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「夏の匂いをたてるトウモロコシのひと齧り~離婚編」ヒスイの身辺日記

今日の日記は、どう書こうか迷ったのですが、
そのまま行こうと決めました。

ヒスイの友人MERちゃん。

外資系のバリバリキャリアで、
わが道をゆく若い部下に翻弄され、

恋愛ではうまくいかない迷路に迷い込んでいた彼女ですが。

この春、ついに結婚いたしました。

「おめでとうううう💛」と一言で終われないのが、
20代の恋愛とは違う所だったかな。

MERちゃんは、同棲中だったハイスぺ彼氏に浮気され、
怒り心頭ではあったが
「でも彼、いつか結婚するって言ってたし」とのほほんと構えていて、
ヒスイからえらいこと、怒られた人です。

この春、結婚したのは、ハイスぺ彼じゃなくて。
その後に知り合ったカレシでした。

交際6か月。

ちなみに、この6か月には、MERちゃんがフタマタをかけていた時期は
ふくまない。

そう。MERちゃんは、
どうにもこうにも、結婚に踏み切らない同棲カレシに踏ん切りをつけて、
最後の2カ月ほどは、
まあ、
フタマタ、だったわけです。

この春、結婚したのは最新カレのほうで。
ハイスぺ彼氏は、盛大な浮気がばれまくり
(というか、最後のほうは彼も浮気を隠す作業すらしなくなってました)
MERちゃんがマンションを出ていった、と言う流れでした。


そこからの、結婚。
約6か月。


・・・・・・だから。

MERちゃんが、7月のはじめに離婚したときいても
ヒスイの周りは、
わりと冷静にうけとめました。

ああ、やっぱりね。という意見が
多かったです。

結婚て、なんだろう。

MERちゃんは、ハイスぺ彼氏にドはまりしてました。
大好きで、大好きで。
どうしても結婚したかった。

彼が引っ越すとなったら、
一緒について行って、部屋を選び、
新居には、彼より先に自分の荷物を運びこみ、
やる気満々、だった。

ハイスぺ彼と付き合っていたあいだ、
MERちゃんは決して幸せではなかったけど、
(なにしろ、浮気しまくりの彼だったので)
ぶうぶう文句ばかり言っていたけど、
戦う気、満々だった。

まあ、恋愛において戦うことが良いのかどうかは別にして、
すくなくともあの時のMERちゃんは
生命力に満ちあふれてた。

ほとんど鬱と紙一重のところを
あやうく走り抜けながらも、
すさまじいまでの
迫力があった。


その気迫は、
ハイスぺ彼氏の部屋を出た時に
一緒に置いてきてしまったらしい。


この春、
MERちゃんは、結婚式をしなかった。
前カレのときは、詳細な結婚式プランを作り、

分刻みのスケジュールを作り、
さんざんドレスを見にまわり、
(これはヒスイもだいぶ、連れまわされた)
結婚式場は、予約を入れる寸前だった。

あの熱気と興奮は
何だったんだろう。

元カレの浮気と並行して
フタマタに走り、
家を出ると同時に、新カレの部屋へ転がり込み、
そのまま怒涛のがぶりより。

ただし、
MERちゃんの綿密に作りこんだプランの結婚式は
なかった。

友人で集まった、お祝い飲みの席で、
ヒスイは思った。

結婚式をしない気持ち、わかるよ。MERちゃん。
あの結婚式は、あの彼のものだったんだものね。
だけどきっと、
これでMERちゃんは、幸せになるよ。

自分で選んだんだから。


その飲み会から2カ月。
7月のはじめ、暑い暑い日に、
MERちゃんから、離婚を知らせるメールが届いた。
それほど多くの人には送っていないんだろう。
簡単な文面で、

『籍、ちゃんと入れる前に撤退を決めました』

ああ、そうか。
入籍前に、撤退したんだな。
MERちゃんの決断は
いつもギリギリのように見えて、
ちゃんと、
危険水域のきわを
駆け抜けているんだなって、

なんとなく、安心しました。

幸せって、形が決まっていなくて、
色も匂いもしなくて、
ただ、本人が「これでいい!」と思えば
いいんだなと
そう思いながら、

ヒスイは晩ごはんのトウモロコシの皮を
むいていました。

かすかに青い匂いがする皮を、最後の一枚だけ残し、
ひげをむしり取って、
透明なラップにくるむ。

電子レンジに入れる。

加熱ボタンを押すと低い音を立てて、
電子レンジの内部が光りはじめた。

ゴミを片付ける。
キッチンがきれいになる。
レンジの中で、蒸しあがったトウモロコシが
夏の匂いをにじませて、

チーン!と茹であがった。

甘くてみずみずしくて、
ひとつひとつの粒がはじけそうなトウモロコシは


うちの夫の好物だ。


結婚て、
なんだろうね。
私にもまだ、
わかんないよ、MERちゃん。

あなたのしあわせが

どこにあるのかも。


わからないから
ここから探そう。

夏の匂いをたてる
トウモロコシのひと齧りから。


*****
MERちゃんの記事を書くときは、
なんだかいつも、
書きにくいのだけど。

だからいつも、
更新時間が送れるのだけれど、


じゃあ書かずにいられるか、といわれると。

やっぱり、書いておいたほうがいい気がする。

似すぎているのかな、
ヒスイのMERちゃんは。


ふしぎです。

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