3野外のシロサト

明日のための自分史 ~振って返って活かす~

1、昨日ではなく明日のために

「自分史」を書いたことはありますか?

最近では学校の課題として「自分史」を書くこともあるそうで、以前よりも書いたことがある方も多くなっていると思います。

先日の記事で、私は「振り返り」が大事だと書きました↓。

「伝統的な仕事観(キャリア観)」においては、「振り返り」は必ずしも人生の真っただ中で行われるものではありません。すごろくの「あがり」、人生ゲームの「ゴール」になって初めて、「定年退職」して初めて、自分の人生の総仕上げとして行うことが多かったと思います。記事から引用します↓。

◆「伝統的な仕事観(キャリア観)」
◇0~18歳:パズルのピースを集める(学習・能力向上)
◇19~36歳:パズルを組み立てていく(就職・仕事)
◇37~54歳:パズルを組み直していく(立場の変化・再構築)
◇55~72歳以上:パズルを眺める(退職・振り返り・年金生活)

これに対して「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」においては、人生のすべてのステージにおいて「振り返り」が必要となります。つまり、自分の人生の総仕上げとして行うのではなく、次のステージ、「明日のために」振り返りを行うのです↓。

◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」
◇0~18歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇19~36歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇37~54歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇55~72歳以上:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)

おそらく、学校現場(小中高大)で自分史制作の課題が行われるようになってきているのも、このような時代の変化に即してだと思われます。

「振り返り」の目的の違いをまとめると、こういうことです↓。

◆「伝統的な仕事観(キャリア観)」
→自分の人生の総仕上げとしての振り返り
◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」
次のステージに活かすための振り返り

ゴルフでも、スイングでボールに当てる「インパクト」だけではなく、「フォロースルー」が大事だと言われます。振り返りをしない人は、ただ闇雲にボールを打つだけのようなもので、上達しません↓。

今回の記事は、この「明日のための」振り返り、「明日のための」自分史のお話です。

2、実は振り返っている

「振り返り」には、どのような方法があるのか?

たくさんの方法があります。

まず、ぱっと思いつくのが「日記」です。日々行ったり考えたりすることを記していく。その延長で「ブログ」や、「Twitter」「Instagram」「Facebook」などへのSNS投稿なども、それにあたるでしょう。もちろんこの「note」記事などもそうです。最近では「YouTube」「Tik Tok」など、動画記事も流行っています。アナログ・デジタル問わず、「仕事手帳」に仕事やアポの予定を書き入れていくのも、立派な振り返りです。

写真好きな方は「アルバム」をたくさんお持ちだと思います。お子さんがいる方は、その子の写真をたくさん撮られるでしょう。七五三なんかのライフイベントには特に改まった写真を撮ったりします。これもまた、振り返りの一種ですね。学校現場なら「卒業アルバム」「文集」。若気の至りで、ついつい色々なことを書きます(笑)。

就職活動や転職活動などで書く「履歴書」なども、振り返りの方法ですね。「エントリーシート」「職務経歴書」などもそうでしょう。今まで何をしてきたのかが一目でわかるように、文書にまとめる。「振り返り」なくして書けない。

また、結婚式などで流される「ブライダルムービー」なんてのも、振り返りにあたるでしょう。ほら、あの新郎新婦の人となりとか、馴れ初めとか、「ああ、こういう人なのね」と、すぐわかってもらえるように作るものです。結婚は、家族同士のつきあいの始まりでもありますので、こういうものが必要な場面でもあります。

クリエイターの方であれば「ポートフォリオ」を作っている方も多いでしょう。実績集、作品集。「私はこんなものを作ってきました、こんなものが作れますよ」とアピールするものです。

…ええと、「自分史」はどうなんですか?という声が、そろそろ聞こえてきそうですね。そうです、振り返りと言えば自分史が一番でしょう。「伝記」「回顧録」「私の履歴書(新聞連載)」などまで行くと、振り返りの中の振り返り、という意味合いが強くなりますね。

そう考えますと、意外と私たちは、振り返りを行っています。

ただ、ここからが重要なのですが、その振り返りを「どの方向を向いて行っているのか」意識していますでしょうか? そのあたりを意識的に、振り返りを行っていますでしょうか?

3、自己満足か、明日への扉か

まず、時間軸で考えてみましょう。

「過去」「現在」「未来」、この3つですね。

◆「過去のため」…昔を思い出して懐かしむ
◆「現在のため」…今、何をするべきかの行動の指針とする
◆「未来のため」…将来、何をするべきかの行動の指針とする

例えば「日記」については、「過去のため」「現在のため」、過去に何をやってきたかを記録しておくため、という意味合いが強いでしょう。そう考えると「未来の自分の過去のため」とも言える。「未来に振り返りをする」材料として書いておく。これを純粋に「今や将来に、何をするべきかの行動の指針とする」という意識で書いているかどうか。

「SNS投稿」についてはどうでしょう。Twitterなどは「現在」思ったことをそのままつぶやく人が多いでしょう。しかし、何か感動したことを「残しておきたい」と思って書く人も多い。ただ、「今や将来に、何をするべきかの行動の指針とする」という思いで書いている人も、いるかもしれません。

