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「ポロロッカ」という自然現象をご存知でしょうか?

南アメリカ大陸のアマゾン川、と言えば
流域面積世界最大、とてつもなく大きい川です。
この河口で、川の水が「逆流」する現象が起きる。
これが、ポロロッカ、と呼ばれているのです。

「はあ、海から川のほうへ、流れが逆流する。
まあ、あるんじゃないですかね」

確かに、他の川でも起こります。
しかし世界最大のアマゾン川ともなれば、
その規模は半端ないものでして…。

何と最大「十メートル」ほどの高さの波が、
アマゾン川の河口に押し寄せてくるんです。
最大で「時速65キロメートル」の速さで逆流、
波が沿岸より「800キロメートル」ほどの
内陸まで達することがある、と言います。

なんとも凄まじい勢い!

轟音とともに逆流していくために、
先住民の言葉で「大きな轟音」を表す
ポロロッカ、という言葉が
そのままこの現象の呼び名になりました。

本記事では、このポロロッカを、
人間の「振り返り」とからめて、書いてみます。

日々、食べて動いて寝て起きてまた食べて、
日常は常に「流れて」いきますよね。
「時の流れ」は、誰にでも等しく訪れます。

それが「逆流」することは、原則、ありません。
もう一回、昨日をやり直すことは、
まだタイムマシンがない現代では、できない。

しかし、実際の行動はやり直せなくても、
頭の中で、心理的に「さかのぼって」、
いわば「逆流させて」昨日に、
過去に戻ることはできます。

そう、「振り返り」というものです。

人間は生き物の中でも特に、
「振り返る」ことが許された生き物なんです。
おそらく、食うや食わずやの生存本能に任せた
他の生き物では、振り返ることは、しない
(動物園など、食事の心配のない動物たちは
実は振り返っているかもしれませんが…)。

ただし、この振り返りは、
意識しないとしにくいですよね。
そもそもが、時の流れに反しているから。

また、過去ばかり見ていてもしょうがない、
大事なのは現在、未来である。
そういう考えも、あるでしょう。

しかし、現在、未来において
優れた活動をしている人は、その多くが
意識的あるいは無意識的に「振り返り」を行って、
それを活かしているんです。

失敗を、繰り返さない。
成功へのヒントに、活用している。
トライアンドエラー。
その地道な作業を、いとわないんです。
いかに振り返りを組み込むかが、成功への鍵。

「…ふふん、話のオチが見えてきましたよ。
要するに、ポロロッカ的な『凄い振り返り』も
やってみるといい!という話でしょ?」

うん、半分当たり。しかし、半分違います。

ポロロッカや振り返りは、人間にとって
良い面と悪い面、両方がある、
ということが言いたい。

河口の街ではポロロッカで洪水被害が起きます。
これは悪い面。しかし、この波を利用して
「サーフィン大会」を開くこともできる。
これは良い面だ、と言えるでしょう。

そもそもが自然現象ですから、
そのものに良い悪いなどは、ありません。
良い悪いを決めるのは、人間です。

アマゾンの民は、この「災害」を
「逆手」にとって、人間が楽しめる
サーフィン大会へと活用しているのです。
「サン・ドミンゴス・ド・カピン」という街では
三月から四月頃の大潮の時期に大会が開かれ、
「ぜひポロロッカの波に乗りたい!」と
世界中のサーファーたちが訪れている。

「34分間もずっと、ポロロッカに乗り続けた」
「60人同時でポロロッカサーフィンチャレンジ」

…他のサーフィン会場ではなかなかできない
ユニークなサーフィンもできるそうです。
今ではこのサーフィン大会、
二万人近い人を呼ぶ一大イベントになっています。
ポロロッカを、観光資源にしているのです。

「振り返り」とからめて、考えてみます。

読者の皆様の「振り返り」は、いかがですか?
この街のサーフィン大会のように、
効果の上がるものになっているでしょうか?
…逆に「災害」をもたらしていないでしょうか?

上述したように、振り返るのは人間の特権。
しかし、
本来の時の流れに逆らう行為がために、
「うまく」振り返らないと、その効果は半減、
下手すると災害をもたらす危険性もあるんです。

典型的な失敗が、過去に「耽溺」すること

過去を美化し、過去に逃げ込み、
「昔は良かった」と甘い夢に浸ること。
これでは、かえって振り返りは悪になる。
文字通り、溺れてしまいます。

そうではなく、あくまで現在と未来に向けて
過去を振り返ると良い
と、私は思います。
昨日のためでなく、今日と明日のために。
いわば、サーフィンのように
自分が波をつかみ、自分で波に乗るために…。

暗闇で行動せず後ろ向きに耽溺するのではなく、
明るい中で前向きに波乗りすべき、ではないか。

まとめます。

本記事ではここまで、「ポロロッカ」という
川が逆流する自然現象を元ネタにして、
「振り返り」について考えてみました。

ポロロッカが起きるのは、
新月か満月に起きる「大潮」の時です。
この時期は月や太陽の引力の関係で
潮の干満差が大きくなり、
海面が上昇して、水が川へと押し戻されます。

同様に、人間の振り返りにおいても、
特に「人生の一大イベント」的な
「大潮」の時に、特に、逆流することが多い。

「本当にこの決断で良いのか?」
「過去に失敗/成功した時はどうだったのか?」

ただ、そういう時「だけ」
さかのぼろうとしても、失敗する
でしょう。
サーフィンと同じで、初心者がいきなり
板に乗ろうとしても、うまくいかないのです。

ポロロッカ並みの大逆流が起きない時でも、
自分の役に立つよう、常に、
「波乗り」の練習を
しておくべきではないでしょうか?
つまり、「振り返り」の板に乗って
過去へとサーフィンをする練習をしておく。

そうすることで、いざ決断すべき
轟音が鳴り響く中でも、
すいすいと波に乗ることができるでしょう。

振り返りを日常化する、日常に組み込む。

自分の過去だけではなく、
この世界の歴史、そういうものの波に乗る。
つまり「歴史」に親しむのも、いいですね。

実はアマゾン川だけではなく、
この逆流現象は、世界中で起こっています。
インドのガンジス川、フランスのセーヌ川
中国の銭塘江…。
オリノコ川では「マカレオ」、
インドネシアでは「ボノ」と呼ばれ、
日本においても、九州の筑後川などでは
逆流現象がよく起こっています。

これらの地域では、ただ災害を嘆くのではなく、
サーフィン大会や農業への活用など、
何とか逆流を役に立つものに転用しようと、
さまざまな工夫が凝らされているのです。

同様に、あなただけではなく、
世界中の人が、振り返りをうまく活用しようと
さまざまに工夫をしています。

振り返りという逆流に「耽溺」するのか?
それとも未来に向けて「活用」するのか?

…それは、まさに波に乗る
あなた次第、なのではないでしょうか。

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