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ああサンドイッチ、どうしてあなたはサンドイッチなの?

「エポニム」

よく語られる雑学に、「サンドイッチの語源は、カードゲーム好きのサンドウィッチ伯爵が片手で食べられるように作らせていたから」というものがある。
だが、これは俗説とされている。ひけらかすと恥ずかしいので気をつけよう。

この例だけでなく、人物から物事に名前をつけるということはよく起こる。
カチューシャとか、マルクス・レーニン主義とか、スターリニズムとか。やばい趣味がバレる。趣味ではありません。

こうした現象を、エポニムという。かわいい。擬人化したらたぶん丸い耳がついているだろう。

これに着目したきっかけは19世紀ヨーロッパ史を調べていたときのこと。
実習の授業を作っていた私は、小ネタ探しに全力を注いでいた。
そう、教育法の先生が言っていたのだ、「細部にこそ命が宿る」と。
おそらく意味を履き違えている。

調べてみると、出てくる出てくる。
マーガリンは普仏戦争のときにフランスのマーガリンさんが発明しただとか、卵を乗せたビスマルクピザの由来はビスマルクが好んだからだとか、クリミア戦争でカーディガンさんが服を発明しただとか。

私は思った。
「自分の名前を物に付けられるって嫌じゃね?」

エポニムを妄想してみよう

しばしの間、想像力を働かせてみよう。

私はサンドウィッチ伯爵的なポジにある伯爵様である。
大変に偉いので、何か象徴的なことをすると、それに名前がついてしまう。

私は納豆が好きだ。
大学に入ってからというもの、基本的に昼ごはんは「納豆キムチ卵かけご飯」で固定している。ダメな要素が見当たらない。栄養ある気がするし、エネルギーがある気がするし、うまい。
iCloudのユーザー辞書には「なっとう」と打つと「納豆キムチ卵かけご飯」と予測変換されるようになっている。
このユーザー辞書機能は非常に便利なので、Apple製品を使っている方々には強くおすすめする。

話を戻そう。どこが本筋なのかは私もわかっていない。


あ、そういえば文章の性質上、このnoteには筆者の本名が登場する。
多分にミステリアスな雰囲気を孕んだ私の文章を引き続き楽しみたいという方は、ここから先は読まないほうがよいかもしれません。。
また、もしかしたらそのうち消すかもしれないので、読むなら今のうちです。今しか読めません。今だけ!70%オフ!!


ということで、筆者の本名はハガナオキという。
なので私が伯爵だったら、納豆キムチ卵かけご飯は「ハガ」と呼ばれることになるだろう。
大学生の味方、ハガ。

エポニム妄想#2

先ほど触れたように、カーディガンもエポニムのひとつである。やっぱりかわいい。
時は19世紀中葉、クリミア戦争。
イギリス陸軍にカーディガン伯爵7世という人がいた。負傷者は、寒冷な気候によっていっそう苦しんでいる。しかし、怪我をしているのでセーターを着せるにも難しい。
そこで、カーディガンさんは「セーターの前を切っちゃおう」という発想になった。これにちなんで、「カーディガン」という服が生まれたといわれている。

もし私が伯爵で、これほどの発見をできていたら。
初夏の陽気を迎えながらも気温の変化が激しい5月ごろ、NHKの天気予報では「今日は薄手のハガナオキを持って外出してください」と言われていたことだろう。
あるいは、ユニクロからは「エアリズムコットンハガナオキ」や「スフレヤーンVネックショートハガナオキ」が発売されていたに違いない。

エポニム妄想#3

エポニムは、もっと私たちに身近なところにもある。
というか、身体にもある。
代表的なのは、ギリシャ神話の英雄アキレス由来のアキレス腱だろう。

彼の母テティスは幼いアキレスを不死身にするために、彼の全身を冥界の川ステュクスに浸した。しかし、持っていたかかとの部分だけは浸らなかったため、その部分が唯一の弱点となってしまった。このことから、アキレスの弱点を指す「アキレスの腱」という表現が、人体の一般名称にも転じたのだ。

私は、端的にいって体が弱い。小学校から高校にかけて野球をしていたが、中学校以降、ほぼ毎年ケガをしていた。冬が去って春になると、それはケガの季節だった。花粉症じゃないんだから。

なので色々弱いところはあるが、ひとつ挙げるなら「膝」だろう。
今でもしゃがんでいられる時間は短い。正座など、まさに苦行そのものである。

ということで、「ヒザ」は「ハガ」になる。あれ、意外といけそうな気がする。電話だったらギリごまかせないくらいのラインだろう。
膝のお皿は「ハガ小僧」になり、疲れ果ててガクガクする際にはハガが笑い、江戸の街は「将軍のおハガもと」となる。はっはっはっ。

エポニム妄想#4

せっかく9月からイギリスにも行くので、それ関係でも。
「ボイコット」という言葉は、19世紀アイルランドが由来になっている。1880年、アイルランドの地主であるチャールズ・ボイコットは、土地を借りている農民に対して厳しい取り立てを行った。農民たちはこれに反発し、彼に対する一切の取引や交流を拒否する。この集団行動が成功し、「ボイコット」という言葉が「不買運動」や「社会的拒絶」の意味で広く使われるようになったというわけである。

もし私が農民締めつける系地主だった場合、キング牧師が率いた抗議運動は「バス・ハガ運動」と呼ばれることになる。
留学に行った友人たちからは、「ヨーロッパはハガのせいで電車が止まってだるいよな」とか言われる始末。
実際、授業がハガによってなくなってしまうことは私自身も深く懸念している。

エポニム

おしゃれな締め方が思いつかなかったので、最後にエポニムの想像図を描いて華麗に筆を置こうと思う。

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