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幼き日々と友

夏ってノスタルジックになる季節ですよね。
青い空。白い雲。麦わら帽子の少女(の幻覚)。
最近の夏は暑すぎて全然ノスタルジーじゃないですね。

先日、ふと小学生の時の友人が頭に浮かびました。
今思うと一瞬だったけれど、ぎゅっと詰まった思い出だったなと思いました。

その友人をAとします。
Aは小学1年生の時に出会いました。同じクラス……だったかな?何がきっかけで話しかけたかは覚えていませんが、おそらく家が近かったために登校班で一緒になったのでしょう。

家から幼稚園までの、1kmもない間。これだけが「世界」だった。そこから少し足を伸ばした7歳の春。新たな「世界」に入ってきたA。

他の友達ともたくさん遊んだけれど、Aだけはなんとなく特別な友情を抱いていた。それは恋という不浄がない純粋な友情。
他の友達とは複数人で遊んでも、Aとは2人で遊んでいた。

Aと仲良くなったきっかけはドラゴンクエスト。自分の世代では、一回り上の世代がやるゲームという印象だった。自分しか知らないと思っていたゲームを同じく好いている同級生がいる。衝撃。7歳の自分とAはいともたやすく仲良くなった。
今思えば、1つ趣味が同じなだけで仲良くなれる純粋なあの頃が羨ましい。眩しすぎるくらいに。

Aの家にはよく訪れた。そこにはAのお母さんがいて、画面の中に夢中な自分とAを優しいまなざしで見守ってくれた。
この時間が本当に愛おしかった。

でも、そんな日々は長くは続かなかった。

Aが転校する。行き先はフィリピン。
国旗の図鑑とにらめっこして過ごしていた7歳の自分には、フィリピンがアジアの遠い国であることくらいは分かっていた。だから分かった、簡単には会えなくなるって。

7歳の小さな「世界」を広げたA。自分が8歳になる頃にAはあの家にいない。
人生で初めて感じた絶望かもしれない。無力感かもしれない。

終業式の日、Aと先生と教室で話していたシーンは今でも覚えている。

それから数ヶ月経ち、手紙が来た。嬉しかった。紙に書かれた文字でこんなにも心を躍らせたことはなかった。
その後も、たまに日本に帰ってきた時には我が家に来てくれた。一緒に写真を撮ったことも覚えている。その写真が入った携帯のデータを誤って全消去して、大号泣したこともあったっけ。

最後に会ったのは中学生か高校生の時。たまたま歩いているときにAのお母さんに声を掛けられて、そのときのAの家に行くことができた。一緒にゲームをして、この数年間でAが覚えたゲームを教えてもらった。戦国無双とか、ディシディアFFとか、モンハンとか。
一瞬だったけれど、あの頃に返ったようで嬉しかった。

今思えば、7歳の時の1年という限られた時を一緒に過ごしたことでより思い出が濃くなっているのではないかと思う。
小学生の頃の友人とは、大抵中学生に上がったら遊ばなくなるものである。さらにステップアップすれば、なおさら。
Aとは、7歳のときの淡い思い出だけでつながっている。

さて、Aのことを書いたのには理由がある。
それはAをネットの海から見つけ出したからだ。

テレビで、講演で、活躍するA。珍しい名前だし、顔も似ているからきっと間違いない。
衝撃を受けた。こんなところで会えるなんて。

しかも私の職業にとってとても興味深い分野で活躍している。
これを理由に、Aの所属先にメールを送った。

さあ、どうなるか。
7歳の私よ、世界は広いぞ。

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