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1、電力の安定供給のために

あるのが当たり前と思っているものほど、無くなってみるとその大事さがわかると言います。

電気や電力はその最たるもので、今回の台風15号(2019年9月上旬)でいまだに停電が続いている地域も多く、その大事さが身に沁みます。

今回は、その電力の安定供給に尽力した、2人の人物の紹介記事です。

2、鬼と呼ばれた男

1人目は、松永安左エ門(1875~1971)です。

色々と説明するよりも、この動画を見て頂いたほうが早い↓。

2015年にNHKで放映されたドラマの「見どころ紹介」です。

主演は演技派の吉田鋼太郎さん。ベテラン俳優が脇を固め、かなり見応えのあるドラマです。

自伝の「電力の鬼―松永安左エ門」はこちらから↓。

この本の説明から、業績を簡単に紹介すると…↓。

明治8年、長崎県壱岐に生まれる。明治22年、慶應義塾に入学。明治31年、日本銀行を一年足らずで退社後、電気事業に参入し、大正11年、東邦電力を組織、東電と熾烈な競争を繰り広げ、「電力の帝王」と呼ばれる。昭和24年、電力復興の責任者に抜擢され、昭和26年に電力9社体制を発足させた。なお、これに沖縄電力を加えた電力10社体制が今日まで続いている。その後、電力中央研究所を設立し、以後、電力界の発展に尽くした。昭和46年、死去、享年96。

明治~大正~昭和を生き抜いた96年の生涯。戦後にはすでに高齢でしたが、電力復興の責任者に抜擢され、死ぬまで活躍しました。松下幸之助や池田勇人といった、経済界・政界の大物からも敬意を持たれていたと言います。

池田勇人を主人公にした漫画、大和田秀樹さんの「疾風の勇人」にも出てきますね↓。

彼の生涯を見ると、「官僚嫌い」「民間で活動」という思想と行動が浮かび上がります。福沢諭吉の「学問のすゝめ」に感銘を受けて、慶應義塾に入った影響があるのでしょう。「独立自尊」が福沢諭吉の主張の本分ですから、官僚とは相いれない。「官僚は人間のクズだ!」と言って、戦前の日本で命を狙われたこともあったそうです(戦前の日本は国家権力が非常に強かったので、その中でクズよばわりしては、そりゃ危険ですよね…)↓。

そんな彼ですが、総理大臣を務めた池田勇人とはウマが合ったらしく、高度経済成長の政策に協力します。池田勇人は大蔵省の事務次官まで務めた官僚出身なのですが、放言で大臣を罷免されるなど「ソツがある」「官僚らしくない」豪傑肌の政治家でしたので、お互いに波長が合ったのでしょう。

ともかく、いまの私たちが電力の恩恵を受けられているのは、この松永安左エ門さんの尽力のたまものである、と言ってもよいと思います。

3、鳩を愛した男

2人目は、ニコラ・テスラ(1856~1943)です。

誰?と思った方も、エジソンの名前はご存知でしょう。発明王エジソン。電気の実用化も手がけた。「エジソンは偉い人、そんなの常識」と、アニメのちびまる子ちゃんの「踊るポンポコリン」でも歌われています↓。

ニコラ・テスラは、そのエジソンにケンカを売って、特に電力の分野では、エジソン以上の功績を残した人です。

色々と書くよりも、こちらを見て頂いた方が早い↓。

エジソンとの「電流戦争」は特に有名です。

「直流」にこだわるエジソンに対し、「交流」を主張したテスラ。エジソンはネガティブ・キャンペーンを展開し、テスラの使う「交流」で、わざと動物を感電死させたりして危険をアピールするほど。ですが、現在の世界で圧倒的に多く使われているのはテスラの「交流」です

なお、電力だけでなく、まるで息をするように凄い発明を連発しているので、詳しくはこちらのページをご参照まで↓。

蛇蔵さんの「決してマネしないでください。」という漫画にも、ニコラ・テスラが出てきます↓。

そんな実力を持った発明家、ニコラ・テスラですが、鳩をこよなく愛し、鳩にエサをやりに行って車に轢かれて重傷を負ったり、ホテルで鳩にエサをやり過ぎて鳩が居着いてしまいホテルを追い出されたり、ちょっと怪しい行動もしています。アメリカではマッドサイエンティスト扱いされて、あのスーパーマンの敵役になったりもしています(それはそれですごい)。

ただいずれにしても、現在の世界で電力の恩恵を得ることができるのは、エジソンにケンカを売ってまで交流電流を広めた、このテスラさんのおかげと言ってもいいと思います。

4、実は「無名の努力」が支えている

いかがでしたでしょうか?

今回の記事は、電力の安定供給に尽力した、松永安左エ門とニコラ・テスラについて書いてみました。

池田勇人は知っていても、松永安左エ門は知らなかった。
エジソンは知っていても、ニコラ・テスラは知らなかった。

私もそうでした。有名人の陰には、実は凄い人がたくさんいます。大成功を収めた人の陰には、知られざる天才や努力家がいるのです。

考えてみると、彼らのように「世界的な有名人ほどは有名ではないけれど、実用的な力を持っている」人は、この現在の世界にも、知らないだけでたくさんいると思います。

今回の台風で、電力の供給を復活させようと、暑い中で必死に尽力されている方は、ほとんどが無名の技術者でしょう。ですが、いったん失われた電力を数日間で復旧させるというのは、考えてみれば凄いことだと思います。私たちのインフラは、このような方たちの「無名の努力」によって成り立っています。

失って初めてそれに気づく…。そんなことを考えながら、この記事を書いてみました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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