「リスカすら救いになれぬ夜の底ーー」ヒスイの夜短歌

本日は、ちょっと重めの話題です。
ので、お疲れのかたは薄眼でお読みくださると幸いです。

「リスカすら救いになれぬ夜の底
　血汐あたため戻し入れたき」ヒスイ


今日は、この本をよみました。
『自殺会議』末井昭

自殺会議

家族をダイナマイト心中で亡くされた末井昭が
自死にかかわったことがある人々と対談したものを
まとめた本です。

自死については、人それぞれ考えがあると思います。
「死んじゃダメだよ、生きよう！」というのは簡単ですが、
いっそ死んだほうが楽なんじゃないかと思うほど追い詰められている人にとっては、
軽々に聞ける言葉ではないかもしれません。

ヒスイの知り合いのドクターは、
「人間には、もともと『生きていたい、生き続けていたい』という根源的な欲求がある。
それを押しのけてでも自死するということは、
よほどの事情があるんだ」と言います。

そうだろうな、と思うんです。
そして毎日、大勢の人が人間の根源的な欲求に逆らって、
自死を選ぶ、自死を考えているのが、現実です。

日本では、毎日90人もの人たちが自殺で亡くなっています。
未遂者は既遂者の10倍はいると言われていますから、
この同じ時代に、この同じ社会で、
毎日1000人もが自殺を図っていることになるわけです。

特定非営利活動法人　自殺対策支援センター　ライフリンクのサイトより

「日本の自殺の現実」　https://www.lifelink.or.jp/realities.html

数字で見ると、より深刻さが感じられますね。
ヒスイから見ても、今の日本は　前向きに生きる！！　という意思を
感じにくい仕組みになっていると思います。
弱いもの、小さいものに対して、配慮する余裕がなくなっている。
社会が、持てる者と持たざる者、強者と弱者にくっきり分かれ、
境界線上に立ってふたつの世界をつないでいた層が、
すり減られている。

これは日本だけの状況ではないのかもしれないです。
ウクライナの戦争は終わらず、
先も見えない。
こんな諒闇のなか、どこへ行けばいいのか。何をすればいいのか。
分からないまま時間が過ぎてゆく。

そのもどかしさ。
切なさ、無力感。

ヒスイのように、社会に対して役に立つ仕事をしていると言えないものは
ほんとうに、どうしようもない『役立たず感』に襲われることがあります。
どうしたらいいの？
何をしたらいいの？

どこへむかえば、光はあるの？？


<゜)))彡　<゜)))彡　<゜)))彡

ヒスイの友人に『ピンチの時にだけ役に立つ』と言われている男がいます(笑)。あ、ケロリンじゃないですよ(笑)。学生時代の友人です。

彼は、家族や仕事や人間関係で抜け出しようのないピンチがやってくると、
やおら、こういいだすのです。

「よおおおし、面白くなってきたぜええええ！」

ヒスイが初めてそれを聞いたのは、駆け出しのとき。ふたりとも仕事をはじめたばかりで、オーダーはない。したがって金がない(笑)。
バイトでシノいでいましたが、それももう、お互いに限界でした。

「クリエイターとか無理じゃない？　いっそウェイトレスを本業にしようかな！？　少なくとも、まかないで食べられるよ！」
「いやいやいや。待てヒスイ。
ここからが面白くなるところだ。
もいっちょ、踏ん張ろう」

「なに言ってんのよ。ぜんぜん面白くないよ。
あたしら、だいぶドツボにハマってんじゃん。
仕事ないし、へたくそだし、へたくそだし、へたくそだ！」

……そうです。
ヒスイもかなり低レベルでしたが、友人も、それに輪をかけて下手くそだった(笑)。もう死にたいくらいに、評価されなかった。
なにもかも投げ出したいと思っていました。

そこへ、『面白くなってきた』の一言です。
ヒスイはカチンと、きましたね(笑)
死にたい、よりも怒りが勝った(笑)　
ので。
いきなりそいつに殴りかかったのです(笑)
ああもう。今思い出しても、穴を掘って消えたい気持ち(笑)。

ちなみにそいつは、元自衛官(笑)。身長は190センチあり、ヒスイの2倍の体重でした(笑)。殴りかかっても意味がなかったでしたわ(笑)。

まあまあ、と彼はヒスイをなだめて、こういいました。

「ヒスイ、俺たちはへただが、仕事は早いよな」
「そうね。スピードだけはあるね」
「そして安くても引き受ける」
「この際、値段とか言ってられないよ」
「じゃあ、『早い・安い』で売り込もう！」

……バカです(笑)。
へたくそすぎて仕事がないのに、『早いですから！』で受注できるわけがない(笑)。
でも翌日から二人で組んで、ありとあらゆるコネに連絡した。
『今すぐ描きますから！』『直しは何度やっても無料ですから！』

そして、かつかつながら仕事が回ってきた。
ヒスイが今あるのは、彼が『面白くなってきたぜえええ！！』と、言ってくれたからなのです。


今夜、絶望のあまり起き上がれない人もいるでしょう。
朝が来るのを信じられない人もいると思う。
ヒスイができることは何もありませんが、
ただ一言。

今夜だけ生き延びて、明日の朝に
『さああああ、面白くなってきたぜえええ！』って
言ってみてほしい。

夜が明けるまで、ヒスイが
あなたの血汐を温めて、心臓に戻し続けておきますから。



「リスカすら救いになれぬ夜の底
　血汐あたため戻し入れたき」ヒスイ

また明日の夜、ここでお会いしましょう。

日本の自殺の現実｜自殺対策支援センターライフリンク

#今日の短歌

愚木混株 Cdd20によるPixabayからの画像