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「副反応」でキツかった人も多いでしょう。
コロナワクチン。

…私ですか?
ええ、キツかったです。
でも、そもそもワクチンは
身体の反応(抗体)を活用する方法なので、
身体が反応してしまうのは致し方ないか…、
と熱を出しながら、思いました。

これと同様に、組織に対する「人事」も
「副反応」がありますよね。

同じ人間がやることですから。
組織も、人間の集合体ですから。

ただ問題は、その人事が結果的に
うまく機能すれば良いのですけれども
副反応だけ出て、結局何も
組織にいいことがなかった、となると
「おい、ちょ、待てよ」となります。
人事に対する、不信感、爆発。

そんなの関係ねえ!と、
2回目接種、ブースター接種、
へと突き進むのか?
あるいは、他の方策を考えるのか?

コロナワクチンも、過去のアレルギーや
アナフィラキシーが出る方は
自重したほうがいい、
と言われているように、

人事という「接種」をする前に、
その組織の、過去のアレルギーや
アナフィラキシー、つまり体質を確認した上で
実行したほうが良い
のではないでしょうか?

…こんなことを考えたのも、
海老原嗣生さんの
『人事の組み立て』(2021年、日経BP)
という本を読んだからです。

『人事屋エイルシリーズ』の小説を
書いている身としては、
こういう本も読まなきゃな、と
ジャケ買いしてみたのですが、
これが大正解。大当たり。

この本は、日本の人事制度と
主に欧米の人事制度を比較して、
「対症療法」的な
目新しい人事制度をいきなり
日本に導入したとしても
効果は少ない、と説きます。

まさにその通り、ですよね。

体質的に根本的に合わない療法を
いくら施しても、効果は薄い。

明治の文豪、夏目漱石の表現を借りれば
「皮相上滑りの改革」になります。
いわば、日本の組織や人事制度には
どんなアレルギー反応があるのか?
どんなアナフィラキシーショックが
起こりうるのか?
その体質の特徴を、治療を施す前、事前に
見極めることができる本なのです。

『一知半解な対症療法では
脱日本型はできない』

海老原さんは、そう喝破します。
まえがきの部分を、少しだけ引用しましょう。

(ここから引用)

『雇用システムとは一筋縄ではいかないもの-。付け焼き刃の応急処置では決して変革はできないのです。人間の体に例えるならば、対症療法を繰り返すだけでは病気は治りません。にもかかわらず、過去の雇用改革は、欧米で流行した薬を「個人輸入する」とか、冒された患部を荒っぽく摘出するとかいった類いの素人療法ばかりだったのです』

(引用終わり)

…さて、読者の皆様の会社(組織)は
いかがでしょうか?

「なんでもかんでも仕事が山積みになる、
古めかしい働き方は、あかんよね!」
「ジョブ型、大事、ゼッタイ」
「ジョブディスクリプション(職務記述書)は
明確に作らなきゃいかん」
「まず新卒一括採用を破壊しなきゃ、ダメ」
「ジョブ型を導入すれば、優秀な若者が
どんどん出世できるだろう!」
「ジョブ型にすれば、長時間労働も
じきに是正されていくに違いない…」

そんな風に、安直に、考えられていませんか。

それはまさに「ジョブ型」という注射を
一本打ちさえすれば、
効果てきめん、たちどころに組織の病気が
治るだろう、という思い込み、願望
つながってしまいます。

そうではない。

そもそも日本と欧米の人事制度や組織、
働き方や役職・仕事に対する意識は、
前提として何が違うのだろう?

体質改善を目指すのであれば、
自らの体質をまずしっかりと
知らなければいけない、ですよね。

そのためには、
自分とは違う人(組織)の体質と
比較してみるのが、手っ取り早い
のです。

…詳細に書くとネタバレになるので
あとは購入して、本をお読みください!
というところなのですが。

本を読んだ私の感想を、少しだけ書きます。

「ポスト限定かっちりの欧米、
ポスト柔軟ゆるふわの日本」
「お客様は神様です、
上司も神様ですという二神教」
「一口に欧米と言っても、
エリートと一般ジョブワーカーの
2つの世界に分かれている」
「成長の階段を作ることこそ、大事」

このあたりは、とても面白かったです。
そうだったのか、と改めて思いました。

『ポストは自由に新設できるものだ』
『人に応じて、柔軟に役職や仕事を設定して、
働いてもらわなければならない』
『日本と欧米の「ポスト」観は、同じだ』
『お客様からのクレームには
完璧に真摯に対応しなければ!』
『欧米の労働者は、男性でも
みんな育休を取って、バカンスしている』

…こんな風に考えている方は、
ぜひ、ご一読をお勧めします。
固定観念、取れますよ。

欧米の人事制度と比較してみれば、
日本の人事制度、体質、働き方が
よくわかります。
この本では、さらに
ただの比較・批評に留まらず
日本の体質にはこういうやり方が合う、
という「提案」までされています
ので、
納得しやすいつくりになっています。

もう一度、Amazonのリンクを貼ります↓

私の感想だけでは裏が取れませんので、
他の方のレビューも見てみては?
おすすめです!

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