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ああ栄冠は君に輝く ~高校野球のチームカラー~

1、学生野球の父

大河ドラマ『いだてん』では、「天狗倶楽部」という愉快な人たちが出てきます。スポーツ好きなハチャメチャな人たちの集まり、とでも言いましょうか、明治時代の快男児たち、とでも言いましょうか、とにかく元気な人たち。その中に、「飛田穂洲」(とびたすいしゅう)という人がいました。

「学生野球の父」と呼ばれる彼は、早稲田大学に進学、早稲田大学野球部の専任コーチとして黄金時代を築きます。一番有名なのは「一球入魂」という言葉、のちに野球殿堂入りも果たしたスゴイ人です。

彼は、現在の水戸市大場町の出身。水戸市民球場(ノーブルホームスタジアム水戸)の前には、彼の銅像もあります。

彼の業績についてはこちら↓。

ただ、彼の業績については賛否両論があることも書いておかねばなりません。「一球入魂」「野球道」「千本ノック」などの言葉にあらわされるように、野球を通した精神的な修養に重きをおいたために、「精神重視で科学的ではない」「軍隊式の野球のルーツ」などと批判されることもあります。「球数制限」など、野球界(特に学生野球)をとりまく議論が激しい昨今ですからね…。

2、水戸に始まり水戸に終わる

さて、水戸市民球場(ノーブルホームスタジアム水戸)の話です。茨城県の夏の甲子園大会、いわゆる「夏大」の地区予選は、この水戸市民球場で始まり、この球場で終わります。そう、開会式の会場でもあり、決勝戦の会場でもあるのです。

最近は、県南のチームが強くて、両方県南のチームが決勝戦を戦うこともあります。「県南の球場で決勝をやればいいんじゃないか?」などの声もあります。確かに、最近は水戸の高校は茨城県代表になっていません。しかし、飛田穂洲の銅像もあるこの球場は、何というか、茨城県の高校野球の「聖地」であるように思えるのです(私の勝手な感想です)。最近、改修も行われ、愛称も決まり、一新したこの球場。夏大の地区予選の開会式には、すべてのチームが集まります。最近では100校前後。しかしこの中から夏の甲子園に出場できるのは、わずか1校。その残酷ながら感動的な事実。毎年繰り返される、水戸の風物詩といっていいと思うのです。

ちなみに、夏大の期間中に売り出される、売店の「カツ(勝つ)サンド」はとても美味しいです。球場にいらっしゃった方はぜひ。

3、3つのチームカラーを例に挙げて

高校野球には、さまざまな形があります。チームカラーもそれぞれです。夏の甲子園大会で優勝する! この大目標に向かって一直線! もちろんわかりやすくて良いのですが、チームの目標、チームカラーは色とりどり。全部のチームが甲子園優勝できるわけではない。それでいいと思います。多種多彩なチームがあってこその、高校野球の醍醐味。

ここからは、茨城県の高校の野球部から、3つのチームカラーを例に挙げます。100チームあれば100通りチームカラーがあるのは百も承知です。その中からの3つです。ただし、実在する高校の話を、あくまで私見に基づいて書きますので、関係者の方のご迷惑にならないように、イニシャル伏字で書きますことご容赦ください。

まず、J高校。茨城県の高校野球と言えば、この高校を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ダルビッシュを攻略したこともあるK監督(現在は勇退されています)で有名で、そのKマジックなどは全国にその名をとどろかせました。私のイメージでは「絶対王者」。漫画に例えれば、『ドカベン』の明訓高校です↓。

J高校がベスト4くらいまでに勝ち残ってないと、何となく寂しい。以前、三回戦くらいでJ高校が負けた時、場内アナウンスで他球場の結果として知らされたのですが、(他球場のことにもかかわらず)異様な雰囲気が球場内に満ちたことを覚えています。「あのJ高校が地区予選の三回戦で負けた…?!」みたいな。まさに弁慶高校に無敵の明訓高校が負けたくらいのショック。J高校と対戦する相手チームは、まず、そのJ高校が持つブランドと圧迫感と戦わなければなりません。

