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三人称単数現在なら、動詞にsをつける。
いわゆる「三単現のs」です。
初学者の英文法学習における、一つの山。
謎ルール。

『なんでsをつけるんですか?』
『そういう決まりだからです!』

そのような問答を英語の先生と交わした方も
いるのではないでしょうか?

私も初めて学習した当時、
めっちゃ気になりました。

…だって、動詞にs(時にはes)ですよ?
つけてもつけなくてもいいじゃないですか。
でも、つけないと英語のテストで
×をつけられるから、頑張ってつけた。

中年世代になって、改めて、考えます。
なぜ三単現のsをつけるのか?

いまはとても便利な世の中でして、
ググって検索すれば、色んな答えが出てきます。
「なぜ 三単現 s」で検索してみますと…。
いやはや、予想以上に、出るわ出るわ。

英文法研究者、専門家の方から、
子どもにもわかりやすく書いているような
英語学習に携わる方まで、
まあ、たくさんの答えが出てきます。

なので、本記事ではそこには深入りしません。
読者の皆様ご自身で、しっくりくる
答えを探し当てて下さい。以上。





だけだと、ちょっと不親切で記事が終わるので、
もう少し、書きます。

一つ、言えますのは、

「三単現のsをつける」というルールは、
何かフラットなだだっぴろい平原に
新しくぴょこっと山を作った、
というイメージのルールではなく、

「他にもたくさん語形変化はあったんだけど
省略されたりいつの間にか消えたりして、
三単現のsが象徴的に『残った』」
というイメージのルール
だということです。

山脈は実はたくさんあったんだけれども
洪水、地盤の変動、河川の浸食、
色々あって、山が徐々に削れていって、
ほぼフラットな地形になった中に、
ちっちゃい山が「残った」というイメージ。

付け加え、というプラスではなく、
削りに削って、削られに削られた末での
マイナスの生き残り、なんです。

この三単現のs。
現代英語だけを見るからわかりにくい。
古代の英語とか、他の言語とかをちょっと
調べてみますと、わかります。

他の言語には、目まいがするような
語形変化、主語や時制による変化が
たくさんあることが多いのです。

現代英語はまだ、マシなほうなんです。

全世界で使われていく中で彫琢されて、
かなり機能的な言語へと変貌を遂げている。
英語は、とっつきやすい言語です。
アルファベットを覚えれば書けます。
そう考えると、三単現のsくらい
大目に見ようかな、という気になります。

…さて、ここから、日本語と
比較対照して考えてみましょうか。

ハッキリ言って、初学者にとっては、
英語より日本語を学ぶ方が難しい、ですよね。

字は、ひらがな、カタカナ、漢字、
すべてを、覚えなければいけない。
ひらがなとカタカナだけだと、
ちょっとビジネス最前線では、使えない。

漢字なんて数えきれないほどたくさんあります。
基本的なものだけに絞ったとしても、
小学校一年生で80字、二年生で160字、
学年が上がるにつれて、さらに習得すべき字がある。
どんだけ覚えなければいけないの…?
それに加えて、敬語。まあ、ややこしい。
母国語としている人でも、間違い多し(私もです)。
主語は、省略されまくる。

書く時のルールも、「暗黙の了解」的なものに
満ち溢れていまして、
例えば「学校え行った」と書くと×ですよね。
「学校へ行った」が正しい。

え、でも、へ、でもいいじゃないですが、と
初学者の人は言いたくなると思いますが、
やはりここは、へ、で表記するのが正しい。

三単現のsも、これに似ていると思うんです。

sはつけなくても、まあ意味は分かるけれども、
「学校え行った」的な文になる。
違和感を与えてしまう。
この人、使えないな、と思われてしまう。

そういう、比較対照的な考えも、
この「なぜ三単現のs問題」を考える時には
頭の片隅に入れておきたいものです。

…さて、ここまで、三単現のs問題を皮切りに、

「実は『生き残った』ルールなんです!」
「他の言語と比べてみては?」

というお話を書いてみました。

本記事のまとめとして、
この考えを他に援用してみましょう。

読者の皆様の会社(団体)では、
また、家族や地域社会では、
「なんやこれ?」というルールは、ありますか?

ちょっと違和感があるルール、
なくてもいいじゃないというルールは
どんな場面でも、あり得ることだと思います。
特に、新参者にとっては、
「なんやこれ、あり得へんのやけど」
と内心で思うローカルルールが、たくさんある。

ただ、そのルールを「バッサリ斬る」前に、

そのルールの来歴をこそ、
考えてみていただきたいのです。

もしかしたら、平原にぽこっと新しくできた
ルールではなく、
山脈があって、つまりルールでがんじがらめの中で
改革者が削りに削って、最後に残った
これだけは残った、もみの木は残った的な
ルールかもしれないのですから。

もしかしたら、
他の会社・団体・家族・社会にはない、
とても特色ある、他と一線を画すための、
大切でスペシャルなルール、
かもしれないのですから…。

そういう背景を無視して、知らずして、
「はい、不要」とバッサリ行っちゃうのは、
やはりいささか乱暴のように、
私には思えるのです。
特に、現在まで生き残っているというのには、
何らかの理由があることが多いので…。

ただし、逆のケースも考えられます。
「これはいかにも大事そうなルール」と
人に思われているものであっても、
幽霊の正体見たり枯尾花、ではありませんが、
「たいした理由は、実はない」
「重要そうに見せかけているだけ」
というルールもある
かもしれません。
そういう時は、バッサリ行ってもいい。

いずれにしても、ちょっと深読み。
その上で、斬るか斬らないか、考える。
そういう視点を持ちたいな、と
私は思っています。

※で、結局、三単現のsって何?
夜も眠れへん、でも検索するのメンドイ、
という方は、以下の記事へぜひ…。

『英文法のスパイス
【3単現のs】なぜ3単現のsは存在するのか?』

私が「なるほど!」と思った記事です。

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