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スモール・オフィス・ホーム・オフィス。
Small Office Home Office。
頭文字を取って、SOHO。ソーホー。

「うわ、懐かしい言葉!」と思いましたか?
「え、何ですか、それ?」と思いましたか?
「うん、今、使っています」ですか?

…SOHO、という言葉を検索すると、
「死語」という言葉も、同時に出てきます。
今では、あまり使われない言葉、
なのでしょうか?

本記事は、このSOHOという言葉から、
その時代背景の変化を探っていきます。


SOHOとは、スモールなオフィス、
ホームなオフィスですから、
「小さなオフィスや自宅で
ビジネスをする事業形態」
のことです。
「情報通信技術を活用して事業活動を行う
従業員10名以下程度の規模の事業者」
と定義されることもあります。

そもそも、いつ頃に生まれた言葉なのか?

厳密にいつ、と言うのは難しいですが、
2000年頃から、SOHOの語句を冠した
プロジェクトが各地域で始まって、
SOHO向けの物件、など
不動産関連でもよく使われるように
なったそうです。約20年前頃。

2000年頃、というと日本の政治では
2001年~2006年の「小泉政権」の頃。
時代の変わり目のあたり、ですよね。

第二次小泉内閣の総務大臣を務めていた
麻生太郎さんは、
「e-Japan」構想の後継として
「u-Japan」構想を提案し、進めています
(2004年~2009年まで)。

これは一言で言えば、
「ユビキタスネット社会」の実現を
目指した政策
でした。

…うわ、ユビキタスか。また懐かしい言葉!と
中年世代の私なんかは思ってしまうのですが、

ユビキタス=ubiquitous=偏在。
「いつでもどこでも」という意味。

つまり、ユビキタスネット社会とは、
「いつでもどこでもネットでつながれる」
社会のことです。


はい、そうなんですよ。
ユビキタスネット社会は、
令和のいま、すでに実現しております。
すなわち「空気のように当たり前」のことに
なったために、
あえて「ユビキタス!」とは
あまり使われなくなった言葉、なんです。

…SOHO、という言葉も、
これに似ているのではないでしょうか?


「小さなオフィスや自宅で
ビジネスをする事業形態」
「情報通信技術を活用して事業活動を行う
従業員10名以下程度の規模の事業者」。

うん、こういう人、今では、
たくさん、いますよね。
ツイッターやリンクトインなどのSNSでは
とてもたくさん見かけます。
「フリーランス」の人は、
一人、もしくは少人数のチームです。

いや、多数の会社員が所属する
会社に勤めている人であっても、
コロナ禍においては必ずしも
「出勤」「会社・オフィスで働く」
ことは求められず、
「在宅勤務」で働くことが推奨された。

コロナ禍以前においても、
情報通信技術、特にモバイルの
著しい発達下においては、
「データさえできれば
働く場所はどこでもいいですよね?」と、
「ノマドワーカー」「テレワーク」的な
働き方をする人も出てきていた。

厳密に言えば、SOHOとは
スモール・オフィス・ホーム・オフィス、
少人数の仕事場、家を仕事場にすること。
場所を問わない「ノマドワーカー」とは
微妙に意味合いが異なるのですが、

いわゆるSOHO的な働き方は、今では、
「ユビキタス」「いつでもどこでも」が
空気のように当たり前になったように、
すでに日常的なものになっているのです。

だから、あえては使われなくなったのでは。
死語、になりつつある。
だって「当たり前」ですから
使わなくてもわかるんです。
特定の言葉で「強調して」使われることが
少なくなっていった。

その代わりとして、
「リモートワーク」「テレワーク」
「ノマドワーカー」「在宅勤務(ワーク)」
「フリーランス」「ベンチャー」
などの言葉は、まだよく使われていますよね。

これは「SOHO」という
広い範囲を指す言葉ではなく、
もう少し細かい範囲を指す言葉なので
使われ続けている、と思われます。

つまり「SOHO」は、
これらの細かい範囲の言葉を色々と
広く内包する言葉であるがゆえに、

逆に使い勝手が悪くなって、
使われなくなったのでは…。

私にはそう思われるのです。

最後に、まとめます。

スモール・オフィス・ホーム・オフィス。
その逆を考えれば、
ビッグ・オフィス・アウト・オフィス。
頭文字を取れば、BOOO。


(スモールの反対はラージかもしれませんが、
『ドラえもん』のスモールライトと
ビッグライトにならい、ここはビッグで…)

SOHOならぬ「BOOO」(ブー)という
働き方は、産業革命以後、主流になりました。

ワークとライフが「カット」され、
ビッグな、大きな工場や職場で一堂に会して
一斉に働く、BOOO(いま作った造語です)。

これに対する概念、ICT技術の発展を背景に、
小さな職場、家が職場でいいじゃないか!と
提唱する形で、SOHOという言葉が生まれた。

BOOOに対する、SOHO。
ビッグに対する、スモール。

前者が「ワークライフカット」されて、
「ワークライフバランス」
考えなければいけない働き方とすれば、

後者は「ワークライフイコール」または
「ワークライフカクテル」
仕事と人生(家庭)が入り混じって
混同しているような働き方です。

これは、どちらが良い悪いではない。
どちらを選択するかは人により千差万別。

…いや、二者択一でもありませんね。
人生の段階、環境、そういうものによって
変幻自在、融通無碍、臨機応変に
「都度、組み合わせる」ものと思うのです。
時にはビッグ、時にはスモール。

いわゆる「ワークライフジグソー」

ジグソーパズルのように、凸凹を考えて
組み合わせていっても、いい。
ばらしても、再度組み合わせても、いい。

色んな枠が、溶け出してきている昨今です。

かつては「BOOO」が主体だった
高度経済成長~安定成長~
バブル経済の時代から、

「SOHO」が提唱された
バブル崩壊以後の時代、
ICT技術発展の時代へ、

そしてこれからは、
BOOOでもSOHOでもなんでもいい、
「双方」のいいところどりをしながら
自分自身で働き方、働く環境を
自由に組み合わせ、生み出せる時代へ…。


いわば『SOSO』ですね。
「Self Office Self Owner」
セルフオフィス、セルフオーナーの時代。
「一億総個人事業所有者」の時代へ…。

かの三国志の英雄、曹操(そうそう)も、
戦場では武人、矛を横たえれば詩人、
命数の尽きた後漢王朝に取って代わり、
自らが新しい時代を切り拓き、
つくっていった
のです。

さあ、読者の皆様は、これから、
どんな働き方をしていきますか?

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