次に紹介するのは、H高校です。全国的には無名ですが、私の中で大注目です。なぜか。芸人さんの名前ではありませんが「とにかく明るい」んです。こんな明るいチーム見たことない。カルチャーショックレベルです。

ふつう、凡退するとがっくりして帰ってくるじゃないですか。違うんです。笑顔で帰ってくる。そしてメンバーとハイタッチ。伝令に出る。伝令は、フィールド内で戦っているわけではない控えの選手です。しかしその伝令が帰ってくると、みんなで笑顔でハイタッチ。「いい仕事したな!」みたいな感じ。ホームランでハイタッチではないんです。メンバー全員、笑顔、全力疾走で交代、前向きなベンチからの声援。これは球場内で見ると、敵チームの応援の人も魅了されるレベルです。全国でも屈指ではないかと。

もちろん、賛否両論あると思います。失敗しておきながらニコニコするとは何事か! でも、野球は「失敗するスポーツ」なんです。大打者でも、3割打てればOK。残りの7割は失敗しているんです。ピッチャーでも、完全試合はほとんどない。ヒットは打たれるんです。ノーエラー試合も珍しいほうです。となると、「いかに失敗しても切り替えるか」、これが大事。そう考えると、「とにかく明るいH高校」のチームカラーも、ありだと思います。

チームの一体感は、『おおきく振りかぶって』の西浦高校を思い起こさせます↓。

最後に、M高校を紹介します。ここはいわゆる「野球留学」、全国から優れた選手を集めて、切磋琢磨させて強豪として最近急上昇した高校です。

この「野球留学」に対しても、賛否両論ありますよね。昨年の夏の甲子園で優勝した大阪桐蔭も、中日ドラゴンズに入団した根尾選手は岐阜県出身。全国から上手な選手をかき集めるのはいいのかどうか? 金で勝率を上げようとしているだけではないのか? その地域出身の選手だけで戦うべきではないのか?

しかし私は、野球留学もありだと思っています。考えてみると、自分ではどうしようもできない、生まれた地域の中だけで勝負をかけるより、少しでも甲子園出場の確率の高い地域に引っ越して、野球の技を磨く。すごいことだと思うんです。わずか15歳でその決断をするんですよ?外国出身の力士が、ジャパニーズドリームを目指して日本にやってくるのと同じです。その本人の決断を、私は率直に評価します。県外からの選手というだけで、応援したくなります。(補足をすると、M高校は近くの地域出身の選手も多くいます。様々な地域の選手が、ぶつかりあって1つのチームになっていくのも感動です。ジャイアンツの坂本選手を育てたK監督の采配・育成も凄い

チームのイメージは、『BUNGO』の静央ですかね…。なんとなく猛禽系なんですよね…↓。

4、あと1か月!

いかがでしたでしょうか? 3校しか取り上げませんでしたが、毎年絶対的エースを育て上げて『ドカベン』の白新高校を思い起こさせるK高校、ここ2年夏の代表となっている「夏に強い」T高校、公立の星F高校、古豪復活M高校など、茨城には個性豊かなチームが目白押し(伏字でわかりにくくてすみません)。まさに戦国時代です。まあ、戦国時代すぎて予選で全力を使いすぎ、なかなか甲子園で勝てないという面もありますが…。

今年は、茨城県の地区予選大会は7月6日が開会式。そう、ちょうどあと1か月なんです。この1か月が勝負なんです。1年の新戦力をどう組み込むか? 2年のベストコンディションをどう夏に持っていくか? そして、負けたら引退のサドンデス、3年をどう輝かせるか? 

高校球児の皆さん、奮戦を期待しております!

もし、漫画に興味をもたれた方は、こちらの記事もぜひ↓。

まとめにかえて、これは実名出します、「日立一高」の応援風景は凄い!とアピールしておきます。これはぜひ球場で聴いていただきたい。全校応援のエンドレス「SEE OFF」はまさに魔曲、鳥肌モノです。興味のある方は、動画などご検索ください。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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