「卒アル」「文集」などは、「過去」の記録を残すとともに、「未来」へ向けたメッセージ的な意味合いが強いかもしれません。「将来何になりたいですか」など定番の質問は、その最たるものです。

こういう話になると必ず引き合いに出されるのが、「イチローさんの作文」ですね。ご存知の方も多いと思いますが、こちらを↓。

…小学6年生の段階で、ここまで数字を挙げて、ここまで具体的に文章で書けることに、感動すら覚えます。その後のご活躍は、言わずもがなです。ちなみに「本田圭佑さんの作文」「石川遼さんの作文」などもありますので、ぜひ検索してみてください。引用例はこちらから↓。

次に、対象別に考えてみます。

「自分」「他人(個人)」「他人(社会)」、この3つにしましょう。

◆「自分のため」…自分が満足すればそれでOK
◆「他人(個人)のため」…特定の他人(個人)に伝わるようにする
◆「他人(社会)のため」…不特定の他人(社会)に伝わるようにする

「日記」は基本、「自分のため」ですよね。これが、SNSなどのツールを使うと、不特定の他人(社会)に向けて発信される。もし、誰が見るかわからないのが嫌であれば、Twitterなどの「鍵アカ」や「DM」で、特定の他人(個人)にのみ伝わるようにすれば良い。「匿名」「ペンネーム」などで書く方法もあるでしょう。

一方、「履歴書」「ブライダルムービー」「ポートフォリオ」などになると、これは「自分のため」ではなく「他人のため」になります。面接官に届け。その背後にいる経営陣に届け。結婚相手の家族親戚に届け。仕事を決める権限のある人に届け。そのような思いでもって、制作していく。

当然、すべてのことを書かなくてもよいわけです。取捨選択して、自分の良いことを(場合によっては多少盛って)まとめるわけです。あえて黒歴史を書く必要はない。

参考までに、歴史の「取捨選択」につきましては、過去にいくつか記事を書いておりますので、お読みいただけますと嬉しいです(私の中では「八艘飛び」「漫画する」「食っていく」の歴史三部作の記事です)↓。

4、青年世代・中年世代への自分史制作支援コンテンツ

これらを踏まえて、「自分史」ではどうでしょうか?

◆「伝統的な仕事観(キャリア観)」
→自分の人生の総仕上げとしての振り返り
◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」
次のステージに活かすための振り返り

「伝統的な仕事観(キャリア観)」における「自分史」では、「自分の人生の総仕上げとしての振り返り」が主になるでしょう。時間軸で言えば「過去」、対象別で言えば「自分のため」。自己満足が第一。もちろん、他人に配ったりすることもあるでしょうが、あくまで自分が主体。

これに対して「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」における「自分史」では、「次のステージに活かすための振り返り」が主になるでしょう。時間軸で言えば「現在」「未来」。対象別で言えば「自分のため」を主としつつも「他人(個人)(社会)」にも伝わるようにする。

まとめます。

◆「伝統的な仕事観(キャリア観)」の自分史
→自分の人生の総仕上げとしての振り返り
→過去のため・自分のため
◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」の自分史
→次のステージに活かすための振り返り
→現在と未来のため・自分を主としつつ他人にも伝わるようにする

このような、従来型の自分史ではなく、「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」の自分史の制作を支援するコンテンツを、私は制作したいと思っています(すでに制作しつつありますが…)。

特に、高齢者の方向けではなく、「青年世代・中年世代の方向けの自分史制作支援のコンテンツ」を模索しています。熟年世代の方向けのコンテンツは、すでに人生の先輩方がたくさん手掛けており、世の中にあふれています。また、学校現場での児童・生徒向け(少年世代)の方向けのコンテンツは、学校の先生方のほうがお詳しいでしょう。

私は、特に、次の2つ、「19~36歳の世代(青年世代)」「37~54歳の世代(中年世代)」を対象としたコンテンツを目指しています。いま一番少なく、いま一番必要とされている、と思うからです(もちろん、人生は死ぬまで続くわけですし、仕事をする年齢は年々伸びてきていますから、熟年世代の方にも応用はできます)。

◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」の自分史
◇0~18歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
19~36歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
■37~54歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)

◇55~72歳以上:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)

別の言葉で言えば、「キャリアの棚卸し」と言い換えてもいいかもしれません。もし、良いアイデアがございましたらご教示ください。

5、書かない自分史

いかがでしたでしょうか?

今回の記事では、「明日のための」振り返り、「明日のための」自分史という切り口から始めて、従来型ではない「青年世代・中年世代の方向けの自分史制作支援のコンテンツ」について書いてみました。

なお各世代(6年ごと)の考察記事は、こちらから↓。

また、自分史に興味をお持ちの方(たくさんいるといいなあ…)には、こちらの書籍がおススメです。倉林奈々子さん・野見山肇さんの「書かない自分史」です。自分史=文字で書く、だけではありません↓。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

自己紹介

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!