラリーマンを
象徴している、まさに①のあたりの歌です。

働き方、生き方、キャリア観の変遷。

1962年『これが男の生きる道』と、
1996年『これが私の生きる道』が、
見事に対比しているように、私には思える。

①の時代は、「男性」が終身雇用で働き、
「女性」が専業主婦等で支える、
まさに「昭和元禄」、江戸時代か!とも
言うべきスタイルが主流になっていました。

それに対して②の時代は、
そのスタイルが徐々に崩れていき、
男女共同参画社会、共働き、
性別不問の「私」が
「自分なり」のキャリアを模索していく…
そういうスタイルが主流になっていく、
そんな時代であったように思います
(もちろん、一気に変わるわけではなく、
暗中模索で、ちょっとずつ進んでいく感じ)。

もちろん、どちらが良い悪いでは、ない。
あくまで時代の流れ、
主流のスタイルの対比の話です。

そしていま、②も終わった。
私たちは「次の時代」を生きています。

おそらく、今の時代を象徴するような、
キャリア観を浮き彫りにするような、
そんな名曲が、
世につれて生まれていくことでしょう。
いや、私が知らないだけで、
すでに生まれているかもしれません。

…さて、読者の皆様は、いかがでしょう?

もしあなたが、自分の「キャリア観」を
歌に託すとすれば、
どんな歌がしっくり来ますか?
どんな歌詞を、曲に乗せますか?

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